大学陸上・駅伝

関学のエース石井優樹 仲間のために強行出場した学生最後のトラックレース

5000m決勝、ラストの直線で懸命に前を追う石井(撮影・松尾誠悟)

第88回日本学生陸上競技対校選手権

9月12~15日@岐阜メモリアルセンター 長良川競技場
石井優樹(関西学院大4年)
5000m決勝   14位 14分13秒17
10000m決勝 23位 30分42秒81

陸上の日本インカレ3日目、男子5000mの決勝があった。関西学院大の石井優樹(4年、布施)は14分13秒17で14位。この週の始めからコンディション不良に悩まされ、2日前に走った10000m決勝は26人中23位。この日も体調万全では迎えられなかったが、石井は仲間のために走ることを選んだ。

学生最後のトラック、楽しく終えられた

「この集団にだけは、せめて勝ちたい」。必死に腕を振る。ラスト200mからスパート合戦を演じ、14位でゴールした。石井は序盤の1000mまで先頭に食らいついていたが、7位までが13分台となったハイレベルな戦いについていけず、順位を落とした。石井の自己ベストは13分45秒。「実力の割に結果はダメでしたが、最後は楽しかったです。学生最後のトラック(でのレース)を楽しく終えられたと思います」。いつものようにゴール直後にトラックに倒れ込んだときでさえ、自然と笑みがこぼれた。

体力は限界に近かった。2日前の10000m決勝。石井は差し込むような腹痛に襲われていた。「何周走ってるのか分からんぐらい痛かった」。26人中23位でゴールすると、倒れてもだえ苦しんだ。レース中は熱中症に近い症状が出ていた。「苦しくて、走るのが嫌で、マイナスなことばかり考えてしまった」。その日は陽気な石井らしさが完全に失われていた。

10000m決勝のレース後、石井は腹部をおさえて倒れ込んだ(撮影・松尾誠悟)

不甲斐ないレースをした石井はレース後、仲間たちの前で謝った。「今日の最終種目だし、お腹も空いてしんどいのに、最後まで残って応援してくれたみんなに申し訳なかった」。誰も石井をとがめず、それどころか「5000は楽しんでね」と、温かい言葉をかけてくれた。救われた。応援してくれる仲間や両親、コーチのために。万全の体調には戻らず、棄権してもおかしくなかった2日後の5000m決勝も走ると決めた。

「今年は厄年かな?」調子の悪さを乗り越えて

今年に入って、陸上を始めて10年目で初の大きなけがをした。3月中旬に右すね付近を疲労骨折。4月下旬まで練習ができない日々を送った。6月の日本学生個人選手権では2日前に風邪をひき、レース当日も吐き気に苦しんだ。5000mタイムレース決勝の棄権も考えたというが、爆発的なラストスパートで逆転し、連覇をなしとげた。そして、日本インカレでの腹痛。「今年は厄年かな? うまいこといかないです」。独特の言い回しで、報道陣を笑わせた。石井らしさが戻っていた。

仲間のためにも出た5000m決勝のレース後、石井は倒れ込みながらも笑っていた(撮影・安本夏望)

関学を背負って走る機会も残りわずかだ。いよいよ駅伝シーズン。今年は関学チームとして、出雲も全日本も走れる。「チームとして走る喜びをかみしめたいです」。あったかい関学のみんなと、駅伝シーズンで笑ってみせる。

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