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ラグビーU20日本代表の系譜 世界での現在地、目指すはベスト4

ジュニア・ジャパンの遠征で共同主将を務めた早稲田大の相良昌彦(撮影・朝日新聞社)

大学生ラガーマンが世界の舞台で戦い、日本代表への登竜門となっているのがU2020歳以下)日本代表だ。前回は2008年にマイケル・リーチ主将(当時東海大2年)らで初めて結成されてからの歴史を振り返ったが、現在の若きジャパンの立ち位置を探った。

ラグビーU20日本代表の系譜 活躍と苦悩 将来見据えどう戦ってきたか

ジュニア・ジャパン初優勝

2年ぶりにトップカテゴリーに復帰した今季の代表は、6月下旬からイタリアで開催予定だった「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ 」(U20世界選手権)での活躍が期待されていた。U20世代が半数以上参加したジュニア・ジャパン(JJ)が、3月にフィジーで開催された「ワールドラグビー パシフィック・チャレンジ」に出場。トンガA46-10、サモアA76-3で快勝しただけでなく、例年、苦戦し5連覇を狙っていたフィジー・ウォリアーズも21-12で下して初優勝を収めた。

U20日本代表の水間良武監督(撮影・斉藤健仁)

水間良武監督の挑戦

JJとU20日本代表の両チームは、昨年から水間良武監督が率いている。現役時代はFWで、同志社大から三洋電機(現パナソニック)などで活躍した。JJは「継承」をテーマに合宿を行っていた。昨年の両チーム、そして今年のJJの経験をU20へ引き継ぐ予定だった。U20は、今月から6月にかけオーストラリアで開催予定の「オセアニアラグビーU20チャンピオンシップ」を経て、世界選手権へ向かう予定だったが、ともに、新型コロナウィルスの感染拡大のため中止になった。

オセアニアの大会ではニュージーランド、オーストラリア、フィジーと対戦し、世界大会では昨年優勝のフランス、アイルランド、アルゼンチンと同組だった。ユース世代の貴重な世界の舞台の機会がなくなってしまったが、おそらく中軸として活躍していたはずの選手たちを紹介していきたい。

もう1人のダブルキャプテンに指名された帝京大の李承信(撮影・斉藤健仁)

相良昌彦と李承信のダブルキャプテン

「継承」を掲げたJJのダブルキャプテン(共同主将)には、U20日本代表資格もある早稲田大2年のFL/NO8相良昌彦(早稲田実)と帝京大2年のCTB李承信(大阪朝鮮)の2人が指名された。

1年ながら早稲田大の日本一に貢献した相良昌彦(撮影・斉藤健仁)

相良は昨シーズン、1年生ながら大学王者に輝いた早稲田大のレギュラーとして活躍し、大学選手権の決勝でもトライを挙げたバックローだ。李は高校時代から注目されていた突破力のあるCTBで、高校2年で高校日本代表に選出された逸材。U20の選出は、日本で言えば、早生まれの大学3年生、そして大学2年生、1年生、ときには飛び級で高校3年生が選ばれる。共同主将の2人はともに早生まれ。来年のU20世代の大会にも出場できるという点も「継承」というテーマに合っていたのだろう。

来年も出場資格がある早大の相良と帝京大の李

「パシフィック・チャレンジ」で優勝した後、李が「ジュニア・ジャパンのゴールであるチーム一人ひとりが『HERO』になるために、どんな状況でも立ち上がりプレーし続けたことが、結果につながった」と言えば、相良も「優勝という形で終わることができ、自分たちが目指している『HEROラグビー』にまた一歩近づき、成長できた」と振り返った。

若手世代の一貫した指導を心掛ける水間良武監督(撮影・斉藤健仁)

「HERO ラグビー」掲げる水間監督

なお、「HEROラグビー」は、昨年、水間監督が就任時から掲げているテーマである。水間監督と選手たちは「日本を含めた世界各国に新型コロナウィルスによる様々な影響が及んでいる中で我々ができることは、挑戦する姿勢を見せ、やって楽しい、見て楽しいジュニア・ジャパンの『HEROラグビー』を表現して、見た人たちが少しでも元気に、気持ちが明るくなれる試合を届けよう」とチーム内で話し合ったという。

将来性豊かな天理大のナイバルワガ・セタ(撮影・斉藤健仁)

JJU20世代は、FWでは相良だけでなく筑波大2年のPR木原優作(東福岡)、明治大2年のPR大賀宗志(報徳学園)、天理大2年のHO谷口永遠(関西大北陽)、天理大2年のLOナイバルワガ・セタ(秋田工)、同志社大2年のLO梁本旺義、帝京大2年のFL山川一瑳(ともに常翔学園)が3試合に出場した。

大阪桐蔭高ではチームを日本一へ導いた帝京大の高本幹也(撮影・斉藤健仁)

天理大のナイバルワガ・セタや帝京大の高本幹也も貢献

またBKでは李以外にも同志社大2年のSH新和田錬(尾道)、帝京大2年のSO高本幹也(大阪桐蔭)、トンガA戦で2トライを挙げた同志社大3年のWTB山口楓斗(東海大福岡)は3試合すべてに出場し、天理大3年のWTB江本洸志(日本航空石川)、帝京大2年のFB二村莞司(京都成章)は2試合に出場している。

司令塔と期待された早稲田大の吉村紘(撮影・斉藤健仁)

早大・吉村紘や慶大・山本凱 他にも逸材

JJの遠征メンバーには選ばれなかったが、合宿に参加していた有望選手たちもいる。例えば明治大2年のPR中村公星(國學院栃木)とHO紀伊遼平(桐蔭学園)、慶應義塾大3年のFL山本凱(慶應義塾)、早稲田大2年のSH小西泰聖(桐蔭学園)とSO吉村紘(東福岡)、明治大3年のCTB江藤良(報徳学園)らだ。

慶應義塾大の山本凱は実績十分(撮影・斉藤健仁)

また他にも昨年は高校生ながらU20日本代表に選出された、明治大1年のLO松本光貴(明大中野八王子)、帝京大1年のFL/NO8奥井章仁(大阪桐蔭)も候補に挙がっていたはずであり、高校日本代表からも何人か昇格してメンバー入りをしたに違いない。

大阪桐蔭高から帝京大へ進んだ奥井章仁(撮影・斉藤健仁)

ターゲットは未踏の世界4強

いずれにせよ、上記のような選手が切磋琢磨しつつ、57月にU20日本代表として世界の強豪に挑むはずだった。ターゲットはU20世界選手権でのベスト4を掲げた。

世界の舞台で戦うことができなかった悔しさもあるはずだが、個々で力を蓄えつつ、各リーグで戦い、桜のジャージー、そして2023年ワールドカップを目指してほしい。また相良、李のダブルキャプテンには、来季のU20日本代表で、水間監督とともに、新しく強いチームを作って、15人制の国際大会では男女ともに前人未踏の世界のベスト4へ導いてほしい。