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京大ラクロス松野飛大 けがから復帰の関西準決勝で4得点「決勝では5点とる」

準決勝でシュートを決め、喜ぶ京大の松野(中央89番、すべて撮影・安本夏望)

ラクロス関西学生リーグ戦・男子1部 FINAL4準決勝

10月26日@大阪・鶴見緑地スタジアム
京大(3位)12-5 立命館大(2位)

関西の男子ラクロス1部の準決勝2試合が10月26日にあり、京大がリーグ戦の対戦では負けていた立命館大に12-5とリベンジし、11月4日の関西学院大との決勝に進んだ。けがからの復帰戦となった京大のAT(アタック)松野飛大(ひゅうた、3年、旭丘)がチーム最多の4得点を決め、決勝進出の大きな力となった。

自ら打開して決めた同点シュート

わっしょいわっしょい、松野だ、松野だ。3-4の第2クオーター(Q)11分すぎ、ネット裏の松野は、右サイドにいたMF(ミッドフィルダー)堀田真(4年、東大付)からのボールを受ける。相手をかわしながら裏からゴール前へと回り込み、力強いシュート。4-4と追いついた。思わずクロスを投げ捨ててガッツポーズ。「自分でこじ開けて決めたので、やってやったぞ! という気持ちでした」。興奮気味にまくし立てた。

第3Qに決めた松野自身の4得点目は、相手の意表を突く仲間のプレーから生まれた。主将の椎橋広貴(こうき、4年、県立船橋)からのバウンドパスを受け、松野が決めた。アイデアマンの椎橋が考え出したパスで、遊び感覚で練習していた程度だった。「朝の練習で確認してたから、もしかしたらくるかなって思ってましたけど、まさかあの場面でくるとは……。さすがです」と笑った松野。7-4と立命を突き放す得点となった。

「今日、何点決めたん?」「4点」

リーグ戦期間中の9月中旬、京大は3泊4日の合宿で広島に行った。最終日の練習で、松野はディフェンスのチェックを受けた際、相手のクロスが右手の甲に当たった。始めは「たいしたことないやろ」と軽く考えていた。だが、検査を受けると骨折で全治1カ月半と判明。松野を欠いた京大は苦戦を強いられた。リーグ後半の3試合は2敗1分け。リーグ戦1位通過の有力候補だったのが、3位通過になった。9月21日の立命戦では、AT庄晋太郎(4年、川越)とMF相田凛太郎(4年、滝)が徹底的にマークされ、7-9で敗れた。「脇役の俺がいなくて、チームは苦しかった。間に合ってよかったです」。エースの裏で松野が果敢に動き回って輝き、立命にやり返した。

京大は「脇役」の松野が機能すると強い

重ね努力、厳しい主将も「うまくなったな」

松野は昨年まで試合に出られず、くすぶっていた。周りからは「シュートが下手くそ」と言われ、同じATの椎橋主将からは怒鳴られることも多々あった。「キャプテンは賢くて、頭もプレーもついていくのに必死でした」と松野。3回生になって、練習に打ち込むようになった。全体練習が終わってからも、シュートを繰り返した。経営学者である内田和成さんの『仮説思考』を読んで、物事を深く考えるようになった。いつしか、プレーを合わせるのが難しかった主将とも合うようになった。「うまくなったな、って褒められるようになりました」。松野は無邪気な笑顔を見せた。準決勝のバウンドパスも、主将からの信頼の証しなのだろう。

就活も気になるが、いまはラクロスに没頭

文学部に学ぶ松野の夢は、スポーツ記者になることだ。「ジャーナリズムの最前線」という講義で刺激を受けた。毎週入れ代わり立ち代わり、朝日新聞社のいろんな部署の記者たちが講師としてやってきて語ってくれる。「スポーツを通じて、人の心を動かす」。スポーツ部記者の話を聞き、記者の仕事に魅力を感じた。授業が終わってから、その記者に名刺をもらいに行くほど興味を持った。もともと、スポーツに関わる仕事がしたかったという。「まだぼんやりとなんですけど、記者を目指そうと思いました」

3回生で就活も気になる時期だが、まずはラクロスだ。「関学には同い年のうまい子が多い。でも俺は5点とります」。記者としてネタをとる前に、ラクロスで点をとりまくる。

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