ラグビー

帝京大学の近藤芽吹、王座奪還へのカギは最上級生の力

開幕戦でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた帝京大学の近藤芽吹(撮影・すべて朝日新聞社)

関東大学対抗戦Aグループ

10月4日@東京・帝京大学グラウンド
帝京大(1勝)98-10 日本体育大(1敗)

関東大学ラグビーが開幕し、帝京大学にとっては3季ぶりの大学王座を目指すシーズンが始まった。日本体育大学戦(4日)は14トライを奪い98-10で快勝し、岩出雅之監督は「基本的なことをしっかりできる部分が少しずつ出てきたので、いいスタートが切れたと思う。まだ、準備不足の点もあるが、可能な限り準備をしっかりしたい」と先を見据えた。

ルーキーの奥井章仁と江良颯がハットトリック

開始6分、No.8で先発したルーキー奥井章仁の初トライから猛攻は始まった。ゴール前のスクラムで日体大FWをグッと押し込んだのが起点となった。奥井はフッカー江良颯と仲良くハットトリックの3トライずつを挙げた。ともに高校日本一となった大阪桐蔭2年の時から高校日本代表に選ばれているセンスの良さをみせた。

奥井、江良ら関東大学対抗戦は逸材ぞろり
帝京大の大型ルーキー江良(左)と奥井(右)と4年生の近藤

一方で、後半に江良と交代した小林恵太(3年、宮崎西)が7分間で3トライを挙げたように、FW選手が10トライを奪えたのは、モールやスクラムで圧倒したことが大きかった。その先頭に立ったのが1番の近藤芽吹(4年、新潟工)だった。
「スクラムとタックルで80分間やりきろうという気持ちで臨んだ。スクラムでターンオーバーや相手からペナルティーをとることができたのはよかった」

マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた左プロップ(PR)は、身長177cm、体重115kgの体で同じポジションで高校の先輩でもある日本代表の稲垣啓太(パナソニック)をほうふつさせる動きをみせた。「チームとして、スキを作らないというテーマで試合に臨んだ。入りから、ブレイクダウンなど激しさを出し、しっかりとコンタクトの部分で勝っていけた」と振り返った。

帝京大学が全国大学選手権で前人未到の9連覇を達成したのは2017年度。優勝を知る最後の世代が4年生になった。昨年度は関東対抗戦の史上最多だった連覇が8で止まり、大学選手権は3回戦で敗れて13季ぶりに正月を越せなかった。最上級生の今年にかける思いは想像に難くない。

奥村翔は全14ゴール成功

ゲーム主将を務めた奥村翔(4年、伏見工)は地味だが、激しい防御と正確なキックをみせた。14本のゴールキックは難しい角度もあったが、すべて成功させた。チームの副将は「自分の持ち味であるランとチームの要である防御で貢献しようと思った。防御ではいいタックルもあった」と言った。

14本のゴールキックすべて決めた帝京大FBの奥村

コロナ禍でどのチームも満足な練習を積めていない。この先、けがなどのアクシデントも起こるだろう。帝京大は日体大戦で途中交代した右PR細木康太郎(3年、桐蔭学園)とCTBニコラス・マクカラン(4年、ハミルトンボーイズ)は11日の筑波大戦のメンバーを外れた。日体大との試合後、奥村が「けが人が多く出てしまったが、帝京ラグビーを80分通してやる。いい集中力、いい緊張感を持って80分間戦う、そういう意識を持ち次に臨みたい」と言えば、近藤も「ゲームフィットネス、後半のしんどい部分でしっかりと走れるように調整したい」と話していた。帝京大は10月の3試合を無観客で戦った後、11月1日に秩父宮ラグビー場で早稲田大学戦を迎える。

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