陸上・駅伝

学生長距離界のエースは自分だと示せる走りを 東洋大・相澤晃(下)

4年間で一番充実した練習を積めているという相澤。どんな走りを見せてくれるか(イメージカット撮影・佐伯航平)

迫ってきた駅伝シーズンの行方を考えたときに、必ず優勝候補に挙がるのが東洋大です。陸上競技部長距離部門の主将である相澤晃(4年、学法石川)のインタビュー後編では、ラストイヤーにどんな気持ちで駅伝に取り組むのか、意識するチームや選手についても聞きました。

10000mを27分台で走れるマラソンランナーに 東洋大・相澤晃(上)

スピードも距離も追い求めていく

今年に入って絶好調とはいえ、4月から連戦続きだった相澤は8月の終わりに体調を崩してしまったという。「ユニバーシアードが終わってから思うような練習が積めていなかったので、(9月14日の)日本インカレは欠場しました。試合に出るよりは、出雲駅伝に合わせたいという気持ちがすごく強くて。あとは出るからには日本人トップ、そして(外国人)留学生にも勝って優勝を目指したかったので。不調のまま出場するのではなく、その先を目指したいと思って(欠場を)決めました」

もう大丈夫なのだろうか。「いまは練習をしっかり積めてます。夏合宿を終えたところの状態では、4年間で一番いいのかなと思います」。充実した表情で答えてくれた。

駅伝シーズンに入っても、トラックのスピードを求める練習も続けるという。「箱根で2区を走りたいと思っているので、日本人最高を出すためには10000mの27分台は絶対に必要です」。それは今年の塩尻和也さん(順天堂大~富士通)のような選手ということですか? と聞くと、相澤はうなずいた。

今年の箱根駅伝で塩尻は2区日本人最高記録を更新した。それはもちろん意識している

やはり2区を走りたいという思いは強いのだろうか。「箱根駅伝を初めて見たときから、一番走りたいと思ってきたのが2区です。エースが集まる区間だし、ここで区間賞をとるのが大学生活の中でも大きな目標の一つです。そこだけは譲らないでやっていきたいです」
譲らない。その言葉に強い気持ちが垣間見えた。

今度こそ、完全燃焼したい

箱根駅伝の前に出雲駅伝と全日本大学駅伝もある。チームとしての目標はやはり優勝だ。「3冠というのも目標の一つではあるんですけど、一つひとつ優勝を狙っていきたいです。まず出雲駅伝で優勝しないと次はない。そこでうまく勢いづけられれば、全日本も優勝を狙っていける。そこを目指して頑張りたいです」。昨年の出雲駅伝は1区で区間2位、全日本はアンカー(8区)で区間賞だったが、いずれも不完全燃焼の走りだったという。

昨年の全日本、アンカーでゴールする相澤(撮影・松嵜未来)

「今年は完全燃焼で終われるレースがしたいなと思っていますし、できる自信があります」。どの区間を走りたいかについては「自分の持ち味は前半の区間。駅伝は流れが大事なので、前半の区間でエースらしい走りができればと思います」と、熱っぽく語った。

学生長距離界のエースは、自分

彼がいま一番意識しているのは東海大だという。「(どの大学を意識するかと聞かれたら)外せないチームです。黄金世代の選手が集まってると言われていて、彼らに負けないように必死にやってきました。『ロードだけではなくて、トラックでも負けない』という気持ちでやってきて、今年はいまのところトラックでは東海の選手に負けていないので自信になっています」。最近活躍の目立つ國學院大について聞くと、「國學院も春先から意識してるチームのひとつです。浦野(雄平、4年、富山商)くんは僕の中で、ライバルじゃないですけど、ロードレースだったら彼が一番強いと思う存在です。そこはすごく意識してます。中途半端な状態で全日本インカレで彼に負けたくない、というのもありました」と言った。

思わず聞いた。学生の中で自分がトップという意識を持ってますか?
「学生長距離界のエースは自分だ、というところを見せられるような走りをしていきたいです」。相澤は、はっきりと答えた。

陸上は、自分が一番輝ける

休みの日は買い物に行ったりして、リラックスして過ごすという相澤。趣味を聞いてみると「趣味? うーん……。なんか、将棋とか英会話とか気になって本を買ってみるんですけど、チラチラ見てすぐ飽きちゃうんですよね。置いてあるだけです(笑)。同級生がウクレレをやっていて、やりたいなって思って借りたんですけど、半日で返しに行きました。楽譜を覚えられないというか、読めないなって思って(笑)」と、おちゃめな一面をのぞかせた。好奇心旺盛な相澤だが、陸上だけはずっと続けている。陸上は飽きないですか? と聞くと「陸上は自分が一番輝ける、そういうものだと思ってるので。飽きないというか、ずっと続けられます」。その笑顔がもう、輝いていた。

陸上は自分が一番輝ける。相澤は笑顔になった

相澤晃は学生ラストイヤーの後半にどんな走りを見せてくれるのか。3カ月にわたる駅伝シーズンが、10月14日の出雲から始まる。

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