最高の友、最大のライバルに続け! 東洋大・競歩 池田向希の大勝負
東洋大競歩の池田向希(3年、浜松日体)は、2020年東京オリンピックで20km競歩の日本代表の座を狙っている。その第一歩として、昨年2月に日本選手権に出場。この大会は、カタールのドーハで9月にあった世界選手権の20km競歩代表選考を兼ねていたため、優勝すれば世界選手権代表となっていたが、惜しくも準優勝に終わった。
東京五輪日本代表に向けて
それでも3月の全日本競歩能美大会では3位に入り、連戦でも安定したレースを展開。その姿勢が評価され、世界選手権代表に選出された。世界選手権で日本人1位かつ総合3位以内に入れば、東京オリンピック代表内定となる。池田は「そこを1番の目標にしていきたい」と、より力を入れた。
池田は学生でありながら、国際陸上連盟が定める世界ランキングで1位となった経験を持つ。ドーハの猛暑の環境下でも、いつもとやることは変わらなかった。山西利和(愛知製鋼)が引っ張るレースに食らいつき、6位入賞を果たす。大舞台での入賞という結果にも「精神力や技術面も、もっともっと上げていかなければ、世界でメダルは獲得できない」と痛感。さらなる飛躍を誓った。
さらに10月には東洋大競歩ブロックに転機が訪れる。50km競歩での東京オリンピック代表を目指していた川野将虎(3年、御殿場南)が、全日本50km競歩高畠大会で日本新記録をたたき出して優勝した。この結果により東京オリンピック代表に内定し、東洋大競歩ブロックとしては12年ロンドンオリンピックの西塔拓己(現愛知製鋼)、16年リオデジャネイロオリンピックの松永大介(現富士通)に続く、3大会連続の現役生でのオリンピック出場が決まった。
この快挙に池田は「川野が決めてくれたという意味で安心ではないですけど、変なプレッシャーとかはない」と、伝統をつなぐ重圧から離れて安堵の表情を浮かべた。
ライバルと同じ日の丸をつけて
池田と川野は、同学年で高校も同じ静岡。2人とも高校から競歩を始め、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。寮でも同じ部屋で過ごし、週に3回程度は2人でご飯を一緒に食べるような仲だ。最高の友達であり、最大のライバル。それが、学生界の双璧をなすようになったゆえんかもしれない。5月の関東インカレでは2人で10000m競歩に出場したが、途中で川野が警告を重ねて失格となるまさかの展開だった。
池田は優勝を果たして表彰台の真ん中に上ったが、浮かない表情のまま。「川野は連戦の疲労もある中、うまく調整してくれてなんとか合わせてくれた状態だったので、今回は自分がいかないといけないなと思っていたけど、パッとしないレースだった」と、後に反省点を語っている。互いを尊敬し認めているからこそ、競い合ってこれまで成長してきた。その川野に追いつくため「自分も同じように続きたい」と闘志を燃やしている。
勝負は、2月16日に兵庫・神戸である日本選手権だ。「優勝して内定を1発でつかみ取りたい」と、池田が見据えるのは優勝の2文字のみ。最大のライバルと同じ日の丸をつけ、「1番大きな舞台で、1番いい結果で恩返し」を目標に、大きな一歩を踏み出す。