関学アメフト「1年準備してきた。悔いなく臨む」単独Vかけ、10日に立命戦
アメフト関西学生リーグ1部 最終節
11月10日@大阪・万博記念競技場
関西学院大学(6勝)vs 立命館大学(5勝1敗)
アメリカンフットボールの関西学生リーグ1部最終節の11月10日、すでに6戦全勝で2年連続57度目の優勝を決めている関西学院大が、1敗で追う立命館大と戦う。甲子園ボウルの西日本代表を決めるトーナメントへの進出は決まっているが、この日負ければ立命と同率優勝となり、「1位」より2試合多く戦わなければならない「2位」での進出となる。11月6日、関学の鳥内秀晃監督(60)と主力の5選手が記者会見に臨んだ。
主将の寺岡「不安な気持ちでいっぱい」
主将でDL(ディフェンスライン)の寺岡芳樹(4年、関西学院)は「不安な気持ちでいっぱいです。1年間準備してきた舞台なので悔いなく臨みたい」と、神妙な表情で語った。17-15と神戸大に苦しめられた第4節の試合後、約60人いる4回生部員がハドルを組み、主将、副将と主務が思いを口にした。「神戸戦で変わるきっかけをもらいました。これまで妥協していた部分があったけど、一人ひとりが変わってきました」
エースQB(クオーターバック)の奥野耕世(3年、関西学院)は決戦を前に心を踊らせる。「僕自身、あの場所(万博記念競技場)の雰囲気やあそこで試合をするのは好きで、いい意味でピリッとした緊張感があります」と語る。昨年のリーグ戦での対戦では2本のタッチダウン(TD)パスを決めて快勝したが、西日本代表決定戦では奥野が3度もインターセプトされ、何とか逆転勝ちに持ち込んだ。無理する必要のない状況で我慢できず、投げてしまった。「先制点をとられて、自分が勝手に焦ってしまった。今年は状況を見て判断していきたいです」と、教訓を口にした。
20-19で勝った昨年の西日本代表決定戦で、要所でナイスキャッチを見せたのが副将のWR(ワイドレシーバー)阿部拓朗(4年、池田)だ。「去年は、松井理己さん(現・富士通フロンティアーズ)や小田快人さんといった先輩がいて、僕にはマークが弱くなったところにパスが飛んできた。今年はマークされると思いますけど、その状況でTDを取りたいです」
今シーズンのエースRB(ランニングバック)は三宅昂輝(3年、関西学院)だ。「試合を重ねるごとに『自分が一番走らないといけない』という思いが強くなってきてます」と話した。試合前夜に仁川の河川敷をジョギングするのがルーティンだという。ゆっくり7km近く走る。「体のコンディションを整えるために走ってます。スッキリした気持ちになります」と話す。試合前も走って、試合ではもちろん走りまくってファイターズを勝たせる。
今年の立命戦のためにつくったポスターにピンで登場したのは、副将でDB(ディフェンスバック)の畑中皓貴(4年、滝川)だ。「どうせ阿部やろ、と思ってました。でも、マネージャーが僕を選んでくれました。宝物になると思います」と言ってニヤッと笑った。2回生からスターターで、甲子園ボウル出場をかけた立命戦でインターセプト。ポスターの写真はそのときのもの。昨年のリーグ戦の対戦でもインターセプトを決めた「立命キラー」だ。「去年のプレーは予想してて、インターセプトできました。頭の片隅には『3年連続』(でインターセプト)という思いがあります」。今年はリーグ戦中盤から何度もナイスタックルを見せている。関学の“守護神”と呼ぶにふさわしい男になってきた。
鳥内監督のリーグ戦ラストゲーム
1992年に就任し、今シーズン限りでの退任を発表している鳥内監督は「関学より立命の気持ちが上回ってる」と指摘する。「向こうのチーム自体が(逆転された)去年のラスト2秒から始まってる。我々以上にモチベーションは高い。常々言うてるけど、気持ちが上がってこんのが心配です」と語った。選手たちが「苦戦した神戸大戦で変わった」と話していたことを報道陣から聞き、さらに厳しい表情になった。「全然変わってない。(なのに変わったと思ってる)そのレベルが甘いねん。まだまだや。そんな覚悟でやってたら負けるんちゃう?」。展開については「(TD)2、3本の勝負ちゃいますか?」と語った。「気持ちが入りすぎてもうまくいかん。気持ちのコントロールが一番大事やと思いますわ」
鳥内監督の目は真っ赤に充血していた。毎晩、遅くまで立命の映像を見る日が続いているという。「寝られへん。寝られへん。ほんまやで」
1992年9月13日、いまはなき西宮スタジアムでの京産大戦から数えて196試合目。11月10日の立命戦が鳥内監督の指揮するリーグ戦ラストゲームとなる。名将は試合後、どんな表情で何を語ることになるのだろうか。