大学アメフト

特集:第74回甲子園ボウル

関学アメフト「挑戦者として攻めて攻めて、やり返す」 12月1日に立命館と再戦

立命へのリベンジを誓う関学の主将、副将、主務の6人(すべて撮影・安本夏望)

アメフト甲子園ボウル西日本代表決定戦

121日@大阪・万博記念競技場
立命館大(関西1位)vs  関西学院大(同2位)

アメリカンフットボールの全日本大学選手権は残り3試合になった。121日に東日本と西日本の代表決定戦があり、勝者同士が1215日に選手権決勝の甲子園ボウルでぶつかる。西日本代表決定戦は4年連続で関西学生リーグ最終戦の再戦となった。リーグ戦では立命館大に7-18で負けている関西学院大の鳥内秀晃監督と5人の選手が11月27日、記者会見で語った。

「笑いなら負けへんで」と常に言っていた鳥内監督(撮影・安本夏望)

負ければ退任の鳥内監督「4回生の意地、見せんと」

「疲労困憊(こんぱい)で、体も脳みそもヘロヘロやで」。前日の11月26日に61歳の誕生日を迎えた鳥内監督の記者会見は、得意技のボヤきから始まった。リーグ最終戦で負けたことにより、西日本代表決定戦までに立命より2試合多く戦わなければならなかった。「まあ、しんどい言うててもあかんから、気持ちでやっていかなしゃあないで」。2年前はリーグ戦で負けて代表決定戦でひっくり返した。「あれは期間的に今年より余裕あったからな。あれ以上の気持ちでやらんと勝てへん。全員で勝負していこう、言うてますけどね」

勝っても負けても、関学を率いて関西の学生チームと戦うのはこれが最後だ。その感慨について問われると「めちゃくちゃ、ないな」と言って報道陣を笑わせた。1992年から関学の監督としてやってきた。「しんどいもんですか?」という質問に「しんどい」とぽつり。実感がこもった。「勝利を宿命づけられてるチームにおるから、しんどいで、そら」

リーグ戦から3週間でのチームの成長について触れるとき「僕以上に4回生が思うところあるやろ。ファイターズのプライドにかけて、自分の意地を見せてやれるかどうか。ここでその意地を出されへんようでは、カッコ悪いんちゃうか?」と言った。そしてスタッフも含めて約60人いる4回生への言葉が熱を帯びた。「代々の4回生がチームを引っ張ってきた訳やし、ここで『これが4回生や』というのを見せてくれたらええんちゃいます?」。監督をやる上での楽しみは何だったかと聞かれると、「結局は勝ったときの学生の笑顔。その一瞬しかないわな」と話した。

関学の主将でDLの寺岡

主将でDL(ディフェンスライン)の寺岡芳樹(4年、関西学院)は「1度負けて、もう守るものはない。失敗を恐れずにやりたいです」と力を込めた。立命との前回の対戦で、関学は攻守のライン戦で負けた。寺岡も立命のOL(オフェンスライン)にやられた一人だ。「チームを勝たせようと思って、プレーに絡みにいきすぎた」と振り返る。昨秋のリーグ戦中盤に負ったけがの影響で、昨年の2度の立命戦はいずれも欠場。先のリーグ最終戦は寺岡にとって2年ぶりの立命戦だった。「久しぶりの大舞台ということで、感覚は鈍ってたかもしれない」と話した。いまの4回生は関学に入ってから過去3年とも甲子園ボウルに出ている。「僕たちの中で“勝ちボケ”があったと思います。勝ちに対する貪欲さが失われてました。本気になって立命館に食らいつきます」と語気を強めた。今シーズン限りで鳥内監督の話になると、「僕らが勝つということとともに、監督を勝たせるという気持ちもあります」と語った。

関学の副将でOLの村田

副将の村田健太(4年、関西学院)は、5人並ぶOL(オフェンスライン)の左端にセットする。前回の対戦で後手に回ったライン戦について「OLの隣同士のコミュニケーション不足でした」と振り返ったが、「相手のDLが大きくなってて強くて、結局は1対1の当たり負けでした」と根本的な負けを認めた。2017年のシーズンはリーグ戦で立命に負けたが、西日本代表決定戦では34-3と大差のリベンジ。村田は当時の主将の井若大知(現・富士通フロンティアーズ)の控えで、主将の気迫を間近で見ていた。「井若さんは『自分ができることをすべてやろう』という意識をチームに浸透させて、勝ちました。僕らもそうなれるようにやります」

関学のエースQB奥野

エースQBの奥野耕世(3年、関西学院)は前回の負けについて、こう振り返った。「ディフェンスのスピードと複雑なラッシュで、したいことをさせたもらえなかった。自滅した部分もあって、時間も使えなかった。そのまま試合が終わってしまいました」。全日本大学選手権の2試合を戦いつつ、立命との再戦に備えた策を練ってきた。「去年の自分は浮き沈みのあるQBだったと思います。今回は喜怒哀楽を見せず、常に冷静で、不安な顔もしないでオフェンスを引っ張っていきたい。前回は相手のQBがよく走ってたので、今回は僕も走れるところは走っていきたいです。リズムよくドライブして、オフェンスとしてタッチダウン3本以上はとりたいと思ってます」。小学校1年生からフットボールに取り組んできた。小学校のクラブチームのヘッドコーチが立命の出身で「立命いけよー」と言われたそうだが、青いユニフォームと強さにあこがれて、高校から関学に入ったそうだ。

関学のWR鈴木

3年生のWR(ワイドレシーバー)鈴木海斗(横浜南陵)は、前回の対戦で第4クオーターの落球を悔やんだ。「立命戦の大事なところってことで、自分の心に負けてしまったと思います。あのパスを捕ってたら試合はどうなるか分からなかったと思うので、悔しいです」。こうした記者会見は初めての鈴木は、緊張からずっと汗をぬぐっていた。だが、同学年のQB奥野の話題になると一気に表情が崩れた。「アメフトを5年やってきて、一番捕りやすいQBです。ほかのQBだと投げてこないタイミングでも投げてくるので、常に気を張っておかないといけない」。試合前、試合後の整列では鈴木が背番号4で奥野が3だから、常に隣だ。いつも仲がよさそうにしゃべっている。「頼れる存在なので、安心はします」という奥野とともに、パスで甲子園ボウル出場を決めにいく。

関学のLB繁治

LB(ラインバッカー)の繁治亮依(しげじ・りょうい、3年、関西学院)は自分の持ち味について「ここだ、と思ったら勢いよくプレーに絡むことです」と語った。前回の対戦でタッチダウンを許した立命のエースRB(ランニングバック)立川玄明(たつかわ・ひろあき、3年、大阪産大付)の力強い走りに驚いたという。「ビデオで想定していたよりも、走りに思い切りのよさがありました。受け身になってしまった」と反省を口にした。同じLBで隣に並ぶ同期の海﨑悠(追手門学院)とは、高3時のファイターズクリニックで出会った。繁治は人見知りであまり話せなかったが、「(当時から)高校生とは思えない動きをしてました」と相棒を評した。「(立川は)一発ではしとめられないので、一緒に寄って止めたい」。12月1日の再戦では、海﨑と束になって相手のエースを封じる。

ヒットの練習に余念のない関学のLB繁治