ラグビー

早大は初先発の坪郷智輝が躍動、慶大は山田響が逆転サヨナラPG 関東対抗戦

公式戦初先発で躍動した早稲田大学のフランカー坪郷智輝(撮影・斉藤健仁)

関東大学対抗戦Aグループ

11月1日@東京・秩父宮ラグビー場
早稲田大(4勝) 45-29 帝京大(3勝1敗)
慶應義塾大(3勝1敗) 13-12明治大 (3勝1敗)

泥臭いプレーが勝利引き寄せる

ラグビーの関東大学対抗戦は11月1日、東京・秩父宮ラグビー場では2試合があり、全勝対決は早稲田大学が帝京大学に快勝。慶應義塾大学は終了間際の逆転PGで連覇を狙う明治大学に土をつけた。ともに劣勢と思われたチームが泥臭くひたむきなプレーで勝利をたぐり寄せた。

第1試合は早大が先手をとり、連続トライなどで12点をリードした。ここから帝京大の反撃にあい3連続トライを奪われて19-12と逆転された。相手に流れが傾いたと思われたが、No.8丸尾崇真主将(4年、早稲田実)は「自分たちがトライしようと、相手がトライしようと、自分たちが立ち返る部分はディフェンス。ディフェンスの接点で前に出ることをやり続けようと考えた」と動じなかった。

兄を追い、未経験で入部

前半終了間際に追いつくと、後半は10分余りスコアが動かない我慢比べの後、早大が4トライを重ね一度もリードを許さず逃げ切った。チームが原点に据えた前に出る防御を体現したのが公式戦初先発のフランカー坪郷智輝(4年、川越東)だった。相良南海夫監督は「細かいこと抜きに、体を張ってタックルしてくれということを期待した。初出場に動ぜず、4年の意地というか、しっかりプレーをしてくれた」と合格点を与えた。

早大のバックスだった兄の勇輝さんを追い、ラグビー未経験で入部した。身長171cmで体重87kg、ずば抜けたセンスがあるわけではないが、地道なプレーが最終学年に開花しつつある。同じように愚直に努力を重ねた兄もCTBのレギュラーをつかんだのは4年生になってからだった。兄は2013年度、最強時代の帝京大に対抗戦、全国大学選手権とも敗れており、ある意味で憧れの兄を超えたことにもなった。

坪郷はさすがに試合前日は緊張したそうだが、丸尾主将は「初出場、初対抗戦、初帝京戦、初秩父宮、僕は何も心配しなかった」と言う。後半には初トライを奪うおまけもついてマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。「素直にうれしい。みんなが大丈夫と励ましてくれ、リラックスして試合に臨めたのがいい結果につながった」

明治大学を2年ぶりに下した慶應義塾大学

第2試合は後半の終了直前、2点を追う慶大はFB山田響(1年、報徳学園)が中央のPGを成功させ、13-12で「逆転サヨナラ」勝ちした。得点力が高い明大とロースコアの競り合いに持ち込めたのは、厳しい防御があったからだ。

伝統の重みが選手に乗りうつる

ロックの相部開哉主将(4年、慶應)は最後のPGの時はまだ、時間が残っていると思い次のプレーを考えていたそうで、「終了の笛が鳴り驚いた。我慢し続けてよかった。(メンバーの)23人だけではなく、部員全員の努力が報われたと思った」と言った。栗原徹監督はPGが決まる前にスタッフと握手を交わしていた。「勝ったからではなく、精いっぱいみんな頑張ったので、(ゴールが)入っても入らなくてもすごく満足だった。80分までの努力が素晴らしい」。それほど内容のある試合だった。

昨年、慶大は対抗戦5位に沈み、22季ぶりに全国大学選手権出場を逃した。巻き返しを狙うシーズンは初戦で筑波大学に敗れただけに、負けられない明大戦だった。好タックルを連発したロックの北村裕輝(4年、慶應)は「正直、覚えてない。しっかりと正面に立った選手を絶対止めるという気持ちでした」と一心不乱に防御した。栗原監督は「(ルーツ校の)慶應大学には120年の伝統がある。僕が何も言わなくてもタックルする。先輩方の重みが彼らの体に乗りうつったと思う」と会心の勝利を振り返っていた。

in Additionあわせて読みたい