立教大ボクシング・田嶋柊太 競技人生最後の選手権へ、燃やせ魂の火
「リーグ戦は大学ボクシングの醍醐味」。ボクシングは個人競技として周知されているが、大学ボクシングはリーグ戦を採用している。そのため、プロの試合で使われることも多い格闘技の聖地とされる後楽園ホールで行われる試合は独特な雰囲気が漂っている。軽量級であるライトフライ級から重量級であるミドル級の7階級の7人で4勝を目指す。
田嶋柊太(4年、久居)は中でも最も軽いライトフライ級で戦ってきた。「自分は試合のトップバッターで勝って流れをつくることが仕事」と個人での勝利を超えてチームでの勝利にこだわりを見せる。「今シーズンは5勝(シーズン全勝)する予定だった」。春のリーグ戦に向けてコンディションを最高潮に仕上げてきた矢先だった。
大舞台を失い、不完全燃焼
世界中に新型コロナウイルスが広がったことで様々なスポーツが中止・延期となり、東京オリンピックも延期が決定した。大学ボクシングも例外なくこの影響を受け、例年5月に開催される関東大学ボクシングリーグも中止。田嶋たち立教大ボクシンング部にとって一番の大舞台だった。
田嶋は「中学の時に(ボクシングの)テレビ中継を見て、純粋に『かっけえ』と思って始めた。思い立ったらすぐにやりたくなる」。ボクシングとともに歩んできた。今年からは歴史ある立教大ボクシング部の主将に選出された。「自分はめっちゃ強い選手ではないので、試合の外など違った角度からキャプテンとして発揮していこうと思っていた。でも、主将として後輩たちに背中を見せる機会も失ってしまい、不完全燃焼だ」
起死回生の火を焚べろ
これでも田嶋の信念はアツい。「自分が伸び悩んだ時、やめようと思ったこともあった」と話すが、何度も乗り越えてきた。「気持ちの問題だと思います。気合いです」と心の火は消えない。この自粛期間もソーシャルディスタンスに配慮した上で、ランニングなどの日課は欠かさず行っている。
例年であれば秋には全日本選手権がある。「社会人ではボクシングの道に進まないので、競技人生最後を精一杯やりたい」と答えた田嶋。その瞳の奥ではメラメラと闘志の炎が燃えていた。