アメフト

1敗の立命館アメフト「この1年やってきたすべてを出しきる」 10日、全勝の関学に挑戦

中学時代から9年目のコンビとなるQB荒木(左)とWR木村(すべて撮影・安本夏望)

アメフト関西学生リーグ1部 最終節

11月10日@大阪・万博記念競技場
関西学院大学(6勝)vs 立命館大学(5勝1敗)

関西学生リーグ1部最終節の11月10日、2位の立命館大がすでに優勝を決めた関西学院大に挑む。立命が勝てば、関学と同率優勝。甲子園ボウルの西日本代表を決めるトーナメントには「1位」で進める。敗れれば、ほかのカードの結果と抽選の結果次第でトーナメント進出の道が断たれる可能性もある。決戦を前に11月5日、立命の古橋由一郎監督と主力選手5人が記者会見に臨んだ。

古橋監督「接戦をものにしたい」

古橋監督は柔和な表情で語り始めた。「負けると抽選で先に進めない状況もありますけど、この1年間やってきたことのすべてを出しきるだけだと思うんですよね」。関学戦の展開について問われると、厳しい表情になって言った。「ディフェンスが崩れれば終わりだと思います。タッチダウン(TD)2本とフィールドゴール(FG)ぐらいで抑えないと勝てない。去年、おととしとミスがあったキッキングもしっかりやりたいと思います」。確かに立命オフェンスはここまで、ランで思うように前進できていない。関学ディフェンスから大量得点は見込めず、ディフェンスで粘り、キッキングゲームで大きなミスなく試合を進めたいところだ。

古橋監督は選手たちに「俺はやりきった」と言える取り組みを求めてきた

すでに土がついた状況で最終節の関学戦を迎えるのは、2013年シーズン以来だ。第5節に関大に負けて下を向く選手たちに古橋監督は「最後に力を出すためには、試合前に『俺はやりきった』と言える取り組みをすることだと思う。最後の最後まで磨きをかけろ」と、ゲキを飛ばした。「これまでも(関学とは)接戦のゲームがかなりあるんですよ。絶対、接戦になるだろうし、その接戦をものにしたいと思ってます」

鈴木はチームを勝たせるために主将に立候補した

主将でDL(ディフェンスライン)の鈴木総司郎(そうじろう、4年、佼成学園)は「やられる前にやる。汚い言葉かもしれないけど、死ぬ覚悟でやりきります」と力を込めた。1点差で負けた昨年の西日本代表決定戦は、キッキングゲームのみの出場。試合残り2秒からのプレーで逆転FG(フィールドゴール)を決められた瞬間は、サイドラインから見つめた。「負けてしまったのか」。そう思ったという。3回生までDLとしての出番がほとんどなかったにも関わらず、主将に立候補した。主将を決める際、手を挙げたのは鈴木だけだった。「スターターで出てたわけではないけど、『立命を勝たせたい』『立命が一番好き』という思いが強かった。キャプテンになってチームを引っ張りたいと思ったんです」と振り返った。今シーズンは常時ディフェンスの最前線に立ち、背中でも引っ張る。古橋監督は「自分のやり方でチームをまとめてくれてます」と鈴木への信頼を口にした。

加藤は立命ディフェンスで最高のパスラッシャーだ

DL加藤「あれほど悔しいことはなかった」

副将でDLの加藤聖貴(4年、立命館守山)は、例の逆転FGのときにフィールドにいた選手の一人だ。“逆転サヨナラ負け”の瞬間、芝生の上に崩れ落ちた。「去年のことを思い出すだけで胸が痛くなります。人生であれほど悔しいと思ったことはなかった」と語る。この1年、何度もあの日の映像を見返してきたという。「自分のモチベーションにしてきました。『何のためにアメフトやってんのか』を思い出させてくれる、いいビデオでもあります」。ここまでの6試合で6回のQB(クオーターバック)サックはリーグ2位。もう2度と同じ思いはしたくない。関学のQB奥野耕世(3年、関西学院)にハードヒットするイメージはできている。

同じく副将でQB荒木優也(4年、立命館守山)は、2回生の西日本代表決定戦が自身初の関学戦出場だった。当時のエースQB西山雄斗(現・みらいふ福岡SUNS)が負傷退場し、代わりに出た。「初めての大舞台で緊張しました」と振り返る。「あのときは2回生だったんで、周りの4回生に守られ、支えられてました。今年は逆に自分がその立場になります。周りが心地よくプレーできるようにしたいです」。関学ディフェンスについては「穴がない。パスカバーもしっかりしてて、LB(ラインバッカー)の守備範囲が広い」と警戒。「パンサーズらしいオフェンスができるかどうかが、カギになります」と語った。

立命のOLたちは、立川を気持ちよく走らせられるだろうか

エースRB立川「TDとりにいく」

荒木の言う「パンサーズらしいオフェンス」の主役は、1回生から活躍してきたエースRB(ランニングバック)の立川玄明(たつかわ・ひろあき、3年、大阪産大付)だ。彼の力強いランでコンスタントにゲインを奪えなければ厳しい。ここまで通算399ydを走り、6TDを挙げてきたが「自分の力で取れたTDはない」と、何ら満足していない。関学戦もルーキーイヤーから経験してきた。1回生のリーグ最終戦での対戦では、開始早々にTDを決め、試合にも勝った。「1回生のときはがむしゃらでした。初めて関学に勝って、いい経験をさせてもらいました」と振り返る。立命はその試合以来、関学に負け続けている。「ボールを持たせてもらうからにはTDをとりにいく。(ランプレーを)1ydでも前に出したい」

WR(ワイドレシーバー)の木村和喜(3年、立命館守山)は「ワクワクと緊張感が体中に伝わってます」と、人懐っこい笑顔で言った。立命館守山中から数えて9年目となるQB荒木とのコンビも、とりあえず今年が最後だ。「あの人は誰よりも頑張ってる。誰からも信頼されてる人です。今年こそ花を持たせてあげたい」と話した。昨シーズンのリーグ最終戦での対戦では、荒木から木村へのロングパスでTDを決めている。「どれだけ早いタイミングで(オフェンスに)火をつけられるか。自分がやるしかないです」。鋭い目で、そう言った。

去年の甲子園ボウル西日本代表決定戦は、関学に19-20で負けた

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