ラクロス

初開催のラクロス「超集客試合」を支え、目の色を変えた明大3年生

試合後、つめかけたファンに向かって挨拶する選手たち

関東学生ラクロスリーグ戦 男子1部リーグAブロック

8月31日@東京・駒沢オリンピック公園
明治大(1勝2敗)3-5 早稲田大(2勝1敗)

意地は見せたが、一歩及ばず

1勝1敗で迎えた明大のリーグ第3戦は、昨年の王者早大が相手。第1クオーター(Q)開始直後に先制を許すと、その後も相手のペースにはまり、苦しい展開が続く。相手のミスからカウンター攻撃を仕掛けて1点は返したが、第2、第3Qにも追加点を許し、ゲームの主導権は完全に早大に。それでも意地を見せ、4点ビハインドの第4QにMF山崎貫太(文京)、MF小野沢憲太(相模原)の3年生コンビが連続得点。しかし、無情にも試合終了のホイッスルが鳴る。あと一歩及ばず、3-5で痛恨の2敗目を喫した。主将の廣津泰雅(4年、明大中野)は「練習でやってきたことができず、悔しい一戦になりました」と話した。

試合を見守る集客担当の種部

この試合は日本ラクロス協会にとって初の試みとなる「超集客試合」だった。六大学戦で1位になった早大と2位明大のカードが対象となり、両チームをあげての大規模イベントとなった。種部陽平(3年、明大明治)はこの試合の開催にあたり、複雑な心境で集客担当としてチームを支えた。

試合に出られない悔しさを抱え、集客に尽力

超集客試合の開催が決定した6月下旬、種部もレギュラー争いの真っただ中にいた。だが、同じポジションに4人が並ぶ熾烈(しれつ)な争い。メンバーには残れなかった。「自分の実力不足です」と悔しさをにじませていた。新チーム結成から常にAチームに所属していた種部にとっては大きな挫折だ。「試合に出られる自信があった分、かなりショックでした」。加えて超集客試合だけに、いろんな人に自身のプレーを見てもらえる絶好のチャンスだった。「両親を会場に呼んで、自分のプレーを見せたい」。その思いをかなえられないことに対する複雑な気持ちを抱えたまま、イベントを取り仕切ることとなった。

それでも「自分が出られなくてもチームのためになるのなら」と、思いを新たに集客活動に尽力。広報のためのパンフレットやポスターの作成、大学のスポーツ振興事務室や父母会にもサポートを要請。関係各所を駆け回っては、少しでも多くの人に会場へ足を運んでもらえるように手を尽くした。応援で使うスティックバルーンを600個手配したり、学内ファッションショー「M-mode」出場者にはSNSでの宣伝に協力してもらえるようお願いした。さらには対戦相手の早大側ともコラボ。それぞれ大学のカラーである紫色とえんじ色にスタンドを染めたいと、オリジナルタオルを作成した。当日は応援団にも来場を依頼。試合開始前から満員になったスタンドは、終始盛り上がりを見せていた。

明治カラーに染まったスタンド

来年はこの舞台に立ち、親を招待する

一方で、初の試みだけに課題も出た。予想した集客数を超えたことで、配布用のビラが足りなくなった。また、応援スタイルも応援団主導でスタンドをまとめる早大に対し、部員を中心に盛り上がる明大。そんな光景に対して引き気味に視線を送るファンの姿もちらほら。「ほかの団体との関係を築くのが初めてで大変でした。コミュニケーションをとることの大切さを感じました」。今後もファン獲得のための模索は続く。

ファンをもっと獲得して、この盛り上がりをまた再現したい

多くの部員の努力もあり、スタンドには1000人を超える観衆が集まった。種部は「スタンドを見ると思った以上に人がいて、すごいうれしかった」と、喜びを隠さなかった。だが、秘めた思いもある。「プレイヤーである以上は、ラクロスをやってる自分を見てもらいたい」。こだわり続けるのは選手としての自分だ。「来年の超集客試合には自分が出て、親を招待したい」。種部は初の超集客試合を経て、目の色を変えた。

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