立命館キッカー花岡輝 予備校で高まったアメフト熱、関学との再戦でも輝く!
アメフト甲子園ボウル西日本代表決定戦
12月1日@大阪・万博記念競技場
立命館大(関西1位)vs 関西学院大(同2位)
アメリカンフットボールの全日本大学選手権は3試合を残すだけとなった。12月1日に東日本と西日本の代表決定戦があり、勝者同士が12月15日に選手権決勝の甲子園ボウルでぶつかる。西日本代表決定戦は関西学生リーグ最終戦の再戦となった。前回の対決では、立命館大が関西学院大を18-7で下した。立命のキッカー花岡輝(ひかる、4年、淳心学院)は4本のフィールドゴール(FG)をすべて成功させた。
リーグ最終戦の対戦では4本のFGに成功
4本目ともなると、堂々として見えた。背番号9がゆっくりとフィールドに入る。15-7と立命が関学をリードして迎えた第4クオーター(Q)10分すぎ、37ydのFGトライだ。それまでの3本より距離がある。右足に力を込め、蹴り上げたボールはバーを越え、ポールの間を通り抜けた。勝利をグッと引き寄せる3点に、花岡は渾身のガッツポーズ。「全部決められてホッとしてます」と言った。
今シーズン、立命のキッキングゲームは不安要素の一つだった。古橋由一郎監督は試合の度に、自らが担当するキッキングについての心配を口にしていた。関学戦前の記者会見でも「去年、一昨年とミスがあったキッキングもしっかりやりたいと思います」と、勝負のキーポイントとして挙げていた。花岡も「まずい、まずいと言われ続けてきました」と苦笑い。
関学戦ではFGは4本とも決めたが、第4Q3分すぎにタッチダウンしたあとのトライ・フォー・ポイントのキックは外してしまった。「タイミングが合わなかったんです」と花岡。スナップが少し浮いたことで、いつものタイミングでは蹴れなかった。古橋監督は「あの1本も決めてほしいですね」と花岡を中心としたFGチームに注文をつけつつ、「大きなミスがなかったのは大きいですよね」とたたえた。
FGやトライ・フォー・ポイントのキックのとき、ディフェンス側はあの手この手でキッカーに襲いかかり、安定したキックを蹴らせまいとする。花岡に関学の激しいラッシュを感じなかったのかどうか、聞いてみた。「ラッシュが激しいのが分かってたので、フロントを見ないようにしてました。視線をフロントに向けるのではなく、もっと高いところを見るようにしてたので、何も感じませんでした」と話した。リーグ戦中はFGを15回蹴って12回の成功と、リーグ3位の成功率だった。花岡の作戦には一定の効果があった。
高校までサッカー、DLで大けがしてキッカーに
兵庫県姫路市にある淳心学院高校ではサッカー部だった。FWでPK要員だった。当時のサッカー部の顧問が大学時代にアメフトをしていたこともあり、アメフトに興味を持ち始めた。大学でやることを決め、1浪の末に立命に進学。予備校では高校からアメフトをしていた京大のキッカー丸山和馬(4年、豊中)や慶應義塾大のQB(クオーターバック)西澤巧馬(4年、清風)と知り合い、アメフト熱はより高まっていた。パンサーズに入部した直後はDL(ディフェンスライン)だったが、2回生の春に右ひざの前十字じん帯を断裂。手術とリハビリを経て練習に復帰する段階で、「キッカーで勝負したい」と思うようになった。3回生の春から専任のキッカーとなり、身長169cm、体重91kgというDLの“残り香”のする体で、今シーズンからキッカーのスターターを担っている。
12月1日に再戦するライバル関学には、1年前の西日本代表決定戦で“逆転サヨナラFG”を決めたキッカー安藤亘祐(4年、関西学院)がいる。同じキッカーで、同学年ということで意識しないわけがないだろう。安藤について問われると、ニヤリと笑って言った。「向こうは有名なキッカーで、ライバル心はあります。けど、安藤の真似はしたくないですね」。闘志をむき出しにした。
いざ決戦。「いつも通り蹴るだけです。キックを決めて勝ちたいですね」と花岡。試合前日にCoCo壱番屋のカツカレーを食べるのが「勝利のルーティン」だ。11月30日の夜、いつものようにカツカレーを平らげ、4年ぶりの甲子園ボウル出場を勝ちとる。