大東大女子サッカー部の未来を拓く 藤枝順心と神村学園出身の2人の思い
1月12日にあった全国高校女子サッカー選手権決勝、藤枝順心高(静岡)が1-0で神村学園高(鹿児島)を下し、2大会ぶり4度目の優勝を果たした。そんな活躍を見せた両校から2年前に大東文化大に入学し、活躍を続けている選手について紹介したい。
縦横無尽にピッチを駆けまわるMF池田
まず1人目は池田千織(ちおり、2年、神村学園)。高校時代は主将を務め、大きな期待を背負って大東大に入学し、早々に主力選手としてチームを支えた。身長149cmと小柄な体を生かしたドリブルや“抜け出し”などを得意としており、他の選手とのコンビネーション能力も高い。
普段からとても元気な性格の持ち主で、今シーズン開幕前には「後輩の面倒を見たい」と意気込み、積極的に話しかける一面も目立った。しかし、昨年8月から始まった関東大学リーグでは個人として思うようなプレーができず、途中交代を強いられる試合が続いた。さらにインカレの直前にあった埼玉県リーグの試合で足首を負傷。インカレ欠場を余儀なくされるなど、彼女にとっては悔しいシーズンとなった。
池田は今シーズンを振り返り、「関カレ(関東大学リーグ)の反省を生かして、インカレに向けて調子を上げていた中でけがをしてしまったので悔しさもあるし、それ以上に力不足を痛感する1年でした」と口にした。来シーズンに向けては「4月からはまた1年生もたくさん入ってきて、競争がより一層激しくなると思うので、自分らしいプレーで常に強みを出せるようにしたい」と、さらなる成長を誓った。
主将・高玉の思いを受け継ぐDF齋藤
2人目は齋藤久瑠美(くるみ、2年、藤枝順心)。高校時代は守備の要として活躍していた。大東大に入学すると1年生の冬から頭角を現し、いまでは不動のスタメンにまで上り詰めた。
池田とは違い普段は口数が少ないものの、試合のときはしっかりと声を張って最終ラインを統率。特に藤枝順心時代からの先輩で主将の高玉彩乃(たかたま、4年、藤枝順心)とは、絶大な信頼関係を築いている。
今シーズンは関東大学リーグ開幕戦の日体大戦からスタメンとして出場するも、自分らしいプレーができずピンチを招いてしまうなど、いつも悩みを口にしていた。関東大学リーグの後期にはエースFW宇津木陽奈(ひな、3年、幕張総合)が負傷で離脱。チームは窮地に立たされたが、それをカバーしたのが齋藤をはじめとしたDF陣だった。
チームの得点力は下がったものの結束されたDF陣がゴールを守り、得点できない試合でもなんとか引き分けに持ち込んだ。その努力が実り、関東大学リーグ(1部)で歴代最高順位の3位に昇りつめた。さらに埼玉県代表として出場した今年1月の関東リーグの2部入れ替え戦でも、堅実な守りで勝ちきり、初の関東リーグ(2部)への参入をつかんだ。
齋藤はこれまでを振り返り、「1年生のときはとにかく試合に出たいと思って練習していたけど、2年生になって試合に出てみると自分の足りない部分が改めて認識できたシーズンでした」とコメント。来シーズンに向けて「いままでは自分のことで精一杯だった部分もあったけど、最近は声も出せるようになったので、3年生からは上級生として後輩やチームを引っ張っていける存在になりたい」と上級生としての責任を語った。
4月からは彼女たちも3年生。これからは上級生として、池田はさらに副将としてもチームをまとめていく。昨年果たせなかったインカレベスト4を目指し、大東文化大学女子サッカー部「楓昴」の新たな挑戦が始まる。