大学アメフト

4年生には最後、きれいに勝って気持ちよく引退してほしい 日大アメフト樋口斎

樋口(右、56番)によると、宮川(91番)は復帰戦の試合前、ひどく緊張していたという(撮影・北川直樹)

関東大学リーグ1部BIG8 最終節

12月1日@横浜スタジアム
日大(6勝)vs 桜美林大(5勝1敗)

日大の副将でDLの宮川泰介(4年、日大豊山)が1117日の横浜国立大戦からフィールドに戻ってきた。彼が昨年56日、あり得ない体当たりをしてしまったのと同じ、アミノバイタルフィールドからの再出発になった。 

樋口は1学年上の宮川を慕ってきた(撮影・篠原大輔)

日大のDLには、宮川と同じ髪形をした3年生がいる。樋口斎(いつき)という。大阪府池田市で生まれ、チェスナットリーグの池田ワイルドボアーズでフットボールを始め、追手門学院高から日大に進んだ。今シーズン、宮川が出られない間、ずっと彼の穴を埋めてきた。横国大戦では宮川と同時にフィールドに立つシーンもあった。
試合のあと、宮川の復帰について樋口に聞いた。

 1試合でも、1プレーでもいいから出させてあげたいと思ってました。今日はすごい緊張してました。この1年はどこでもいつもカメラがあったんですけど、とくに多かったから。めちゃくちゃ意識してました。試合前はめっちゃ口数が減って、緊張してるのが伝わってきました。自分から『試合に出たい』って言うことはなかったですけど、やっと出られて本人もすごく楽になったと思います。見てるだけってのもアレやったんで。やっとこれで全員そろった。ずっと何かが足りへんと思ってましたけど、パズルの最後のピースがはまった。今日はほんとにフェニックスとして試合ができてる気分でした」

人なつっこい笑顔を満開にして、樋口がまくし立てた。

11月17日の復帰戦、最初のディフェンスでフィールドに入っていく宮川(91番、撮影・北川直樹)

プレーヤーとして、人として尊敬できる存在

 樋口にとって同じポジションで1学年上の宮川は、プレーヤーとしても人間としても尊敬できる先輩だという。「すごく仲もよくて、いろいろあった時期はなかなか会えませんでしたけど、SNSでコミュニケーションをとったりはしてました。いったん部を離れたときは、本人の意見を尊重してほしいなと思ってました。プレーヤーとしてはビッグプレーを起こしてくれる存在です。人間的なことで言うと、僕のダメなところを指摘してくれます」

最近、練習で樋口自身のプレーがうまくいかず、マイナスな内容の発言をしていたことがあったそうだ。すると宮川は「自分の責任なんだから、しっかり受け止めて反省しろ」と言ってくれた。目が覚めた。

夏からようやく全員が同じ方向へ動いた

 いま樋口は思う。「リーグ戦がもう1試合ありますけど、フィールドに立てるのはほんまに幸せなことです。これが当たり前じゃないんだなって」。一連の騒動があって、チームは変わった。「だいぶ体制が変わって1年が過ぎました。今年の春ぐらいまでは、みんなが同じ方向を向いてなかった。でも夏の合宿があって、シーズンに入って、実際の日本一にはなれないんですけど、『日本一のチームになる』というところに向かって全員が動き出したと思います」

 そして121日、関東1BIG8の最終戦を迎える。6戦全勝で単独トップの日大が1敗で追う桜美林大に勝てば、来シーズンのTOP8復帰が決まる。負ければ、TOP87位の日体大との入れ替え戦に回る。樋口は言う。「いろいろあったから、1コ上の先輩たちは特別な存在です。最後、きれいに勝って気持ちよく引退してほしいと思ってます」

宮川はリーグ第6戦で初めて、副将として試合前のセレモニーにも参加した(撮影・北川直樹)

さまざまな思いを抱えた4年生たち

 日大の4年生は、どう頑張っても自分たちの代では甲子園ボウルに進めないという状況で、この1年を過ごしてきた。彼らは「後輩が最短で学生日本一に戻れるようにしてやるのが自分たちの役目」と言ってきたが、心の持ち方は、難しかった。

 樋口たち3年生以下は、4年生の最後の姿を目に焼き付け、新たなスタートを切る。

 

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