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関大アメフト渡邉大介、値千金の逆転TDパスキャッチ 9年ぶりに立命下し、関学に挑戦

試合残り1分、関大のWR渡邉は相手と競り合いながら28ydのTDパスをキャッチ(すべて撮影・安本夏望)

アメフト関西学生リーグ1部 第5節

1016日@大阪・エキスポフラッシュフィールド
関西大(4勝1敗)17-14 立命館大(4勝1敗)

台風19号の影響で延期となった関西1部第5節の1試合が1016日にあり、関西大が立命館大に逆転勝ち。関大が立命に勝ったのは9年ぶり。試合残り1分、値千金のタッチダウン(TD)パスを受けたWR渡邉大介(3年、阪南大高)に注目した。

試合残り1分、リーグ戦初のTD

試合残り152秒、10-14と4点を追う関大のオフェンスは自陣34ydから始まった。QB(クオーターバック)日野上健一(4年、関大第一)のスクランブルとWR渡邉へのパスで敵陣38ydまで入った。第2ダウン10yd。日野上が立命ディフェンスに襲いかかられながら投げたパスが浮き、インターセプト。万事休したかと思われた。だが、立命サイドに反則があり、関大は九死に一生を得た。

 ゴール前28ydまで進んでオフェンス続行。次のプレーもパス。左から右へモーションした渡邉が勢いよくパスコースに出ていく。エンドゾーンの中央付近に走り込もうとする渡邉に向かって、日野上が右腕を振り抜いた。エンドゾーンに到達した渡邉は2人のDB(ディフェンスバック)にマークされていたが、日野上のパスはここしかない、というポイントに飛んだ。渡邉の背後から来たDBはパスカットを狙って空振り、前から追う形になったDBはボールに手が届かなかった。そして渡邉がガッチリとキャッチした。再逆転のTDだ。17-14。夜のエキスポフラッシュフィールドが関大ファンの大喜びで揺れた。何と渡邉はこれがリーグ戦初のTD。「人生初TDが立命の逆転でうれしいです」。試合後、興奮気味に言った。残り1分、立命の反撃をしのぎ、関大が勝った。

立命に勝ったあと、同じポジションの仲間の前で語る渡邉(17番)

 関大は毎試合前に各自が「やること」「やらないこと」のリストをつくっている。それをLINEのグループで共有する。渡邉は立命戦へ向け、やることに「ボールが手に入るところまで見てキャッチ」、やらないことに「過去を振り返らないこと」をリストアップ。同じポジションで主将の小田康平(4年、関大第一)からも「大介は欲張らんでええ。走ることなんか考えんでいい。キャッチせぇ」と言われていた。キャッチだけに集中。これをやりきった結果、あのTDが生まれた。相手のディフェンスが周りにいたことも気づかないぐらい、無我夢中でボールだけを見ていた。「TDが取れたのは、練習に付き合ってくれた先輩やコーチのおかげです。僕を信じてコールを出してくれたことに感謝します」と語った。

合宿でミス連発、先輩が支えてくれた

小田にそこまで言われるのには理由があった。今年8月の夏合宿。何度も渡邉がパスターゲットになるプレーがあった。だが、渡邉はドロップ(落球)を繰り返した。いわゆるイップスのような状態になってしまった。「正直、滅入ってました。自信がなくて、ずっと『捕れるんかな?』と考えてしまって、悪い流れになってました」。そんな渡邉を救ったのも小田だ。合宿中、小田は渡邉に「3回生なんやから、自覚持ってキャッチしろ。自信持って『やれる』と思えば捕れる」と一喝。それからは小田も一条三四郎(4年、東山)も渡邉に声をかけ、支えるようになった。

9年ぶりの立命戦勝利を支えたのはディフェンスの踏ん張りだ

 高校時代も同じようなことがあった。大阪の阪南大学高校の野球部でピッチャーだった。高2の夏を前に、イップスになった。無理して投げ続け、逆にまったく投げられなくなった。外野手に転向したが、野球で輝くことはなく、甲子園は遠かった。今年の夏合宿でパスを落としまくり、野球での苦い思い出がフラッシュバックした。それでも今回は違った。親身になってくれる先輩がいた。渡邉大介は生き返った。そして、関大の歴史を変えるTDパスをもぎとった。

 2節で神戸大に負けはしたが、これで優勝争いに踏みとどまった。1027日は王者関学に挑む。昨年は19-19で引き分けた関関戦。今年の関大には、たくましくなった3回生レシーバーがいる。

関大の選手たちは試合後に小田主将(11番)の話を聞き、来たる関学戦へ気持ちを高ぶらせた

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