アメフト

土佐高野球部出身の立命WR髙田輝 輝きだしたラストイヤー、甲子園ボウルへ全力疾走

タッチダウンを決め、仲間と喜び合う髙田(右)(撮影・安本夏望)

関西学生リーグ1部 第3節

9月21日@大阪・万博記念競技場
立命館大(3勝)34-0 神戸大(2勝1敗)

アメフトの関西学生リーグ1部の第3節で、立命館大が前節で11年ぶりに関大を破った神戸大を34-0と圧倒した。ディフェンスで4度もボールを奪って完封。オフェンスも四つのタッチダウン(TD)を奪ってみせた。今節も立命の元高校球児たちがオフェンスで輝いた。

そのときどきで目標を立て、はいあがってきた

4years.はその中でも高知の土佐高校野球部出身、4回生のWR(ワイドレシーバー)髙田輝(たかた・ひかる)に注目した。
14-0で迎えた第クオーター(Q)9分すぎ、敵陣35ydからの第1ダウン10yd。「俺や。俺に飛んでくる」。中央付近にセットした髙田が縦に抜けた。QB(クオーターバック)荒木優也(4年、立命館守山)のパスが飛ぶ。柔らかいキャッチでつかみ、そのままエンドゾーンへ駆け込んだ。35ydのTDパスとなった。「いいボールを投げてくれた」。髙田は前節の同志社大戦で、4年目にしてリーグ戦初TDとなる25ydのTDパスを荒木から受けていた。

かつての志望校だった神戸大相手にタッチダウンを決め、ガッツポーズ(撮影・安本夏望)

はい上がってきた。1回生のころから目標を立て、日々の練習に取り組んだ。今シーズンの目標はスターターを取ること。その目標は春の初戦で達成した。名城大戦でスターターを勝ち取り、2ポイントコンバージョンで値千金のパスキャッチ。14-13と競り勝った試合で、彼が貴重な2点をもたらした。「1回生のころからアメフト経験者との差を痛感して、目標を立ててやってきたのが報われた形です」と語る。この春から、めきめき頭角を現した。

髙田の通った土佐高は高知県随一の進学校でありながら、野球部は春夏合わせて12回の甲子園出場を誇る。土佐の野球部といえば「全力疾走」が有名だ。攻守交代の際、必死で走って移動するひたむきな姿が、甲子園ファンを魅了した。真っ白なユニホームも有名だ。
髙田はもともとサードを守っていたが、ピッチングセンスを見いだされ、最後の夏には2番手ピッチャーとして臨んだ。四つの球種を操る右の技巧派。高知大会2回戦で先発し、6回を投げて2失点。しかし最後の夏は高知大会準決勝で幕を閉じ、1度も聖地・甲子園の土を踏めなかった。「全力疾走にあこがれて入りました。攻守交代のときだけでなく、いろんなことに『全力』なんです。きびきびした動きは、いまも生きてます」

きわどいキャッチを決め、「捕ってますよー」のアピール(撮影・篠原大輔)

アメフトをやりたくなり、目指したのは神戸大だった

そうして全力で向き合った野球に、区切りをつけた。アメフト好きの父の影響で、NFLをテレビで観戦していた。自分でもやりたくなり、大学受験の第1志望を神戸大にした。だが、不合格。合格した立命でアメフトを始めた。最初はかっこよさに惹(ひ)かれてQBをやろうとした。でも実際にボールを投げてみると「次元が違う」と感じた。次にパスキャッチにも野球の経験を生かせると思った。そして4年目を迎え、当初の志望校だった神戸大戦でTD。「気持ちよかったです。立命に入ってよかったと思いました」と言って、ほほ笑んだ。

立命は数年前から野球出身のアスリートに目をつけ、強豪高校の野球部から続けて選手が入ってきている。現状、高校時代に野球部だった選手は17人と一大勢力だ。夏の甲子園の時期は合宿と重なって現地観戦はできないが、経験者で “野球トーク”に花が咲く。「あるあるネタをよく話します。それぞれの高校の練習のしんどさとか、どんな罰があるかという話で盛り上がりますね」と髙田。

この秋冬は、アメフトで甲子園を目指すラストチャンス。冬の甲子園に向けて髙田は「ここからどんどん相手が強くなっていくんですけど、相手関係なく戦っていきたい」と語る。
甲子園で全力疾走してTDパスを受けるその日まで。髙田の挑戦は続く。

土佐高野球部時代は届かなかった甲子園への思いは強い(撮影・安本夏望)

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