陸上・駅伝

東洋大・相澤晃 12人抜きで区間賞、福島の後輩たちに伝えた「出るなら自信持て」

広島の沿道では「あいざわー」と呼びかけるお客さんが多かった(撮影・藤井みさ)

第25回全国都道府県対抗男子駅伝

1月19日@広島・平和記念公園を発着点とする7区間48km
14位 福島 2時間19分42秒
7区(13km)1位 相澤晃(東洋大4年) 37分10秒

1月19日の全国男子駅伝で連覇を狙った福島は、14位に終わった。学生長距離界のエース、相澤晃(学法石川高~東洋大4年)は2年連続のアンカーを務め、12人を抜いて区間賞。優秀選手賞を受けた。

前半苦しんだ福島チーム、5区と7区で区間賞

福島は1区(7km)の渡辺亮太(学法石川高3年)が1位と1分13秒差の41位。その後も流れに乗り切れなかったが、5区(8.5km)の松山和希(同3年)が23分55秒の区間タイ記録の力走で区間賞をとり、27位まで浮上した。6区(3km)の大橋清陽(猪苗代中3年)も粘り、26位で襷(たすき)を相澤に渡した。

昨年は2位で受け取った襷。今年は後方からのスタートになった(撮影・松尾誠悟)

追っていく展開となったが、相澤は「去年の駅伝では抜かすレースのほうが多かった」と平常心でスタート。一人、また一人と追いついて抜く、を繰り返した。「一気に抜かすよりは一人ひとり抜いていこうという気持ちでした」

相澤は年始の箱根駅伝2区で、前人未到の1時間5分台の区間新記録を樹立した。箱根駅伝後には右のふくらはぎに張りを感じ、ベストな状態ではなかったという。そんな中でも、気持ちを切らさずこの試合まで持ってこられた。「しっかりケアして臨めました。コンディションをベストまで持っていけなかったのは申し訳ないですけど、その中でもベストを尽くせたかなと思います」。12人を抜いて14位でフィニッシュ。区間記録にはわずかに1秒及ばなかったが、「(現時点での)ベストの走り」と自己評価した。

一人ひとり抜いていく、という気持ちで走った(撮影・藤井みさ)

昨年の大会で東北勢初の優勝を果たした福島は、相澤の存在もあって「連覇なるか」と注目を集めていた。相澤は「みんなに言えることだと思うんですけど、プレッシャーを感じてたんだろうなと思います」と振り返る。「駅伝シーズン最後のレースで、コンディションを合わせるのが難しかったと思います。キツい中でも合わせてきたのが今回の結果だと思います。(今年は)順位は悪かったけど来年、再来年もありますし、今回の経験を次の試合で生かしてくれればいいなと感じました」と、福島チームの後輩たちにエールを送った。

スタートラインに立ったら、みんな同じ

相澤自身はこの駅伝のメンバーに選ばれたのが中3のときが初めてで、今回が6度目、実際に走ったのは5度目だ。「成長させてくれた大会」と表現する。中学、高校、大学と出てきていろんなものを感じられた。今回はいままで得てきたものを中高生に教えられたらいいなと思っていたという。「いくら状態が悪くても、スタートラインに立ったらみんな同じ。そこで自信のない走りをしてしまったら結果も出てこないし、練習でいくらできていても悪い方向に行ってしまうと思います。自信を持って、いいイメージを持ってレースに臨もう、ということを伝えました」

いいイメージを持ってレースに臨む。相澤はその心構えを後輩たちに伝えた(撮影・松尾誠悟)

ふるさと福島の先輩たちに支えられてきたから、次は自分が。相澤の行動は今大会のキャッチコピー「世代を超えて心をつなぐ」を体現している。学生ナンバーワンランナーの相澤の言葉は、きっと後輩たちの心に響いたに違いない。

相澤は10000mで東京オリンピックを目指す。そのため選考レースへのエントリーが欠かせない。次の出場レースは2月のクロカン日本選手権(福岡)の予定で、ここで優勝すれば日本選手権の男子10000mの出場権が得られる。2位か3位に入った場合は、のちに10000mの参加標準記録Bを突破すれば出場権が得られる。「最低3位以内に入ることを目標に頑張りたいです」と口にした相澤。いよいよ世界への挑戦が本格的に始まろうとしている。

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