大学サッカー

横浜F・マリノス大津祐樹が大学サッカー部員をサポート「努力が報われる世界を作る」

大津祐樹(写真)と酒井宏樹の現役プロが、学生をフルサポート(すべて撮影・広部憲太郎)

サッカーJ1横浜F・マリノスでプレーしている元日本代表の大津祐樹(29)が、フランス1部マルセイユ所属の日本代表である酒井宏樹(29)とともに、大学のサッカー部員を支えるプロジェクトを始めた。大津との合同トレーニングや、トレーナーによる指導だけでなく、引退後のセカンドキャリアを見すえ、キャリアアドバイザーによる就職支援や、企業とのマッチングも。現役選手が大学生を支える画期的な取り組みで、大津は「僕たちが行動を起こすことで、より若い世代が幸せになれる環境を作りたい」と意気込んでいる。

大津や酒井から指導を受けられる

このプロジェクトは「Football Assist」と名付けられ、大津が運営会社の代表に就いた。東京・JR水道橋駅近くのビル内に設けた「スタジアム」が活動拠点だ。対象は大学の体育会のサッカー部に所属する学生。「Football Assist」に会員登録(無料)すれば、各種のサービスが受けられる。

事務局によると、大津はキャンプ中や海外遠征中を除いて、週1回のペースで学生とともにトレーニングする。大学のグラウンドにも出向くという。海外を拠点にする酒井はオンラインで学生とやり取りする。プロのトレーナーによる体幹トレーニング指導や、栄養士のセミナーも予定している。

キャリアアドバイザーが寄り添う

このプロジェクトでは、サッカー部を引退したあとのキャリアにも目を向けている。企業の説明会を開いて採用担当者と交流したり、契約しているキャリアアドバイザーが学生一人ひとりにヒアリングしたりと、悩みに寄り添う。大津は「僕らだけではなく、トレーナーやキャリアアドバイザーといったいろんな経験を持った人がFootball Assistにはそろってます」と、誇らしげに語る。

1月のイベントでファンとふれ合う大津

大津自身は成立学園高校(東京)からJリーグの柏レイソルに入った。大学のサッカー部に所属した経験はないが、「同学年の大学生選手がキャリアに悩んでいる姿を見てきました。一生懸命サッカーに打ち込んでいるのに、一番悩みが多い世代なんじゃないかと感じてました」と話している。

大津は酒井とともに2016年、子ども向けのサッカースクールを開設。ピッチ外の活動に力を入れ出した。「一緒にプレーして、現役バリバリのスピード感を感じてもらった選手や保護者の方から、感謝の言葉をいただきました。現役だからこそ伝えられることがあるのかなと感じました」。今度は大学サッカーにも活動を広げようと決め、現役部員へのヒアリングを重ねてきた。

大津は言う。「大学生と話をして一番多かったのが、サッカーにずっと集中してきたので就活の仕方や企業のことが分からないという声でした。プロになって競技を続けるかどうか、選択が一番分かれるのが大学卒業後です。一生懸命にサッカーに打ち込んできたのに、報われない悩みを抱えないようにサポートできたらと思ったんです。自分が大卒選手でないからこそ、どこの大学でもフラットに支援しやすい面はあると思います」

4月までに会員登録1000人を目指す

Football Assistはスポンサー収入が運営の柱となる。今回、不動産テック総合ブランドを運営するGAテクノロジーズ(東京)が第1号スポンサーになった。樋口龍CEOはジェフユナイテッド市原(当時)の育成選手として、プロを目指した経験を持つ。「スポーツで培ったチームワークや、やり抜く力はビジネスシーンでも生かせると確信しています。大学時代にスポーツに打ち込んだ学生たちがビジネスの場で胸を張って活躍する未来のために、取り組みを応援したい」とコメントしている。

大津選手らの活動拠点となる「スタジアム」

キャリア教育については、学生のニーズを聞きながらプログラムを組む。事務局によると、具体的にはPCスキルを上げるためのプログラミング指導などを考えていくという。4月までに約1000人の会員登録者数を目指している。

大津は「大学でサッカーに積極的に打ち込める環境を作るのが、僕らの仕事です。競技をやりきった後に後悔してほしくない。サッカーに努力してきた学生たちが報われる世界を作るのが、僕たちの理念です」と力を込めた。2019年Jリーグ王者の主力選手として、来シーズンもピッチで高いレベルのパフォーマンスを見せながら、学生たちの4years.も全力で支える決意だ。