ラクロス

青学女子ラクロス古室真歩は選手の鏡、バスケ経験を生かして全身全霊の躍動

古室は苦しい時間帯にも積極的な攻めの姿勢を崩さなかった

関東学生ラクロスリーグ戦・女子

8月11日@富士通スタジアム川崎
青山学院大(1敗) 2-6 早稲田大(1勝)

今年もいよいよリーグ戦が開幕した。昨年、創部史上初めてFINALの舞台に立った青学大は、追われる立場として、そして期待を受けながら初戦に挑んだ。相手はディフェンスに定評のある早大。FINAL4進出に向けて勝利でスタートするためには大事な一戦だった。

1点リードで折り返したが、4連続失点で完敗

序盤から一進一退の攻防が続く中、第1クオーター(Q)終了3分前にAT(アタック)竹中彩絵(4年、鹿児島純心女子)が先制点をたたきこんだ。第2Q開始直後、早大の巧みなパスワークから追いつかれたが、再び竹中のショットがゴールネットを揺らす。2-1とリードして試合を折り返した。しかし第3Q序盤、青学がイエローカードを受けると、徐々に相手ペースへと変わる。必死のディフェンスも及ばず、一挙に4失点。さらに1点を追加され、2-6で敗れた。

苦しい時間帯こそチームの大きな力に

前半は青学のよさが出たが、後半は苦しい時間が続いた。沈滞ムードの中で、誰よりもチームを引っ張ろうと動く選手がいた。MF(ミッドフィルダー)の古室真歩(こむろ、4年、都立広尾)だ。早大の縦パスがつながるたび、小柄な古室は全力で自陣に戻った。決定機をつくられそうになると、さらに腰を低くして、1対1の迫力あるディフェンスをやってのけた。

バスケの経験がラクロスにも活きている

古室は小中高で9年間のバスケットボール経験がある。キツい時間帯での粘りのあるプレーは、バスケットボールで培った脚力やディフェンス力が生かされていた。オフェンスでも存在感を発揮する。パスが難しい状況にあれば、華麗なステップで相手をかわし、自分でショットまで持ち込んだ。彼女の全力プレーは、苦しい時間帯にこそチームの大きな力となっていた。

4年生として下級生に安心感を

古室について、主将の椿ともみ(4年、東洋)は「プレー以外でも一人ひとりに優しい言葉をかけてくれたり、本当にチームになくてはならない存在です。みんなの鏡のような選手です」と語る。

周りの選手を気遣う姿は、この試合でもあった。第3Qに早大の4点目が入ったときだ。得点を知らせる音楽とアナウンスが流れる中、古室はクロスを置き、手を叩いて仲間を励ましていた。それは2年生からリーグ戦に出場している古室ならではの心がけだ。昨年まではどうしても先輩に頼る気持ちがあったが、「今度は4年生として下級生に安心感を持ってもらえるようなプレーをしたい」との思いが強くなっていた。

失点時に手をたたき、チーム全員をはげます古室

初戦は落としてしまったが、落ち込んでるひまはないと、古室の気持ちは前を向いている。「努力は素質を上回り、気力は実力を超える」。古室は大学に入ってからモットーとしてきた言葉を胸に、リーグ戦を駆け抜ける。彼女のストイックさから生まれた力強く、安定感のあるプレー。チームを引っ張っていこうとする熱い眼差しからは、最後のリーグ戦にかける強い思いが伝わってくる。

リーグ戦はまだまだ始まったばかりだ。チームのために戦い、勝利を喜ぶ。古室のそんな姿を、もっともっと見せてほしい。

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