大学陸上・駅伝

特集:うちの大学、ここに注目 2020

筑波大の野望 箱根駅伝でのリベンジと、蹴球部の真の「筑波らしさ」

26年ぶりに挑んだ箱根駅伝を終え、報告会では「箱根で戦う」と誓った

特集「うちの大学、ここに注目 2020」。今シーズン注目のチームや選手を、選手たちをいちばん近くで見ている大学スポーツ新聞のみなさんに書いてもらいました。筑波大学新聞からは、陸上競技部の箱根駅伝と蹴球部のタイトル奪還についてです。

予想を覆し、箱根駅伝予選会突破

筑波大は昨シーズンも多くの部活で目覚ましい活躍を見せた。その中でも最も印象に残っているのは、やはり箱根駅伝だろう。26年ぶりの出場は陸上部だけでなく、大学・地域全体を熱狂の渦で包み込んだ。

筑波大の予選会突破をどれほどの人が予想していただろうか。長らく本戦から遠ざかっていただけに、「今年も厳しいだろう」と予想されていた。そんな中、チームの悲願達成をいちばん信じていたのは、他ならぬ選手たち自身だった。

予選会で筑波大は金丸逸樹(現・戸上電機)が13位、西研人(4年、山城)が19位、猿橋拓己(4年、桐光学園)が20位に入るなど、チームを牽引するメンバーが上位に並んだ。一方でチーム内10位の選手の総合順位は昨年より30位も上がり、10人が安定して高い実力を発揮。「チーム力」でつかんだ6位だった。

今シーズンも主将を務める大土手嵩(4年、小林)は当時を振り返り、「練習を重ねるごとにチームの意識が変わっていくのが分かりました」とコメント。また同じく今シーズンも選手兼駅伝主務を担う上迫彬岳(4年、鶴丸)もまた、「アクシデントがない限り絶対に通過できると思っていました。箱根出場を成しとげられるような努力を重ねてきたチームメイトを誇りに思います」と口にした。

「来年、ここに戻ってきてリベンジをしたい」

迎えた箱根駅伝、チームは「シード権獲得」を目標に掲げた。1区を任された西は11位で襷(たすき)をつなぐも、2~5区の区間で実力を発揮できず、筑波大は往路を19位で終えた。「シードを諦めず、笑顔で襷をつなぎきる」。弘山勉監督はそう語り、復路へ気持ちを切り替えた。

翌日の復路は、筑波大を含む9チームが一斉スタートで芦ノ湖を出発。首位を走る青山学院大との差は次第に広がり、9区の川瀬宙夢(6年、刈谷)が待つ戸塚中継所では、繰り上げスタートがちらついた。繰り上げまで残り1分と迫ったところで襷がつながる。川瀬は区間14位の健闘を見せたが襷が途切れ、筑波大は総合20位で終えた。

アンカーの児玉(左)には襷をつなげなかった

「箱根駅伝出場」という目標は達成されたが、結果は最下位。夢の舞台を経験し、選手たちはいま、「出場」ではなく、上位で「戦う」ことに意識を向けている。「他の大学は本戦にピークを合わせて調整していましたけど、自分たちは予選会を突破することだけを考えてしまっていました。これからは本戦のことも考えて調整していかなければいけないです」と、上迫は前を向く。

本戦後の報告会で主将の大土手は、「4年間で箱根駅伝に出場することが目標でした。それで十分なのかなと思ったこともあったけど、実際に走り、勝負できない力の差を見せつけられて悔しかったです。来年、ここに戻ってきてリベンジをしたい」と誓った。

チームを信じ、一層強くなって、また箱根路に挑む。

サッカーの「筑波らしさ」が勝負弱さの象徴に

躍動した陸上部とは対照的に、昨シーズンに大きな期待を受けながら、思うような成績を残せなかったのが蹴球部だ。

筑波大学蹴球部は124年の歴史を誇る名門で、2017年には天皇杯でJクラブを次々に打ち破る「ジャイアントキリング」も巻き起こすなど、大学サッカーに限らずサッカー界全体で注目を集めるクラブだ。

昨シーズンの筑波大は、三笘薫(現・川崎フロンターレ)や山原怜音(3年、JFAアカデミー福島)をはじめ、ユニバーシアード日本代表メンバー6人を擁すなど、戦力的には大学屈指を誇った。しかしリーグ戦では実力を発揮できず6位、インカレでは「大学王者」の明治大に敗れ、ベスト8で終えた。

取材を続ける中でとくに印象に残ったのは、選手や監督が口に出す「筑波らしさ」という言葉だ。以前はポジティブな意味を持っていたのに、昨シーズンは勝負弱さの象徴に変化していった。今シーズン主将を務める知久航介(4年、國學院久我山)は「昨シーズンは結果の部分で応援してくださる方々にいい報告ができず、悔しかったです」と振り返る。

大エースだった三笘の穴を誰が埋めるか

今シーズンのスローガンは「一心」。字の意味通り、全員が同じ気持ちや目的を持って一体感のある組織を形成し、「強い筑波」を取り戻すために戦う。知久は「今年は結果の部分でタイトル獲得、そして日本一を目指しています。最高の状態でシーズンを戦えるように、トップチームに限らず部全体で日々のトレーニングに取り組んでいます」と言う。

主将の知久(左)を中心に「一心」となって戦う

筑波大学蹴球部の魅力の一つに「下級生の底上げ」が挙げられる。他大学のスターティングメンバーに上級生が多く名を連ねる中、筑波大は1年生から4年生まで学年を問わず試合に出場している。昨シーズンの最終戦となった明治大戦でも、スタメンには1、2年生が7人いた。試合に出ていたメンバーの多くが今年も残る。新戦力を加えながらチームの成熟度をより高めて、新たなシーズンに臨む。

最も注目すべきは、昨シーズンまでのエースを担ってきた三笘の穴をどう埋めるかだろう。一時期は「戦術三笘」と小井土正亮監督が話すほど攻撃面で三笘に依存していたため、攻撃陣の奮起が必須となる。

注目選手には新入部員の山内翔(1年、ヴィッセル神戸U-18)や昨シーズン関東大学リーグで新人王を受賞した森海渡(2年、柏レイソルU-18)たちがいる。副将の窪田翔(4年、星稜)にも注目したい。ここ3年間は負傷などもあって実力を出し切れていないだけに、ラストシーズンの爆発に期待がかかる。

「一心」のスローガンの下、上級生下級生問わずチームの心を一つにし、今年こそタイトル奪還へ。真の「筑波らしさ」を取り戻せるか。

昨シーズンの最終戦となったインカレ・明治大戦の筑波大イレブン。主将の知久(前列左端)含め、8人が今シーズンも残る

今シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大により、大学スポーツも大きな影響を受けることが予想される。その分、強く「記憶に残る」シーズンになることは間違いないだろう。その記憶の中で、筑波大の活躍が一際輝いたものになるように。シーズンの開幕を心待ちにしつつ、我々筑波大学新聞も、様々な形で筑波大の活躍を報じていく。