コラム

連載:M高史の駅伝まるかじり

もうひとつの全日本 そのとき主務は……

もうひとつの全日本 そのとき主務は……
M高史です。昔もいまも、走り続けてます(撮影・松嵜未来)

きょう11月4日は全日本大学駅伝があります。第50回目の記念すべき大会! 走るコースは変わりませんが、中継所が変更になり、7区間の距離が変わりました。全日本は熱田神宮から伊勢神宮まで8区間106.8kmを襷リレーします。でも、走るのは選手だけではないんです。今回は選手やチームを支えるマネージャーの動きやサポート体制についてお話します。

往年の名選手もOBとして大活躍!

大会前、マネージャーの仕事といえば、チームエントリーやメディアのみなさまの取材対応なども行いますが、その他には新幹線の切符、宿泊などを事前に手配します。大学にもよると思いますが、数カ所に分かれて宿泊します。例えば前半区間、中盤区間、後半区間といった感じです。というのも1区と8区では約80km以上も離れた場所なので、宿泊場所も変わってきます。今回の距離変更に伴い、宿泊場所にも若干変更があるようです。

そして東海地区、近隣の県にお住まいの陸上部OBに連絡してお手伝いしていただけるか確認とお願いをします。駒大の場合は地元のOBが大活躍。選手が移動する際に車を出していただいたりしています。他大学のマネージャーOBにも聞いたのですが、やはり地元の陸上部OBに声がかかるようです。卒業していった先輩たちが今度は後輩たちのサポートをするという世代間の襷も繋がれてるんですね。中継所で待機している選手の隣に、かつて駅伝で大活躍し現在は引退したあの選手がいる! なんてこともありますので、駅伝ファンの方にはたまりませんね! 画面をよ~く見ててください(笑)。

さて、マネージャーの仕事に話が戻しますと、名古屋に向けての出発前に、8区間分の準備をしてから寮を出ます。水、スポーツドリンク、レース前後に飲むサプリメント、ワセリン、ウォームアップジェル、リラックスジェル、ファイテンテープ、毛布、タオル、ストレッチ用のマット、シート、などなど各区間分用意します。1区の選手は8時5分にスタートしますが、だいたいレースの6時間前には起床するので、1区の選手とマネージャーは2時起き(笑)。まずは選手の体調を確認。風邪や足の痛みなどという万が一の場合に備え、補欠の選手も早めに起床します。

軽めの朝練習。その後、朝食をとります。なるべく消化のいいものをいただきます。マネージャーはこのあと夜まで食事をとれないので、動ける程度にしっかり食べておきます。他の区間の選手はスタート予定時刻が異なるため、もう少し遅く起床します。例えば、8区の選手とは約4時間ほどスタート時間が異なるため起床時間も大きく違います。

時々、早朝だと体が動きにくく力を発揮しづらいという選手がいて、そういう選手は後半区間を走ることがあります。逆に汗っかきで暑さに苦手意識があるという選手は、まだ気温が上がりにくい前半区間に配置されることも。持ちタイムだけでは計れない選手の体質も戦略の一つと言えます。

前準備として欠かせないのが、レース中の連絡手段の確保です。それぞれ中継所近くに宿泊しているコーチや他のマネージャーと連絡を取り合います。今はLINEがあるので、情報共有や伝達はかなり楽になったと思います。ぼくのときは携帯電話でしたし、もっと上の代のマネージャーさんたちにお話をうかがうと、公衆電話だったそうです。

ちなみに、「スタートの位置はどうやって決まるの?」って疑問に思ったことはありませんか? 実は、オーダー提出の際に、くじ引きで決まります! 大抵くじ引きをするのは各校のマネージャー。プレッシャーを感じながら引きます(笑)。ただ、いまはちょっと変更されており、シード校だけは事前に位置を定めます。

レース中、監督と主務は別行動

そして1区がスタート! 全日本は監督と主務は別行動となり、各大学の監督は専用のバスに乗り込みます。レースの真っ最中、ピリッピリに緊迫した中、増田明美さんが各大学の監督に突撃インタビューされるあのバスです(笑)。

以前、マラソン大会で増田さんとご一緒したときに「あのバス緊張しませんか?」とうかがったところ、「もっと若いときだったら緊張してたと思うけど、今はグイグイいけるのよ」とおっしゃってました(笑)。レース中の増田さんの「細かすぎるリポート」にも注目です!

各区間、決められた場所で応援できるポイントがあり、タイム差であったり、指示や檄が飛びます。ぼくが主務のときは1区の選手に付き添い、スタート後は車でコーチと移動。1区を走り終えたら選手をピックアップし、フィニッシュへ向かっていました。ぼくのときはそうでしたが、今回の区間距離変更に伴い若干の変更あるようです。あと、学校によって移動体制も異なります。

フィニッシュに移動した後は、フィニッシュ地点の大型モニター前でレースの様子を確認し、各区間を走り終わってフィニッシュ地点に到着した選手たちと合流します。ただ、レース展開や状況に応じてフィニッシュで待機するか、フィニッシュからコースへ戻って応援するか変わってきます。

ぼくが3年生のときは熾烈な2位、3位争いでしたので、マネージャーや走り終わった選手や補欠の選手はフィニッシュからラスト500m、ラスト1kmに移動して応援でした。他の大学の選手やマネージャーも同じような地点にいるので、ラスト2km切ったあたりからは沿道の部員たちによる応援合戦にも注目です。今年からシードは8位まで与えられるようになり、シード権争いは選手も鍔迫(つばぜ)り合い、沿道からの応援も熾烈です。

ぼくが4年生のときは駒大が優勝しましたので、チームメイトと出迎えました! そのとき優勝のフィニッシュテープを持っていた両端の2人が友だちだったのもあって、レース後、「あげる♪」とフィニッシュテープをくれました(笑)。大八木監督に報告したところ「お前が持ってていいよ」ということで、ありがたくいただきました!

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このフィニッシュテープが、あのときの感動をよみがえらせてくれます(写真・本人提供)

「男だろ!」の檄で見た目は厳しそうに見える大八木監督ですが(笑)、陸上と教え子が大好きなんです。常に選手やマネージャーのことを考えていて根本に愛情があるので、学生もそして卒業生も大八木監督のことをリスペクトしているのだと思います。余談ですが、フィニッシュテープには「第◯回全日本大学駅伝」という文字とメインスポンサーさんの会社名が大きく書かれているため、毎年新調されているようです。

というわけで、今回はマネージャーやサポート体制という視点から、駅伝をまるかじりさせていただきました! 選手たちの走りはもちろん大注目ですが、裏方の動きも意識していただくと、違った角度から駅伝観戦をお楽しみいただけるかもしれません。

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