駒澤大・田澤廉ら続々と自己記録更新 ホクレン・ディスタンスで陸上競技再開
新型コロナウイルスの影響で休止していた陸上競技が再開した。中、長距離の一線級が競うホクレン・ディスタンスチャレンジが北海道各地で開催中だ。今季の大学駅伝界の主役たちがトラックに戻ってきた。
8日に開かれた第2戦深川大会では、コロナの影響で学内のトラックが使えなくなるなど練習環境に制限が出た大学もある中、早くも自己記録を更新する選手が出た。昨季、大物ルーキーとして注目された駒澤大学の田澤廉(2年、青森山田)もその1人。5000mでこれまでのベストを4秒以上更新する13分37秒28をマークした。
「日本選手権でどう勝つか」オリンピックも視野に
「13分35秒を目標としていたので2秒ほど及ばなかったけれど、久しぶりの大会でしっかり走れたので良かったと思う」と田澤。コロナの影響で大学内のトラックが使えず、ロードでショートインターバルを行うなどしてスピードアップに努めた、という。「トラックでやる練習とは感覚が違うので難しいシーズンになる」と言いつつも、いきなりの自己ベストはさすが。
昨季は学生三大駅伝(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝)すべてに出場し、全日本では7区で区間賞、箱根では3区で7人抜きの快走を見せた。10000mは昨年の日本学生選手最高タイムとなる28分13秒21をマークし、今季のいっそうの飛躍が期待されている。本人は大学2年目の目標に12月に大阪で開催予定の日本選手権10000mでの優勝をあげた。
「駅伝も本気でやりますが、自分の思いは駅伝より日本選手権でどうやって勝つかを考えていきたい」。大八木弘明監督も「田澤はまだ若いのでスピード重視でやっていきたい。まず日本選手権にチャレンジです」と期待する。2人とも1年延期になった東京オリンピックも視野に入れている。
中大ルーキー、吉居大和も自己記録を更新
中央大学の注目のルーキー、吉居大和(よしい・やまと)も5000mで13分38秒79の自己記録をマークした。昨年の全国高校駅伝を制した宮城・仙台育英のメンバー。全国高校総体の5000mで日本選手トップの3位、今年1月の都道府県対抗駅伝では1区で区間賞(区間新)に輝いた。
「目標の13分40秒を切り、B組のトップをとれてとてもうれしい。大会が開催できるかどうか分からない中、いろんな人の支えがあって記録を残すことができて良かった」と吉居。今春、長崎・瓊浦高校からMHPSへ進んだ林田洋翔(ひろと)や、駒澤大から富士通に就職した中村大成らに先着した。
中央大進学を決めた理由について吉居は「中大は世界で戦えるランナーを生んでいて、自分を成長させる環境があると思ったから」。目標を「卒業までに箱根駅伝で優勝することと、学生の中で一番強い選手になること。ハーフマラソンや10000mの学生記録を更新したい」と、ともにメクボ・モグス(当時山梨学院大学)が持つ記録に照準を定めている。
國學院大の2人も力走
このほか昨年の出雲で三大駅伝初優勝を飾り、箱根では過去最高の3位に食い込んだ國學院大學勢の好走が目立った。土方英和(現Honda)、浦野雄平(現富士通)といった“最強世代”が卒業して戦力の低下が懸念されたが、底上げができているようだ。
今年の箱根駅伝の1区で2位と好走した藤木宏太(3年、北海道栄)が10000mで28分24秒79の自己記録をマーク。同じ組で走った先輩の土方や東京オリンピックマラソン代表の中村匠吾(富士通)に20秒以上の差をつけてB組の1位でフィニッシュした。また、昨季1年生ながら三大駅伝すべてに出場した中西大翔(たいが、2年、金沢龍谷)も10000mで自己ベストを30秒以上縮める28分58秒39を記録した。
深川大会の男子のハイライトとしては、今年の箱根駅伝の2区で相澤晃(東洋大~旭化成)とデッドヒートを繰り広げた伊藤達彦(東京国際大~Honda)が10000mで27分58秒43の自己新。ライバル相澤より一足先に27分台に突入し、出場した日本選手でトップの記録をたたき出した。この2人の争いも今後、目が離せない。
ホクレン・ディスタンスチャレンジは今年、北見大会が中止になったが、15日に第3戦網走大会、18日に第4戦千歳大会を予定している。