伊勢で吹き荒れた法大旋風 17年ぶりにシード獲得
江戸時代、人々は信仰を求めて伊勢神宮を目指した。その伊勢路を全国精鋭の学生ランナーたちが“日本一”の栄冠を求めて駆け抜ける。その始まりを告げる号砲が晩秋の曇り空に響いた。
エースの快走でシード圏内へ
12位で終わった出雲駅伝では、悔しい思いしか残らなかった法大。その悔しさを晴らし次の箱根駅伝につなげる上で、今大会は重要なものとなった。法大はエース級選手の粘走、快走により7位でフィニッシュし、見事シード権を獲得した。
1区を任されたのは、けがから復帰直後の青木涼真(3年、春日部)。けが明けとは思えない快走を見せ、区間5位でたすきリレー。総合6位を狙う法大にとっては上々の滑り出しではあるが、青木は「いい仕事はできなかった」と悔いが残ったようだ。このまま順位を保ちたいところだったが、2区の1年生、鎌田航生(法政二)が粘走するも、他大のエース級ランナーについて行けず、11位と順位を落としてしまった。
再びシード権内に入るため仕掛けたのは4区・岡原仁志(3年、広島国際学院)。「調子は良くなかった」という言葉とは裏腹に快走を見せ、順位を二つ上げ9位に。シード権まであと一歩のところでたすきを繋ぐ。続く5区・狩野琢己(4年、東農大二)は安定した走りで9位を死守。6区の長身エース坂東悠汰(4年、津名)にシード権入りの望みを託した。
坂東は出雲駅伝で1区15位という悔しい結果となったが、この日はうって変わって快走。「前を追うことだけを考えてました」と圧巻の走りを見せ、順位を三つ上げ6位へ。8位以上に与えられるシード圏内に食い込んだ。
しかし、このままで終わらないのが学生駅伝。7区、後ろを走る國學院大、明大が追い上げを見せ、土井大輔(4年、九州国際大付)を抜き去り法大はシード圏内ギリギリの8位まで順位を落としてしまう。シード権獲得に向けて後のない法大は最終区、駅伝チーム主将の大畑和真(4年、島田)に望みをつないだ。大畑は目標順位6位に向け粘りの走りを見せ、前を行く明大を捉えデットヒート。主将としての意地を見せ、明大を突き放した。大畑がチーム全員の闘志のこもったたすきを7番手で伊勢神宮に運んだ。
3年生の2人が復帰したことで青木、佐藤敏也(3年、愛知)、坂東の三枚看板が復活。盤石とまではいかないが、役者が揃った体制でこの伊勢路に挑めた。目標である6位にこそ届かなかったものの、17年ぶりのシード権獲得となる意地の走りを披露した。「オレンジエクスプレス」は徐々に力をつけ始めた。「次こそは目標を達成する。応援してくれるファンへ結果で恩返しする」と、主将の大畑はラストイヤーの箱根駅伝へ向けて闘志を燃やしている。いざ箱根路へ。「オレンジエクスプレス」は、次の目標に向けて舵を切った。