大学陸上・駅伝

特集:第88回日本学生陸上競技対校選手権

國學院大・浦野雄平「唯一無二の選手」を目指し、ラストイヤーを駆ける

ゴール後、浦野はなんともいえない表情を見せた(すべて撮影・藤井みさ)

第88回日本学生陸上競技対校選手権 男子5000m決勝

9月14日@岐阜メモリアルセンター 長良川競技場

1位 イェゴン・ヴィンセント(東京国際大1年)13分35秒75
2位 レダマ・キサイサ (桜美林大4年) 13分39秒05
3位 𠮷田圭太 (青山学院大3年) 13分43秒54
4位 ローレンス・グレ(札幌学院大2年) 13分51秒54
5位 浦野雄平(國學院大4年)13分58秒59

9月14日、陸上の日本学生対校選手権大会(日本インカレ)5000m決勝が岐阜メモリアルセンタ―長良川陸上競技場であった。かねてより「留学生に勝つ」と口にしていた國學院大の浦野雄平(4年、富山商)は5位で、日本勢2位だった。

日本インカレ5000mでエース対決制した青学・𠮷田圭太「自分たちはまだ弱い」

留学生に食らいつくも、徐々に離れる

この日は昼間の気温30度、競技開始時も気温28度という暑さの中でのレースとなった。開始直後から東京国際大のルーキー、イェゴン・ヴィンセントが先頭を引っ張り、そこに東海大の小松陽平(4年、東海大四)がぴったりとつく。浦野は小松と並走し、1000mの通過は2分45秒、2000mは2分43秒とハイペースでラップを刻んだ。

𠮷田(左から2人目)に前に行ってもらって少し休もうと思ったという。だが、ズルズルといかれてしまった

3000mを過ぎて先頭集団ばヴィンセント、𠮷田圭太(青山学院大3年、世羅)、浦野、レダマ・キサイサ(桜美林大4年)、ローレンス・グレ(札幌学院大2年)、ダニエル・カヨウキ(桜美林大1年)の6人に。ラスト5周となり、𠮷田が浦野の前に出ると、浦野は徐々に集団から離れた。浦野は全体の5位、日本勢としては𠮷田に次ぐ2位となり、ゴール後は悔しいような、納得いかないような表情を浮かべた。

シンプルに力不足

「余裕持って走れてましたけど、もう一つ伸びが足りなかった。我慢できなかったです」。試合後、浦野はレースをそう振り返った。7月のホクレン網走大会の際、浦野は5000mを13分45秒94で走り、自己ベストを7秒近く更新。レース後に「留学生とトラックで真剣勝負するのは(全日本インカレが)最後になると思うので、なんとか勝てればと思います」と口にしていた。

その宣言通り、はじめから先頭に食らいついていったが、及ばなかった。「この大会に状態を100すべて持ってきていないにしろ、勝ちにいってるんで。その中で勝ちきれなかったのは、自分の我慢強さが足りないのと、シンプルに留学生と比べてスピード・パワーがまだ劣っているなと思います」。レースの出来については「実力、結果、内容、すべて足りなかったです。60点です」と苦笑する。

やるからには、トップをとりたい

なぜここまで強く、「留学生に勝つ」と思い続けているのだろうか。そこには、「やるからにはトップをとりたい」という浦野の負けん気があった。「日本人に勝っても、それは日本人の中での勝負。日本人トップでも関東インカレでは表彰台にすらのぼれない。やるからにはトップを取りたい、そうすると留学生に勝たなきゃって」。浦野は2部5000m、10000mともに日本勢1位になったが、順位は4位、6位だった。

2018年に世界学生クロカンに出場してから意識が変わり、なんとしても勝ちたいと思ってやってきた。「でもなかなか勝てなかったですね」。この日1位になったヴィンセントのタイムは13分35秒75と、浦野の自己ベストより10秒も速い。立ちはだかる壁は高かった。

ラスト1周、浦野は懸命に前を追った

2日前には、10000m決勝でチームメイトの土方英和(4年、埼玉栄)と藤木宏太(2年、北海道栄)が3位、4位(日本勢1位、2位)と好結果を残していた。チームが上り調子だからこそ、結果にこだわりたかった。「土方、藤木がいい走りをして、自分も続かないといけないと思いました。監督、スタッフ、コーチ、それから選手の中でも『浦野は走って当たり前』みたいに思われてるし、僕自身が結果を出して当たり前と思ってました。だから今日の順位はちょっと物足りないです」。物足りない。まだ上に行けると思っているからこそ発せられる言葉だろう。

もう1段上に行くために、感じている課題について聞いてみた。「トラックに関しては、もっと場数を踏まないといけないです。上のレベルのレースだと変化に対応する力が求められて、そこを重点的にやってきました。手応えはあって、練習の中でも徐々に質もあがってきたんですけど、まだ試合に応用しきれてないかなと。駅伝に関しては、攻めることが求められると思います。守ってても仕方ないので、可能な限り前を追って……。今年はトップで走ることも考えられるので、トップでたすきを受け取ったら周りをどんどん引き離す、ゲームチェンジャー的な走りをしなきゃいけないと思います」

ダブルエースって好きじゃない

國學院では浦野、土方のふたりの4年生がダブルエースと言われており、ふたりとも着実に結果を残してきた。だが浦野は「ダブルエースって、正直好きな表現じゃないです」という。「チームとしてはエースがたくさんいるのはいいと思うけど、僕は一番上に立ってたいです。並んで評価されるということはまだまだかなって思います」と、チームメイトにもライバル心を燃やす。

土方(右)は10000mで3位となり、表彰台にのぼった

その土方はすでに東京に戻っていた。この日、岐阜は30度を超える暑さだったが、東京は涼しかったようで「レース前に『自己ベストだね』ってLINEがきました。でも暑かったので及ばずで……(笑)。関東インカレからお互いずっと日本勢トップで、チームとして負けてなかったので、今日はちょっと申し訳ないと思います。(土方に)ちょっと先いかれちゃいました」。駅伝で借りを返す? 「駅伝では僕のほうがいつも区間順位がいいので、区間は違えど彼を上回る走りをしていきたいです」。チーム目標は三大駅伝3位以内。そして浦野も、土方も、区間賞を狙うと言い切った。この切磋琢磨こそが、今年の國學院の強さの一因でもある。

歴史を変える「唯一無二の選手」に

今後、どのような選手になっていきたいですか? と問われると「過去にも先にもいない、唯一無二の存在になりたい」と答えた。唯一無二。その強い響きに惹かれ、どういうことなのかもう少しつっこんでみた。「タイムもそうだし、走りも誰にも真似できないような、いままでチームにいなかったような選手にならなきゃ。國學院の今年のテーマが『歴史を変える挑戦』で、本当に歴史を変えなきゃいけないので、いままでと同じじゃなくて新しい國學院を見せたいです」

そう答える浦野の顔からは、充実感と自信のようなものが感じられた。秋の駅伝シーズン、浦野雄平はさらに進化した姿を見せてくれるだろう。

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