大学王座見据える天理大にはFB本田ら近畿の強豪校からも 期待のルーキー関西A
大学ラグビー界も新型コロナウイルスの感染拡大で春の公式戦が中止になるなど1年生のデビューが遅れている。2019年のワールドカップ(W杯)で日本がベスト8へ躍進したことで次代を担う若者たちに世界の頂はより身近になった。3年後、7年後のW杯を見据えて新たな舞台を待ちわびるルーキーたち。大学王座へあと一歩に迫る天理大学や復活を誓う同志社大学など関西Aリーグの各校へ入部した選手を紹介する。
昨季は天理大が同校初の4連覇を果たした。以下、同志社大、関西学院大、京都産業大、近畿大、立命館大、摂南大という順位で、最下位だった大阪体育大は入れ替え戦で敗れ、B1位だった関西大が2季ぶりに復帰する。天理大は、全国大学選手権の準決勝で優勝した早稲田大に敗れ、悲願の大学チャンピオンになることが、またできなかった。ただ、関西では5連覇を目指す常勝チームだけに、昨季の全国高校選抜大会ベスト4に入った天理(奈良)を中心に約40名の新人が加入した。
5連覇目指しトンガ出身のハビリら補強着々
同県のライバル御所実業と遜色ない力があった天理から高校日本代表候補のCTB前川風雅、FB本田飛翔ら11人が入部、チームの底上げになるはずだ。他にも報徳学園(兵庫)出身のPR説拓海、常翔学園(大阪)から加わったWTB家村壮麻らのように近畿地方の出身者がほとんどだが、高知中央で活躍し高校日本代表候補だったトンガ人留学生のCTBマナセ・ハビリも新戦力に。1年目からインパクトプレーヤーとして期待される。
復活かける同志社大には高校代表PR山本敦輝ら
昨シーズン2位だった同志社大には付属校出身者以外にも有望な7人が加入することになった。ルーキーイヤーから「紺グレ」のジャージーに袖を通す選手も出てくるはずだ。一昨年度の花園(全国高校大会)覇者、大阪桐蔭からはランが武器のCTB/FB芦塚仁と司令塔だったSO嘉納一千の高校日本代表候補の2人が入った。
東福岡からは同じく高校代表日本代表候補のPR小西優治とNo.8西濱悠太、常翔学園からは高校日本代表に選ばれたPR山本敦輝とCTB岡野喬吾、さらに花園出場歴はないが浪速(大阪)出身の身長192cmの大型LO楠本勝大が入部した。伝統がある同志社大は、今季こそ天理大を下して関西王座を奪還することができるか。そのためには新人の活躍は欠かせない。
関西学院大には大型SH金築達也
関西学院大は、昨シーズン3位から大学選手権に出場し、準々決勝で明治大に14―22と善戦した。昨季の選抜大会でベスト8に入った関西学院(兵庫)からは、PR今村優太ら最多の14人が入部する。他には昨季の花園準優勝の御所実業のCTBで高校日本代表に選ばれた冨岡周をはじめ、高校日本代表候補だった京都成章出身のPR/HO西村優希、報徳学園から身長180cmのSH金築達也、大阪桐蔭のCTB野村将大とポテンシャルの高い選手が揃った。チーム力は確実にアップするはずだ。
「リーチ2世」のタモエフォラウは京都産業大へ
昨季の4位から巻き返しをはかる京都産業大は大西健監督が勇退し、元日本代表LO伊藤鐘史が新監督に就任した。23人の新入部員の中で、地元の京都成章で主将を務め、高校日本代表に選ばれたFL三木皓正、「リーチ2世」の呼び声が高い札幌山の手(北海道)出身のNo.8ヴェア・タモエフォラウ、日本航空石川のCTBテビタ・ポレオらが即戦力となろう。タモエフォラウは高校の先輩で日本代表主将のリーチマイケルの後を追えるか。昨シーズン5位で大学選手権に進めなかった近畿大には、約20人が加わる。付属校から大学でプレーする人数はあまり多くないが、近大付(大阪)出身のPR吉田尚樹とPR桑畑玲生の2人は、スクラムに定評のあるチームだけに戦力となるはずだ。BKには花園でも活躍した城東(徳島)のSH遠藤岳歩、東海大大阪仰星出身のWTB高來人らが加入した。
立命館大には能力高い新人が加入、残留目指す関西大
昨季は6位に終わった立命館大だが、能力の高い新人選手が加わった。高校日本代表候補で東海大大阪仰星のHO安部薫平と東福岡出身のSO/CTB森駿太の2人を筆頭に、國學院栃木をリードしたSH北村瞬太郎や常翔学園出身のSO/FB吉本匠希らが入部した。入れ替え戦でB2位の龍谷大に勝って残留した摂南大には、フィジー出身の身長186cm、体重102kgのFLショー・アミニアシ、身長195cmのNo.8トゥポウ・ヴエティの2人の留学生ら30人ほどが入った。最後に2季ぶりにAに復帰した関西大には大阪産業大付出身のPR杉原絃太とSH溝渕元気、土佐塾(高知)出身のPR近藤穂高ら約20人が加わった。ルーキーが競争に勝って試合に出場し残留に貢献したいところだ。関西で耳目を集めるのは、優勝候補の天理大の連覇を止めるチームが今シーズンこそ現れるかどうか。昨年度まで花園を沸かせた大学1年生の選手たちが、再び花園を大きく沸かせるはずだ。