ラクロス

連載:ラクロス応援団長・山田幸代コラム

アメリカのラクロスの素晴らしさと、日本の伸びしろ

アメリカで見かけた高校生ラクロッサー。スピードもパワーもあります(写真は本人提供)

この1カ月、アメリカや台湾、韓国とさまざまなところで各国のラクロスの成長を感じることができました。もちろん日本のラクロスも成長が著しく、この先がとても楽しみです。そんな世界の変化を感じながら、私はアメリカでコーチの勉強としてプロリーグに挑戦しています。そのアメリカのプロリーグの試合会場の近くで、高校生の大会を目にする機会がありました。今日はアメリカのラクロスと日本のラクロスの違いについて書こうと思います。

ラクロスとの運命的な出会いで変わった人生

世界に誇れる日本の器用さ、でも……

「す、す、すごい……」

日本の大学生、高校生の成長がすごいと感じていた私が、アメリカの高校生のプレーを目の当たりにして、率直に感じたことです。スピードやパワーが格段に違うし、そして何より、プレーがおもしろい。

フィールドの中で自分の強みをいかに出すのか、それがどう勝利につながっていくのか。彼ら彼女らは考えながら表現してます。私はよく日本の選手たちにも「クリエイトできるプレイヤーは見ていておもしろい」と伝えてきました。

アメリカの選手たちのレベルは、私たち日本人が思っている以上に上がってます。日本ももっと世界のラクロスを知ることができれば、次へのステージに進めるんだと思います。

日本の選手たちは、とても器用で、考える力があります。そしてスピードがあって、自分のスピードの使い方がとてもうまいと思います。だから海外の選手から「日本は本当にスピードがあるよね」と、よく言ってもらえます。でも実は、陸上のように“よーいドン”で走る対決をしたら、きっとほかの国の選手の方が速いでしょう。なにが違うかというと、日本の選手たちは自分たちのスピードを使うのがうまく、とても速く見えるってことです。素晴らしい特徴だと思います。

本当の意味で自分の役割を理解できてるか

でも、勝つためのチームにしていくためには、それ以上に必要なものがあるのだと、海外に出て感じることが多いです。技術的な話や戦略的な話は、また別の機会に書かせていただくとして、ほかに何が日本の大学とアメリカの大学との違いなんだろうと考えたとき、それは組織運営の仕方にも違いがあるんじゃないかと思ったんです。

ボルチモアのフードマーケット。ただ街を歩くだけでも楽しいです(写真は本人提供)

アメリカのトップチームにあたるD1(ディビジョンワン)に所属するとある大学のコーチと話をしている中で、感じたことがあります。ラクロスの本場アメリカのNCAA(全米大学体育協会)は、チームに所属できる人数が決まってます。その中で常に、チームでいかに戦うか、自分がチームでどのような存在なのかを理解し、貢献しようと努力しています。

たとえ自分が試合に常に出られる選手じゃなくても、チームの中で仮想敵になることが自分の役割であり、そしてその役割に徹している中で自らの成長を楽しむことができると理解しています。では、日本にいくつそういうチームがあるんでしょうか。

自分の役割に徹する。いかにも日本人が得意とするところのように聞こえますが、実はアメリカやオーストラリアで常に勝ち続けるチームはそれぞれの仕事をまっとうし、チームのための存在であろうと表現し続けている選手ばかりだと、海外に来ていろんなチームを見て、そう感じてます。

いまアメリカで勉強してることを日本に持ち帰って、日本の素晴らしさとアメリカの素晴らしさを持ち合わせるチームができれば、すごくおもしろいチームができるのではないかとワクワクしてます。組織の中の役割を知ることから始め、その役割や自分の特徴を表現できるような存在になっていってもらいたいと思います。

アメリカの素晴らしさと日本の素晴らしさを兼ね備えられたら、もっとおもしろいラクロスができる(撮影・山本倫子)

自分を知ること。自分の役割を理解すること。

この二つが分かると、またさらに強い選手になれるし、信頼し合えるチームに成長していけるんだと思います。

今回はアメリカで感じた、アメリカのいいところをお伝えしました。ぜひまた、いろいろ共有していきたいと思います。

海外のラクロスから学んだ「自分を認める」大切さ

ラクロス応援団長・山田幸代コラム

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