陸上・駅伝

10月に初開催目指す奥球磨駅伝 出雲駅伝中止を受けて注目され、戸惑いも

今年1月に開かれた奥球磨ロードレースは水上村などを通る(撮影・朝日新聞社)

10月に熊本県南東部の4町村で開かれる予定の第1回奥球磨駅伝競争大会がにわかに注目を集めている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で「学生3大駅伝」初戦の出雲全日本大学選抜駅伝競走(10月11日)が中止になった。同じ時期に初開催を目指す九州のローカルな駅伝大会に、関東の強豪大学が参戦するのではとみられているからだ。

出雲全日本大学選抜駅伝が中止 「学生3大駅伝」初戦

九州高校駅伝復活を願い誕生

新設の奥球磨駅伝は10月4日の開催を目指しており、高校と大学、実業団の男子チームが計42.195kmで競う。高校(計7区間)と大学・実業団(計4区間)の部門に分かれるが、多良木町役場前を一斉にスタート。湯前町、水上村、あさぎり町を通って多良木町役場前へ戻るコースで行われる。大会事務局によると「九州の高校の全国大会優勝をバックアップしたいと、強化を兼ねて2、3年前から計画を立てていた」という。

駅伝どころの九州は、全国高校駅伝大会(男子)で1975年から大牟田(福岡)の連覇に続き小林(宮崎)が連覇と、九州勢が4年連続優勝するなど一大勢力を誇った。しかし、2010年の鹿児島実の初優勝を最後に、全国大会の頂点から遠ざかっている。

高校生が登場している奥球磨駅伝のポスター(大会事務局提供)

担当者は「高校の先生とお話しして、高校生の箱根駅伝への憧れや目標や志しを上げるために、大学や実業団チームも一緒に走ってもらい、高校全体のレベルアップを図りたかった」と説明する。元々、陸上競技が盛んな地域でもあり、コースは違うが毎年1月にはハーフマラソンなどの奥球磨ロードレースを開いてきた。小林高校や実業団で活躍した廣末香さん、卓さんの「廣末兄弟」や上武大学時代に3回箱根駅伝を走った太田黒卓(八千代工業)らこの地域出身のランナーもいる。

出雲駅伝中止、関東の大学もエントリー?

奥球磨駅伝は6月末から先着順で募集をはじめていたが、実業団・大学は7月28日に定員に達し、募集を打ち切った。奥球磨駅伝の1週間後の10月11日に予定されていた出雲駅伝の中止が発表されたのが前日の27日で、出場できなくなった関東の大学も申し込んだとみられている。

大会事務局は確定後に参加チームを公表する予定にしている。担当者は「いろいろ言われて大変です。頑張ってくれっていうのも多いですし、批判の声もあります。実際はそうじゃないんですけど、周りは出雲駅伝の代替大会という風にとらえはじめている。出雲がコロナ禍で中止になったのに、なんでこっちはやるんだみたいな声もある」とこぼす。先行き不透明な部分もあるが、大会実現に向けて、日本陸連のロードレース再開についてのガイダンスなども参考に念入りに準備を進めている。

先の豪雨で駅伝コースは大丈夫だったが、被害が出た所もある。当日は警察の協力はもちろん、4町村の職員や交通指導員らで対応する予定という。4町村の住民以外は無観客の方向で調整しており、「コロナ対策もあるし、災害もありましたので、あくまで選手のための大会をうたいたい」という。当初100チーム程度の参加を想定していたが、コロナの影響もあり、九州の高校40チームと大学・実業団10チーム程度の参加を目指しているという。

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