ラクロス

ラクロスの力で高校生にエールを! 2020年をなかった年とは言わせない

全国のラクロス部員から募った思いをnoteに掲載後、冊子にまとめて関東の高校に配布する(写真はすべて本人提供)

「3つの“かち”~勝ち・克ち・価値~を体現する」。東海大学男子ラクロス部はこの3つの“かち”の最大化を行動指針とし、2020年シーズンをスタートさせました。しかし新型コロナウイルスの影響で、今シーズンは思うようにラクロスをすることもできなくなりました。そんな中、「2020年をなかった年とは言わせない」という思いで動き始めたプロジェクト「keep the fireburning 2020」について、プロジェクト実行委員で東海大学4年の鈴木翔太(大磯)が4years.につづってくれました。

つらいのは自分だけじゃないから

「3つの“かち”~勝ち・克ち・価値~を体現する」という理念は、ラクロスというスポーツを通し、人として大きく成長することを目指したものです。ただ「勝ち」を漠然と追い求めるのではなく、その過程で自分への「克ち」や、自分の言動や思考が誰かに必要とされ信頼されるようになるための「価値」。この3つの“かち”を体現することで、社会に出た時、自信を持って大きな一歩を踏み出せるように。そんなチームの思いが詰まっています。

しかし世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい、東海大男子ラクロス部のみならず、全国のラクロス部が活動自粛を余儀なくされました。4年生のラストイヤーとなる今年にかける思いは並大抵のものではなく、この現実をなかなか受け入れられませんでした。実際、チームとして思いが一つにまとまるには多くの時間を有しました。

鈴木(中央)はラストイヤーの今年、仲間とともに1部奪還を目指していた。しかし今年はリーグ戦が実施できても、昇格・降格はなしということが決まっている

しかし、つらい思いをしているのは一つのチームだけではありません。ラクロス界全体が同じ悔しさ、苦しさ、もどかしさを抱えています。先が見えない中でも、今だからこそできることをしよう。私たちは自分やチームと向き合い、行動を起こしました。

横のつながりが強いラクロスだから、できる

プロジェクト「keep the fireburning 2020」の狙いは、インターハイや甲子園の中止で苦しむ高校生たちにエールを送ること。東海大学男子ラクロス部だけではなく、他校のラクロス部員も巻き込んで。チームの理念である3つの“かち”の内、克ちと価値を体現できる方法として、私たち4年生は動き始めました。それができるのがラクロスの強さであり、ラクロスが持つ価値だと私たちは確信していました。

ラクロスには「Lacrosse Makes Friends」という文化があり、他大学への武者修行や新入生の各地区合同の合宿などを通し、他のスポーツにはない大きなつながりで支え合っています。SNS等を通して、自分の思いやポジティブな思考・行動を伝え合い、刺激し合う環境があります。始まりは私たち東海大男子ラクロス部ではありましたが、他校のラクロス部員にも賛同してもらえ、全8人のプロジェクトメンバーで一緒に方法を模索していきました。

5月末から全国のラクロス関係者にアンケートを展開。みなさんに今の思いとともにラクロスにかける熱い気持ち、前向きな取り組みを教えてもらいました。そしてその声を、文章や写真などを投稿できるメディアプラットフォーム「note」で発信しています。7月2日の時点で43人のラクロッサーの声を「keep the fireburning 2020」のオフィシャルアカウントでnoteにつづっています。

プロジェクトメンバーたちがそれぞれの母校にzoom講演し、後輩たちにエールを送った

この活動は株式会社ガーディアンシップにも共感いただけ、みんなの思いを厳選した20の声を冊子にまとめ、関東の高校に1万部配ることも決定しました。さらにプロジェクトメンバーの母校の高校に対しては、私たちの思いを“進路指導”という形でzoom講演もしました。noteを読んだ高校生や講演を聞いた高校生からは、「後悔しないようあらゆることにチャレンジしたい」「今すべきこと、できることを前向きに考えてみようと思った」などという感想があり、実際に新たな行動に移してくれた高校生もいました。

“勝ち”だけがすべてではない

私たちはこの活動を通し、自分自身の必死に生きた今日は誰かの明日を生きる希望に成り得るということを学びました。ラクロスというスポーツの単位でも、この学びを成し遂げられるという確かな手応えを感じました。

どんな状況や環境でも時間は待ってはくれず、思っている何倍も早く過ぎ去っていくだけです。明日の自分、未来の自分が後悔しないように、今、自分にできることを最大限積み重ねる。その大切さをこのコロナ禍の中で気づけ、私たちが情熱を注いできたラクロスを通じて発信することができました。

スポーツをする上で“勝ち”はこの上ない目標です。それでも、今を生きる己への“克ち”を通じ、自分だけの“価値”を最大限に引き出すことは、今この瞬間にもできることだと、私たちは胸を張って伝えていきたいです。

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