ラグビー

早稲田大学・相良南海夫監督「本番で成長していくしかない」 関東大学4日開幕

「一つひとつは明治が上だった」と昨季を振り返る早稲田大学の相良南海夫監督(撮影・朝日新聞社)

関東大学ラグビーは対抗戦、リーグ戦とも10月4日に開幕します。新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れ、感染予防対策を取りながら約2カ月で各校7試合を戦う日程になりまた。昨季、対抗戦2位から11シーズンぶりの大学日本一をつかんだ早稲田大学の相良南海夫(なみお)監督(51)に異例のシーズンインを前に聞きました。

難しいシーズン、あえて連覇を意識

――2020年は、どの大学も経験したことがない1年になっています。

新しいシーズンが始まる2月を前に、新体制を決めている中で、「連覇を狙いましょう」という声はコーチ陣からも出ていた。ただ、僕は丸尾(崇真)主将の代として大学日本一を目指し、「結果、連覇」でいいというスタンスでした。(全国大学選手権)決勝で明治大学とやらせてもらい、彼らも連覇は意識しないようにしていた気はするが、そこが最後に明治らしさを出せなかった一つではないかとも感じた。純粋に今年のチームとして優勝を目指そうと思っていた。

早稲田は春にいろいろ試し、夏で成長していくところがある。今年はそれができなかった。対抗戦の中で、本番で成長していくしかない。自分たちは順調に積み上げているつもりでも、相対的にどうなのかわからない。試合をしてみないと。対抗戦で「うまくいかない」、「こんなはずじゃない」ということが必ずある。そこで、より連覇を意識したほうが、チームがぶれずにいけると思っている。

――試合ができなかった状況や、日程も例年とかなり違います。

僕らだけではない。日程は昨年もワールドカップを挟んで変則だった。そこに抵抗感はない。ただ、けが人が出たり、コーチ陣も「あれっ」と思うことがあったりするはず。だからこそ、ぶれずに最後はどこにいきたいかをより強く意識したほうがいい。実際に試合をやってみて、いつもの疲労度とちょっと違ったり、ダメージも違ったり、始まってからそういうところには慣れていくしかない。

まだ、明治が上だった

――今季、指導することで意識していることは。

基本的なところ。最後、明治に勝ったが、一つひとつをみると明治が上だった。立ち上がるスピードなど。また、大きな選手がそろうチームに、食い込まれるようなタックルをしていると苦しくなる。そういう部分は、練習で切り取って積み重ねてきた。優勝したことで選手の意識は変わった。「スタンダード」や「質」にこだわって練習しないと本番でできないと言い続けているが、そういう部分が浸透しつつある。

――優勝したことで今季は他校の目標になります。

連覇を意識することと矛盾するが、追われる立場という風には選手もコーチ陣も思っていない。丸尾をはじめ、「これじゃ、決勝で勝てないぞ」という言葉が結構、練習の中で出ている。決勝で出すプレーのために毎日がある。矢印は自分たちに向いていると思う。

相良監督のインタビューです

『早稲田ラグビー 最強のプロセス』

シーズンインを前に、相良監督がチームを11年ぶりの大学日本一に導いた背景や自身のこれまでの体験などをまとめました。監督は「ラグビーに限らず、自分が『何をしたいのか』、『どうなりたいのか』がないと何も始まらない」といいます。「同世代の親として反省もあるが、子どもに判断をさせない、お膳立ての世の中になっている部分があると思う。学生にはもっと理想主義になって挑戦してほしい」と考えているそうです。監督就任のいきさつや早大学院で全国高校大会に出場したラグビー歴もつづられています。講談社刊。1700円(税別)

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