サッカー

コロナ禍「早慶クラシコ」感謝の開催、13年ぶりの引き分けに

後半10分、慶大DF酒井(左下)はオーバーヘッドシュートを決める(撮影・全て朝日新聞社)

第71回早慶クラシコ

12月5日@東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場
早稲田大 1-1 慶應義塾大
(早大の38勝14敗19分け)

71回目を迎えた早稲田大学と慶應義塾大学によるサッカーの定期戦「早慶クラシコ」が12月5日、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場であった。毎年、春から夏にかけて行われてきた定期戦は今年、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開催が危ぶまれていたが、慶大が関東大学リーグ戦1部に復帰し、後期日程に組み込まれる形で行われた。昨年まで早大が8連勝していたが、試合は後半に1点ずつを取り合い、13年ぶりの引き分けだった。通算成績は早大の38勝14敗19分け。

「一生の思い出」「素晴らしい」

昨夏の等々力陸上競技場には1万人以上を集めた大学サッカー屈指の人気カード。コロナ禍の雨中戦となったが、4032人が見守った。慶大の淺海友峰監督が「これだけの方が見に来てくださり、この会場を準備してくださって、学生にとっては一生の思い出に残ると思います」と言えば、早大の外池大亮監督も「連盟の方々のご理解とご協力で、特別なゲームをやらせて頂き感謝している。学生たちを中心に無事開催して終えられたことは素晴らしいことだと改めて思う」と振り返った。

早大はDFに西田翔央(2年、東福岡)を先発させ、慶大のMF橋本健人(3年、横浜FCユース)のマークにつかせた。橋本は2022年のレノファ山口への入団が内定しており、リーグ戦の前期の対戦では決勝ゴールを奪っていた。前半は慶大が試合のペースを握っていたが、早大も決定的な好機は与えず互いに無得点で折り返した。

慶大がDF酒井のオーバーヘッドで先手

先取点を挙げ左手を突き上げるDF酒井に駆け寄る慶大の選手たち

後半先手を取ったのは慶大だった。10分、右のコーナーキックからの攻撃を一度は相手選手のヘディングでクリアされたが、その浮き球をDF酒井綜一郎(3年、慶應義塾)がオーバーヘッドで決めた。酒井は「空中にボールが上がった時にいくしかない。守備専門ですけど、点を取りたいという気持ちがあった」と振り返った。11月29日の国士舘大学戦に続く2試合連続のゴールとなったが、オーバーヘッドシュート決めたのは初めてという。「自分は(慶應)幼稚舎からで、小学校からこの早慶戦をみてきた。8連敗している試合全て見てきて、個人的には絶対に早稲田に勝ちたいという気持ちがとても強くあった。引き分けにできたのはよかった」

淺海監督も「セットプレーはコーチと学生に全部任せている。自分たちで作ったセットプレーの後、その流れの中で取れた得点は、学生の頑張りが結びついた」と評価した。

早大はMF西堂が公式戦初ゴール

早大の外池監督は「やられたというより、入ってしまったという失点だったので、メンタルが心配だったが、西堂が途中から入ってパワーを示してくれたことを含め、途中から出ていった選手がスイッチを改めて入れてくれたことは大きかった」。22年から清水エスパルスへの入団が内定したFW加藤拓己(3年、山梨学院)やMF西堂久俊(2年、市立船橋)を投入し、チームのギアを上げた。

後半18分、同点ゴールを決めた早大MF西堂(左)

後半18分には右のコーナーキックからMF大西翔也(3年、浦和レッズユース)のヘディングシュートがポストに当たったこぼれ球を西堂が押し込んだ。西堂は「4年生への感謝を表現できる機会と思い臨んだ。僕の前にボールが来たので、なりふり構わず足を振った。左効きですが、とっさに右足が出た」と公式戦初ゴールを喜んだ。

お互い持ち味を出し合い引き分けに終わった

この後は互いに好機を作ったが、決めきれずに引き分けた。リーグ首位の早大は確実に勝ち点を積み上げたかったが、後半、勢いある攻めで見せ場は作った。リーグ中位につける慶大は、定期戦の連敗をひとまず止め、格上の早大に今季2試合負けなかったことは収穫となった。

試合後、健闘をたたえ合う慶大MF橋本(右)と早大FW加藤

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