立命館ラグビー・片岡涼亮 心優しき主将が背中で仲間を引っ張る
ムロオ関西大学ラグビーAリーグ
第1節 9月1日@京都・宝が池公園球技場
立命館大(1敗) 31-47 近畿大(1勝)
第2節 9月8日@奈良・天理親里ラグビー場
立命館大(1勝1敗) 43-19 摂南大(2敗)
立命館大学ラグビー部はここまで2戦を終え、1勝1敗。全国大学ラグビー選手権大会の1枠をつかみ取るべく負けられない戦いが続いていく。これまで立命館の得点源となっているのが、今シーズンから主将を務めている片岡涼亮(4年、流経大柏)だ。片岡は誰よりも早くピッチに向かい、円陣の中心になって立つ。
主将として戦う姿でチームの団結力を
主将の打診を受けたのは今年2月。それまではリーダーとしての経験はなかった。主将としていま、どのような意識をして取り組んでいるのか? そう問うと「自分の口でみんなを鼓舞することよりも、一つひとつのメニューに一番早く入るなど、自ら素早い行動を見せ、プレーの面で引っぱっていくようにしている」と応じた。
主将としての片岡の印象について、中林正一監督は「(性格は)少し優しい。プレーの面では春に悔しさを味わい、片岡もキャプテンとして難しい時期があったと思う。夏に向かう中で彼自身のプレーも上向きになってきている。チームをまとめることも主将の務めだけど、自身のパフォーマンスを磨くことがチームの団結力アップにつながると思う」と期待を寄せている。
2回目のトライで雄叫び
立命館は第1節に近畿大とぶつかり、片岡はCTBのスタメンとして出場した。開始から立命館は攻めの姿勢を見せるも、逆に近畿大から攻め込まれ、先制を許した。26分、立命館はSOの吉本匠(4年、常翔学園)からパスを受けた片岡がサイドへ押し込み反撃。今シーズンチーム初得点を決めた。しかし片岡はすぐに周りの選手へ指示を送り、相手の攻撃に対し備えるよう促した。しかし結果的に7-35の劣勢で試合を折り返した。
自分たちのラグビーをやりきれていない。そんなもどかしさが片岡にはあった。ハーフタイムには「やるしかない。開き直って攻めにいく」と、チームメイトへ気合を入れ直した。その言葉を皮切りに、後半は序盤から得点を積み重ね、21分には片岡がこの日2トライ目を決めた。トライを決めると、「ここからだ」と言わんばかりの雄叫び。どのチームにとっても、リーグ初戦はその後を大きく左右するかもしれない大事な一戦だ。片岡は主将としてのプレッシャーをものともせず、圧倒的な存在感を見せつけた。この後も追撃を見せたが前半の失点が重く、立命館は31-47で初戦を落とした。
チームがまとまりつかんだ勝利
「相手どうこう言う前に、自分たちが何をすべきかをしっかり把握しなければばらない」。片岡の表情は晴れない。試合までの1週間、もう一度自分たちのラグビーを見つめ直し、第2節摂南大戦を迎えた。
この試合も前節同様、前半は攻めあぐね、ペナルティからの失点などが続き、7-14で折り返した。「(摂南大の)警戒していた留学生アタッカーにボールを多く与えてしまい、ディフェンスが少し流し気味になってしまった」と片岡。守りを重点に置きつつも、サイドに振られたら全力でゲインする戦略で後半に臨んだ。
後半は立命館ペースで進んだ。4分、SH平尾剛士(2年、東福岡)がトライを決め、反撃開始。WTBとして出場した片岡はサイドだけでなく、自ら中央へ走り込んで攻めた。すると6分、平尾がゴール前ラックから片岡へパスをつなぎ、DFラインを突破。今シーズン3点目をもぎとった。「WTBはオーガナイズやアタック、ディフェンスも一番外に入る。そこがCTBとの大きな違い。自分からFWへシェイプをしっかりつくるよう、声をかけるようにしていきました」と片岡はこのプレーを振り返る。視野の広さ、チーム連携の呼びかけ、与えられたポジション以上の役割を全うする。それこそが片岡のモットーとするラグビーだ。その後も立命館の攻撃は勢いを止めることなく、43-19で今シーズン初勝利を手にした。
試合後、片岡は「勝ったことがチームにとっても自信につながると思う」とほっとした様子で試合を振り返った。しかし「まだまだ課題はある。しっかり修正して次の関西学院大戦へすべてをぶつけたい」と先を見据えていた。
今シーズンのチームスローガンは「Break Through」。全国ベスト8という近年成し遂げられていない壁を突き破るべく、「TEAM片岡」がいま、突き進む。