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特集:第103回日本陸上競技選手権

「夢の舞台」日本選手権決勝で6位 関西大・坂井隆一郎はここから駆け上がる

決勝のレース後、笑顔を見せる坂井(左)と多田(撮影・松永早弥香)

第103回日本陸上競技選手権

6月27、28日@福岡・博多の森陸上競技場
男子100m  坂井隆一郎
予選5組 2着    10秒38(向かい風0.6m)
準決勝1組 4着 10秒28(追い風0.2m)
決勝 6位     10秒31(向かい風0.3m)

陸上の日本選手権第2日の最終種目で男子100m決勝があった。サニブラウン・ハキーム(フロリダ大)と桐生祥秀(東洋大~日本生命)の「9秒台対決」に注目が集まる中、日本の大学生で唯一決勝に進んだ男がいた。関西大学4回生の坂井隆一郎(大阪高校)だ。昨年は予選敗退だった坂井が1万人超の観衆の前で駆け、日本の6位に名を刻んだ。

優勝、優勝、そして日本選手権

坂井は昨年の日本選手権で予選4着、10秒52で敗退した。今年は関西インカレで初優勝し、6月8日の日本学生個人選手権では準決勝で10秒12(追い風1.0m)の自己ベストを出した。決勝では関東インカレで追い風参考ながら10秒02を出した宮本大輔(東洋大2年、洛南)に0秒01差で競り勝ち、初の全国タイトルを手にしていた。

今年から関大の短距離ブロック長となった坂井。東佳弘コーチの助言もあり、スタートの飛び出し方を変えたことが好記録につながってきた。そして日本最高峰の戦いに挑む日がやってきた。

抜群のスタートで、初の決勝進出

予選と準決勝は6月27日にあり、予選はサニブラウンの隣のレーンだった。サニブラウンは予選で「ピストルが早かった」と感じたといい、リアクションタイムが0秒212と出遅れた。坂井はスタートがバシッとはまり、0秒133で飛び出し、サニブラウンの前に出た。しかしサニブラウンの抜群の加速に軽々と抜かれ、坂井は2位で準決勝に進んだ。

スタートは先行した坂井だが、サニブラウンが加速して抜き去った(以降すべて撮影・藤井みさ)

準決勝の同じ組には、小池祐貴(住友電工)、桐生、飯塚翔太(ミズノ)、白石黄良々(セレスポ)といった実力者が並んだ。ここでも坂井はスタートの反応よく飛び出し、序盤はトップ。中盤からぐんぐんと小池が伸び、次いで桐生、飯塚に抜かれて4着となった。2組のそれぞれ上位3人と、タイム順でプラス2人が決勝に進む。10秒28だった坂井は最後の一人で初の決勝進出を決めた。準決勝について坂井は「ほぼベストに近い走りでいけました。着順は取れなかったけど、プラスでいけたのでそこは収穫でした」と振り返る。

準決勝のレース後、大久保(中大)と電光掲示板のリプレイを見て談笑

ちょっとうれしいけど、悔しさのほうが大きい

明けて6月28日の午後8時30分、日本最速の男を決めるための号砲が鳴った。

「準決勝までは緊張してたんですけど、決勝は楽しもうという気持ちでした」と坂井。スタートはほぼ横一線。しかしサニブラウンがぐんぐんと加速し、ほかの7人を置いていく。桐生、小池がそれに続く。最終的に坂井は6位でゴールした。

「やっと夢の舞台に立てたんですけど、やっぱり上の選手は強かったです。差を思い知らされました。調子も悪くなかったんですけど、シニアの大会で実力が上の人たちと走って、自分の実力が発揮できなかったというわけではないんですが、通用しないなと痛感しました」。それでも日本の6位ですよ、と水を向けると「ちょっとうれしいけど、それよりも差が大きすぎて、それに対しての悔しさが大きいです。今後そこを埋められるように頑張っていきたいです」と語った。

大観衆の中走り切る坂井(右)。トップレベルの選手との差を実感した

その「差」は具体的に何なのか? 「スタートは先行できてると思うんですけど、加速して、中間のところで一気に離されるのが課題です。中間から後半をもっと強化していきたいです」。その言葉通り、坂井のリアクションタイムはトップレベルの選手と比べても遜色がない。「リアクションタイムはこれ以上速くはならない。そこは限界なんで」と笑う。

次のレースは7月27日の「オールスターナイト 実業団・学生対抗」の予定だ。「ここまで連戦続きで筋トレができてなかったので、1カ月ちょっとしかないですけどフィジカルを強化していきたいです」。日本最高峰のレースで走った経験が、確実に坂井の意識を変えた。

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