ラクロス

「灘のけんか祭り」で育った神戸大ラクロス主将・小紫大輔、覚悟のラストシーズン

開幕戦後、スタンドに向かってあいさつする小紫(中央、すべて撮影・安本夏望)

関西学生ラクロスリーグ戦・男子1部

8月11日@京都・宝が池球技場
神戸大(1勝) 6-2 大阪教育大(1敗)

春のトップリーグで優勝した神戸大は、関西学生リーグの初戦で大教大に快勝した。第1クオーター(Q)は再三のチャンスを生かせず、まさかの無得点。3-1で迎えた第4Qに3連続得点し、試合を決めた。3年ぶりの頂点へ、神戸大が駆け出した。

開幕戦は終盤にようやく存在感を発揮

主将でAT(アタック)の小紫大輔(こむらさき、4年、姫路西)が、勢いづく大教大の流れを止めた。3-2と追い上げられた第4Q中盤だ。ライドからボールを奪い、一気にゴールまで駆け上がってショットを決めた。「練習のときにチームで力を入れてきたプレーです。決められてホッとしましたね」。ここから立て続けに得点し、大教大を突き放した。

前半は苦しい時間帯が続いていた。チームとして実力差があるはずなのに、ショットを打ち続けても得点できない。大教大ディフェンスに阻まれた。小紫も大事な場面でボールが回ってきても、キャッチミスを連発。そんな中、自分と同じくラストシーズンにかける同期はシーズン初得点を決めた。「序盤は点が入らず、焦りがありました。しかも、同じポジションの子が決めていくので、もっと焦ってました」。浮かない表情が目立った前半とは一変して、試合終盤は小紫の独壇場だった。

得点を決め、仲間と喜び合う

元高校球児、3年の夏は甲斐野の東洋大姫路に惜敗

兵庫県姫路市の出身。もともとは野球をしていた。小2から「糸引ジャガーズ」でプレー。姫路市立灘中では軟式野球部に入った。部の同学年には神戸国際大付高のエースで甲子園に出場した黒田達也(立命館大~セガサミー)がいた。県内屈指の公立進学校である姫路西に進み、野球部へ。最後の夏は、いま福岡ソフトバンクホークスで活躍中の甲斐野央を擁する東洋大姫路に0-2で負けた。「(甲斐野)はめちゃくちゃ球が速かったのを覚えてます。周りにすごい選手がいて、すごくうれしいです」と小紫。東京六大学リーグの早大を目指したが、現役での受験には失敗。1浪して神戸大に入学。浪人中にラクロスを知った。「日本一を目指したい」と、大学から新しい競技に打ち込むことにした。

激しいチェックも、ものともしない

播磨を代表する「灘のけんか祭り」で有名な町に生まれ育った。毎年10月14、15日は太鼓の音が鳴り、「よーいやさー」と威勢のいい声が響く。小紫も「ワイワイした雰囲気が気に入って、小学生のときから大好きでした」と話す。大学に入ってからも2tを超える屋台の練り子として、締め込み姿で参加してきた。でも今年は日本一を目指すラストシーズンの真っ只中。「今年は、祭りはやめとこうと思います」。大好きな祭りをあきらめてでも、ラクロスにすべてをかける覚悟だ。

次は8月17日、関西学院大学との大一番だ。昨年、FINAL4では勝ったが、リーグ戦では5-13と大敗している。「関学は強くていいチームです。去年もボロ負けしました。たくさんの人に喜んでもらえるように、いっぱい点を取り、勝利に貢献したいです」。覚悟を決めた男が、4years.の最後を最高のものにしてみせる。

神戸大は次戦、関学との大一番を迎える

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