中大短距離・染谷佳大 思うように走れなかった2019年、はいあがる2020年
第88回日本学生陸上競技対校選手権
9月12~15日@岐阜メモリアルセンター 長良川競技場
染谷佳大(中央大3年)
400mリレー 3位
200m 準決勝3組4着 21秒30(向かい風0.5m)
陸上の日本学生対校選手権(日本インカレ)が9月12~15日、岐阜で開催された。中央大の男子400mリレーには7連覇への期待がかかっていたが、筑波大、順天堂大に次ぐ3位に終わった。2走のエース染谷佳大(そめや・よしひろ、3年、つくば秀英)は、1走の宮城辰郎(4年、浜松西)からの声に背中を押されて駆け出したが、筑波との差は広がった。「筑波の方が、全員走力が上だった。そこに関してはそれぞれがレベルを上げないといけなかったし、その中でも一番上げないといけないのが自分でした」。今シーズンを通して思うような走りができていない悔しさが、彼の言葉から伝わってきた。
ユニバーシアード内定後、目標が持てなくなった
染谷は今シーズン、7月のユニバーシアード出場を目指し、4、5月にあった代表選考レースに気持ちを集中させていた。そして200mと400mリレーで代表メンバーに入った。その瞬間、次の目標が定まらなくなってしまったという。ユニバーシアード直前の日本選手権では200mで決勝に進んだが、21秒22(向かい風1.3m)で最下位の8位に終わった。
イタリア・ナポリでのユニバーシアードは200mで準決勝敗退。400mリレー(宮本大輔=東洋大2年、洛南・染谷・山下潤=筑波大4年、県立福島・デーデー ブルーノ=東海大2年、創造学園)では2連覇を果たした。それでも染谷自身は「全然やりきった感はなくて、走れてなかったです。スタートラインのまだ手前にいる感じでした」と振り返る。
日本インカレの400mリレーには、中大のフルメンバーで臨んだ。染谷は1、2年生のときはアンカーを任され、中大の連覇の数字を5、6へと伸ばすのに貢献した。“勝つ雰囲気”を知っていたこともあり、決勝のレース前に染谷は「今回のリレーもその雰囲気で来られた」と感じていた。中大は前回の優勝タイムを0秒21上回る38秒94だったが、筑波大と順天堂大に先を行かれた。染谷は「ほかの大学との走力の差を感じさせられました。気持ちではどうにもならないほどの差がありました」と、こぼした。
400mリレーのあと、本職の200mは準決勝敗退。
「何をどうしたらいいのか、まだ分かってないです」。これが率直な思いだった。
“中大だるま”とともに勝負の2020年へ
それでも、学生ラストイヤーとなる来年の目標は明白だ。6月の日本選手権200mで東京オリンピックの参加標準記録(20秒24)を切り、3位以内に入る。「どこまでいけるか分からないですけど、冬にしっかり走ってなんとしても上位に食い込み、東京オリンピックに出たいです」。悩みながらも染谷は前を見ている。
今大会、中大のメンバーはみな、白いだるまを鞄やリュックにぶら下げていた。日本インカレで力を出し切れるようにと、マネージャーが作ってくれた。毎年作っているものではなく、あるマネージャーがひとりで約40個ものだるまを作ったという。だるまの裏に記された「Fight」に思いを込めて。「見せてもらってもいいですか? 」。染谷に尋ねると「どうぞ。かわいいですよね。これからもつけますよ」と言って、笑顔が広がった。