アメフト

日大が3年ぶりの甲子園ボウルへ、悪質反則問題から復活し再び関学と決戦

3タッチダウンを奪う走りをみせた日本大学のRB川上理宇

関東大学1部TOP8

11月29日@アミノバイタルフィールド
「優勝決定戦」
日本大38-14桜美林大
順位 (1)日本大(2)桜美林大(3)法政大(4)明治大(5)早稲田大(6)東京大(7)立教大(8)中央大

アメリカンフットボールの関東大学リーグ1部のTOP8は11月29日、東京・アミノバイタルフィールドで「優勝決定戦」があり、日本大学(Aブロック1位)が桜美林大学(Bブロック1位)を38-14で下し、3年ぶり35回目の甲子園ボウル出場を決めた。12月13日に阪神甲子園球場で大学日本一をかけ、長年のライバル関西学院大学と対戦する。

初出場狙った桜美林大を振り切る

2017年の甲子園ボウルで関学大を破って大学日本一となった日大は、翌18年5月の関学大との定期戦で悪質な反則をしたとして出場資格停止処分を受けた。降格した19年秋に一つ下のBIG8から再出発し7戦全勝で優勝、今年、TOP8に復帰していた。

昨年、BIG8で日大と優勝を争い、初めてTOP8に昇格した桜美林大は初の甲子園ボウルには届かなかった。

3年ぶりの甲子園ボウル出場を決めた日大の選手たち

日大は第1クオーター(Q)10分52秒、QB林大希(4年、大正)からWR林裕嗣(4年、佼成学園)の「W林ホットライン」のタッチダウン(TD)パスが通り先制。第2Qに一度は逆転されたがRB川上理宇(4年、佼成学園)が流れを変えた。前半終了間際の10ydのTDランで17-14と逆転して折り返した

第3Qは互いに無得点だった。日大は第4Qに川上の二つ目のTDで突き放した。さらに、負傷した林大に代わったQB小野祐亮(4年、日大鶴ケ丘)がTDパスを決め、最後は川上の三つ目のTDでダメを押した。計3TDを挙げた川上は「反則タックル事件からしばらく僕らはプレーできなくて、絶望と仲良くなった。でもその状況で何ができるかをずっと考えてきた。試合はきつかったが、あの事件に比べたら。逆境に対する強さがある」と話し、大一番で底力を見せつけた。

第4Qのダメ押しTDパスなど林大の穴を埋めた日大QB小野

TOP8初昇格の桜美林も健闘した。第1QはWR福田亮佑(3年、駒場学園)が95ydのキックオフリターンTDで追いつき、第2Qには1年生QB水越直(横浜)からWR宮澤稜(2年、埼玉栄)への68ydのTDパスが通って一時は逆転した。しかし、終盤、頼みのディフェンスが消耗して力尽きた。

2018年の問題後に就任した日大の橋詰功監督(立命館大OB)は、以前とは逆の、学生主導のチームを目指した。選手を精神的に追い詰める指導が問題の背景などとされたからだ。QB林大希は「グラウンドに笑顔はなく、監督との会話は少なかった」と振り返っていた。新チームとなった今年始めには、監督の考えや方針に不満を抱く学生たちと衝突。退部を口にする主力選手もいた。でも、とことん向き合った。涙に暮れる選手に最後は「頑張ろや」と語りかけた。

3年前、1年生で日大を大学日本一に導いたQB林大希は再び甲子園へ

久々のTOP8のスピードや強さに戸惑いながら4連勝で復活した。甲子園に戻ることになった林大希は3年前、躍動感のある走りと鋭いパスであの場所で27年ぶりの学生日本一に貢献した。1年生にして初めて年間最優秀選手にも選ばれた。そこから、人知れぬ苦労を味わってきた。この日は途中で負傷したが、試合後はこみ上げるものがあった。「監督がいたから僕らはここまでこられた。甲子園は戻るべき場所。相手が関学なのは操れない運命だと感じた。全員フットボールで臨みたい」。必ず決戦のグラウンドに立つという思いがみえた。

新生フェニックスが甲子園に舞い戻る。

in Additionあわせて読みたい