関学の石井、全国の駅伝ファン驚かせた区間賞
11月4日朝、お茶の間を驚かせた選手がいる。全日本大学駅伝の日本学連選抜で1区を入った務めた石井優樹(3年、布施)だ。関東勢を抑え、27分25秒の1位で襷(たすき)をつないだ。「1区の石井すごい」。SNSで彼をたたえる書き込みが続々。台風の目となった。
歯を食いしばり、前のめりに
第50回の記念大会になった今年は前半区間の高速化を図り、大幅な区間変更があった。石井の1区は昨年までの14.6kmから9.5kmに短縮。得意のラストスパートが生きた。
集団がばらけず、前に出たいタイミングを何度も阻まれた。残り2kmを切ったとき、仕掛けたのは青学大。集団が絞られ、石井も一時先頭にリードを許した。前に出た青学大と帝京大がペースダウンし、石井は東海大とともに後ろにつけた。
先頭集団のペースが最高潮に達した中、残り500m地点では石井が先行。帝京大に一瞬抜かれるも、残り200mで最後のスパートをかけた。歯を食いしばり、前のめりに疾走。帝京大に3秒の差をつけ、トップでつないだ。「襷を渡した瞬間に、1番だと実感しました」と石井。全国区の駅伝での区間賞は、関学の選手としては初。選抜チームの選手の区間賞は大会初の快挙だった。石井は「史上初というより、区間賞をとれたことがうれしい」と息をはずませた。
ただ、後悔も残る。6月の関西地区選考会関学は4位となり、チームとしての出場はかなわなかった。「関学として区間賞を取りたかった」。選抜チームのメンバーはみな、同じ思いを抱いていることも実感した。「それぞれの思いがある。互いにそれを理解したチームだった」。悔いを晴らす舞台は丹後駅伝。今年、最初で最後の関学として出る駅伝だ。「4回生には一番お世話になった。最後に恩返しをしたい」。全国区になった石井が、先陣を切って勝ちいく。