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特集:第74回甲子園ボウル

「九州の怪物QB」西南学院大・伊藤嵩人、本気の「打倒関西」を関学にぶつける

伊藤は高校球児のころ、センターを守っていた(すべて撮影・松尾誠悟)

アメフト甲子園ボウル 西日本代表決定2回戦

11月16日@福岡・春日公園球技場
西南学院大(九州)vs 関西学院大(関西2位)

甲子園ボウルの西日本代表を決めるトーナメントの1回戦が11月9日にあり、九州学生リーグ1部で6連覇を果たした西南学院大が福井県立大(北陸)を30-7で下した。西南大は16日の2回戦で、関西学生リーグで立命館大と同率優勝した関西学院大学と対戦する。「九州の怪物QB」と呼ばれてきた伊藤嵩人(たかと、4年、福岡・新宮)も「打倒関西」にかけ、全身全霊でぶつかる。

1回戦に勝って「ダメダメでしたね」

1回戦に30-7で勝った後、伊藤は開口一番で「ダメダメでしたね」と言った。確かに、この日のパフォーマンスは低調だった。パスは18回投げて、10回の成功にとどまった。「相手が関西のチームだったらと思うと、しんどい展開でした。いい予行演習になったので、切り替えます」と、前を向いた。

3年生の春からQBになった。初めて出た試合は、社会人Xリーグの福岡SUNSとの「五島ボウル」。7-61と大敗し、伊藤は六つのインターセプトを喫した。「絶望した試合で、やめようかなと思った」と、当時を振り返る。「自分だけうまくいってない試合で、あの日を思い出しました」。QBとしてのデビュー戦と、この日の不調を重ね合わせた。

ダイナミックなランも伊藤の魅力だ

QBのコーチはいない。必死で調べて、学んだ

伊藤は身長184cm、体重91kgと大きく、ベンチプレスは135kgを支える。それでいて40ydを4秒5で走れる。とんでもないアスリートだ。高校までは野球で、西南大でアメフトに転向。2年生まではWRだった。
西南大にはQBのコーチはいない。そんな中で伊藤は、先輩や福岡SUNSの選手から独自に学んできた。WRをしていたときにQBだった2学年上の先輩の投げ方をまねた。先輩は高校までやり投げの選手。伊藤は野球だったので、野球の投げ方とやり投げのフォームが混ざった形だ。練習方法もネット上で調べて、ステップの練習やラッシュを受けたときの練習をとり入れた。「何していいか分からなかったので、必死でした。周りからの期待値は高かったんですけど、その期待に応えられてないんじゃないかと悩む時期もありました」

関西勢に勝たないことには、九州から甲子園ボウルにはたどり着けない

「打倒関西」への思いは、ずっと燃やし続けた。昨年の西日本代表決定戦をチームメイトと観戦。前日に急きょ決め、車で大阪の万博記念競技場へと向かった。新チームが立ち上がってすぐ「打倒関西」を目標に掲げたが、関西のレベルを自分たちの目で確かめる意味も込めて大阪まで行った。立命に負けていた関学が試合残り2秒から「逆転サヨナラフィールドゴール」を決めた瞬間、伊藤は思った。「ヤバい、ヤバい。こんな相手と戦うってヤバい」。そのあと、こうも思った。「関西に勝ちたい。レベルはめちゃくちゃ高いかもしれないけど、挑戦したい」。決意を固めた現地観戦となった。

関学との対戦に「恐怖のような感覚もある」

1回戦に勝って整列したとき、涙が出そうになった。「恐怖のよう感覚もある。この1年、関西に勝つためにやってきたことをすべて出せる。準備してきたことを出しきりたいです」。翌10日の関西学生リーグ1部最終戦の結果、昨年の学生王者である関学と対戦することになった。「夢のチームです。僕にとっては有名人みたいな感覚。勝ちたいな」と語った。関学のエースQB奥野耕世(3年、関西学院)については「1コ下とは思えないですね。あんなうまいヤツがいるんですよね」と、対戦に胸を踊らせた。

九州の怪物QBは西南学院大グリーンドルフィンズのエースとして、夢のような相手に4年間のすべてをぶつける。

関学戦でも、こうして仲間と喜びたい

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