大学陸上・駅伝

10000mを27分台で走れるマラソンランナーに 東洋大・相澤晃(上)

相澤がどんな走りをしてくれるのか。楽しみにしている駅伝ファンも多い(イメージカット撮影・佐伯航平)

いよいよ10月14日の出雲から学生駅伝のシーズンが幕を開けます。学生長距離界でいま一番強いランナーは誰か? と聞かれたら、東洋大の相澤晃(4年、学法石川)の名前を挙げる人が多いのではないでしょうか。陸上競技部(長距離部門)の主将として迎えたラストイヤーと今後に関して話を聞かせてもらいました。2回に分けてお届けします。前編はトラックシーズンの振り返りと、個人的な目標についてです。

ブレイクのきっかけは、箱根の区間新

今年の相澤の活躍はめざましい。1月2日の箱根駅伝では4区を1時間0分54秒で走って区間新記録。1月20日の都道府県対抗男子駅伝では、福島チームのアンカーとして優勝のゴールテープを切り、区間賞に輝いて優秀選手賞にも選ばれた。3月の日本学生ハーフマラソンで優勝してユニバーシアードの出場権を獲得。4月14日の金栗記念選抜中長距離大会で5000mを走って13分34秒94の自己ベスト。5月の日本選手権10000mは4位、6月の日本選手権5000mは5位で、ともに学生トップ。7月にイタリアであったユニバーシアードのハーフマラソンでは目標通りに優勝してみせた。

昨年までも「チームのエース級」ではあったが、今年は一気に何段階もレベルが上がった感じだ。そのきっかけについて尋ねると「箱根駅伝できっかけをつかめたと思います」とのこと。「けがをしていて万全の状態ではなかった中で、陸上に対して真剣に向き合った結果、区間新を出せた。いままでで一番納得できる走りができました」と、丁寧に答えてくれた。

笑顔でたすきを渡す相澤。快心の走りだった(撮影・藤井みさ)

箱根駅伝はたびたび区間距離が変更となるが、4区(20.9km)は2006年から16年まで5区の中継所を東寄りに移し、18.5kmだった。17年から以前と同じ中継所に戻った。以前同じコースのときに区間記録を持っていたのは、駒澤大学出身でマラソン日本記録保持者でもあった藤田敦史(現・駒大ヘッドコーチ)の1時間0分56秒だった。「区間記録保持者になれたことは大きいです。参考ですが、藤田さんの記録を抜けたのは、自分の中ですごく自信になりました」

「だいたいいつも、1月終わりぐらいまでは(箱根までの)貯めで走れる」という相澤。「2月ぐらいになるといつも調子を落としてて、今年も足が痛くて全然走れませんでした。でも、うまく学生ハーフに合わせられて、そこで優勝できたのが自信になって、トラックシーズンにつなげられました」。その結果、4月はじめに5000mの自己ベストを出せた。「練習量を増やしたわけではないけど、気持ちの面で余裕ができたかなと思います」

東京五輪に「出たい」じゃなく「出る」

相澤は5月の日本選手権10000mのレース後に、「トラックで東京オリンピックを目指す」と公言した。本格的にオリンピックを意識し始めたのはいつからなのだろう。「(5月4日の)GGN(ゴールデンゲームズのべおか)の2~3週間前だと思います。金栗を終えて、練習も10000mで27分台を出すために、いままでで一番質の高い練習をしていて。それができたので、監督にも『目指そうよ』と言われました。それまで『なんとなく出たい』という感情が『出る』に変わってきました」と、気持ちの変化を明かす。

オリンピックは「出る」という意識に変わった

トラックでオリンピックを目指すのはなぜだろうか。「一番のゴールは、マラソンでオリンピックに出て活躍することです。そのプロセスとして、東京は10000mで目指したいということです。理想は10000mを27分台で走れるマラソンランナーです。それを目指してやっていきたいです」

10000mを27分台で走れるマラソンランナーというと、大迫傑(早大~ナイキ)、設楽悠太(東洋大~ホンダ)の二人が浮かぶ。やはり「目指すところはこの二人」という気持ちは相澤の中にもあるようだ。「大迫さんにはあこがれています。芯があって、何があってもぶれない姿勢は参考になります。迷った時には大迫さんの考えを参考にして、答えを導き出すこともあります」

ナイキの帽子にスパッツ。相澤のスタイルはどこか憧れの大迫に似ている

設楽悠太は東洋大の先輩だが、天才肌だから「目指す」となると難しいのだろうか。相澤に聞いてみると「僕はそこまで天才というか、感覚で走れるわけではないので。最初からMGCの設楽さんみたいに突っ走れないと思います。でも設楽さんが自分の走りを貫き通してる姿は、すごく刺激になりました。(僕も)駅伝だったら最初から攻めるレースが持ち味なので、そういう走りをしていきたいですね」。MGCを現地で応援したという相澤。東洋大の先輩である服部勇馬(トヨタ自動車)が2位に入り、東京オリンピック出場権をつかんだことも、大きな刺激となったようだ。

強度の高い練習、やっていく覚悟を

相澤の10000mの自己ベストはいま、28分17秒81。東京オリンピックの参加標準記録は27分28秒00。もう一段上に行くために、何が必要なのだろうか。「まだまだ、継続して強度の高い練習ができてないと思います。GGNの前にはそういう練習をしたんですが、疲労が出てGGNは不発に終わってしまったので……。しっかり強度の高い練習をやっていく覚悟を持たないといけないと思います」

後編では、相澤が最後の学生駅伝のシーズンにかける思いについて聞きました。

学生長距離界のエースは自分だと示せる走りを 東洋大・相澤晃(下)

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