大学陸上・駅伝

連載:M高史の駅伝まるかじり

26年間、女子3000m学生記録保持者!中央大出身・斎藤雅子さん

女子3000m日本学生記録保持者の斎藤雅子さん。1994年に樹立して26年間記録を保持し続けています

「M高史の駅伝まるかじり」今回は女子3000m日本学生記録保持者の斎藤雅子さんです。1994年に樹立した8分58秒34の記録は、26年経った現在でも女子トラック種目最古の学生記録として残っています。そんな斎藤さんの学生時代、現在についてお話を伺いました。

高校陸上界初めての留学生と切磋琢磨

こどものときから運動が好きだった斎藤さん。中学ではバスケットボール部でしたが、校内マラソンで1位だったこともあり中学3年のときに陸上部へ。当時、中学生女子の最長種目は800mまででしたが、800mで宮城県大会3位に入ります。

高校は宮城県の仙台育英高校へ進みます。高校3年生だった1992年、ケニアから4人の留学生が来日します。当時、山梨学院大学には留学生が在籍していましたが、高校では初。高校陸上界に衝撃が走り、チームメイトもビックリの大ニュースでした!

高校3年生のとき男女4人のケニア人留学生が入学。一番右のダニエルジェンガさんは現在ヤクルト陸上部コーチです

「当時はインターネットもなくて、まったく情報がありませんでした。彼らからケニアの文化、生活を学べたことはいい刺激になりましたね」。日常生活からとにかくストイックだった留学生たち。チーム全体の意識が向上し、レベルアップしていきました。斎藤さんも留学生に負けじと切磋琢磨。高3では国体で1500m2位に。1500m4分21秒、3000m9分30秒と好記録もマークしました。

迎えた宮城県高校駅伝では男女とも優勝し、全国高校駅伝に男女同時出場を果たします。女子は初の都大路出場でした。

高校3年で初出場した全国高校駅伝では2区を走り、チームの順位を上げました

斎藤さんは2区を走り、チームは初出場ながら9位に。「当時は10位までが入賞だったのですが、女子は9位で初出場初入賞!男子も4位でダブル入賞でした!」

中央大学で4種目の学生記録ホルダーに

高校卒業後は中央大学文学部に進み、陸上部に入部。授業の関係でなかなか全員が集まることができず、練習時間は各自バラバラでした。集団走は週1〜2日、ポイント練習も各自で取り組んでいたとのこと。みんな授業も競技も真剣に、文武両道で取り組んでいたそうです。

1年生のときは全日本大学女子駅伝で優勝します。現在は「杜の都」の仙台で開催されていますが、この頃は大阪開催でした。「私が走った4区で逆転してトップに立てて、チームの優勝に貢献できて嬉しかったです!」。ルーキーイヤーでいきなり駅伝日本一になります。

翌年、大学2年生で迎えた1994年のシーズンに快進撃を見せます。1500m、3000m、5000m、ハーフマラソンの4種目で日本学生記録を更新する快挙!

中大時代の斎藤さん(右)。すぐ後ろは、のちにシドニーオリンピックで金メダルを獲得した高橋尚子さん

3000mの8分58秒34は、26年たった今でも日本学生記録として残っています。ちなみに田中希実選手(豊田自動織機TC)が2019年7月に8分48秒38の記録を出していますが、田中選手は大学に通われていても「学連登録」をしていないので、学生記録とは認定されていません。

悔しさの残った初の日本代表

この年は広島で開催されたアジア大会の女子1500m日本代表にも選ばれました。実は高校3年で東アジア大会の日本代表に選ばれていた斎藤さん。しかしこのときは入試の関係で辞退していました。「念願の日の丸でした!」と振り返ります。

当時、世界の長距離界を席巻し、最強を誇っていた中国の「馬軍団」。斎藤さんもアジア大会で力の差を見せつけられたそうです。「馬軍団の選手たちは一定のペースでいかず、ペースの上げ下げが激しかったです。急激な変化に対応できず、自分のリズムをつかめなくて7位と悔しい結果でした」

初めての日本代表は7位と、斎藤さんにとっては悔しさの残る結果となりました

それでも日本代表として出場したことは今でもご自身の支えとなり、仕事も頑張れる原動力となっているそうです。

3年次は故障に苦しみました。「足の甲の故障です。いま思うと疲労骨折だったのかもしれませんが、当時レントゲンにはうつりませんでした。克服する方法がわからず、集中できない時期もありましたね」。その後は秋の駅伝に気持ちで合わせていったそうです。

「4年生でやっと走れるようになった」という斎藤さん。中央大学卒業後は実業団・富士銀行に進みます。

実業団を経て市民ランニングコーチへ

「実業団では集団走が多く、学生時代よりも練習量が増えてキツかったですね」と振り返ります。ソウル国際駅伝には日本代表として出場し2位。メダルを獲得し良い思い出となったそうです。

現役引退後は市民ランニングコーチとなります。最初はニッポンランナーズ、そして現在のリスタートランニングクラブへ移って、市民ランナーの方へレッスンや指導を行なっています。

コーチをしているリスタートランニングクラブの皆さんと大会にも出場

「コーチ歴も18年になりました。この20年あまりで市民マラソンもずいぶん変化しましたね!エントリー先着とかクリック合戦とか、昔はエントリーもけっこう直前まで余裕があってギリギリまで受け付けていたのに(笑)」とここ数年のランニングブーム、人気を実感されています。

マラソン運営、ヨガ、海外の支援活動

また、指導以外にもマラソンや健康を通じて様々な活動も行なっています。そのうちの1つがエコマラソンのサポートです。

「エコマラソンという、環境に優しいマラソン大会をドイツ人のユルゲンさんが開催していて、10年前から運営スタッフとしてサポートしています。ゴミを減らすために給水はマイカップ持参だったり、洗って再利用できるコップも使ったりします。またソーラー発電で電気を作って、計測の機械の電力にしています。そして、ゼッケンはプラスチック素材で再利用しています」と教えていただきました。
参加者の皆さんと一緒にみんなでウォーミングアップを行い、「主催者の顔がわかる大会」として年間約10大会を開催。日本全国様々な会場で開催し、地域活性にも貢献していきたいそうです。

ゴミを減らす、電力はソーラー発電、ゼッケン再利用など環境に優しいエコマラソンの運営サポートもされています

そして、2年前にはヨガ・インストラクターの資格も取得。「膝をけがして、ヨガを続けていたら改善したのがきっかけでした。ヨガとランニングは呼吸や姿勢など共通している点も多く、パフォーマンス向上にもつながる点があります。緊張を和らげリラックスすることでメンタルでもプラスになりますね!」。今ではヨガとランニングのイベントも開催されています。

ヨガ・インストラクターとして、レッスンやヨガイベントの講師もされています

また国内だけにとどまらず、海外での活動にも力を入れています。カンボジアでは小中学校のこどもたちに集まってもらって、300人くらいでランニングの練習会を開催したことも。「みんな笑顔で楽しそうだったのがすごく印象的でした!」

カンボジアの小中学生約300人が参加したランニング練習会。こどもたちの笑顔から充実感が伝わってきますね!

競技を通じて経験してきたことで、さまざまなことに恩返しをしていきたいという斎藤雅子さん。これからも日本中、世界中を飛び回って、走り続けます。

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