陸上・駅伝

特集:第97回箱根駅伝

立教大ルーキー中山凛斗 「12年ぶり」から「56年ぶり」につなげる箱根駅伝

中山(右)は今年の箱根駅伝で関東学生連合チームとして出走した(撮影・北川直樹)

駅伝ファンでもピンとこない組み合わせに違いない。最後にチームとして箱根駅伝に出場したのは第44回(1968年)。受験や就職では「MARCH」の一角として有名な立教大学だが、大学スポーツの顔ともいえる箱根駅伝では、半世紀以上も蚊帳の外である。

しかし、今年は違った。たったひとりではあるが、立教大の選手が12年ぶりに箱根路を駆けた。その選手の名は中山凛斗(1年、九州学院)。結果こそ4区区間18位相当ではあったが、2024年に56年ぶりの箱根駅伝出場を目指すチームにとって、彼の出場が大きな進歩となったことは間違いない。

「立教箱根駅伝2024」

2018年12月に、立教大創立150周年事業として「立教箱根駅伝2024」がスタートした。もし2024年に出場が決まれば、ブランクは青山学院大学の33年を大幅に更新する56年ぶりとなる。その一環として、まずは「ごぼう抜き」を代名詞に中央大学などで活躍した上野裕一郎さんを監督に迎え、精力的な勧誘活動を開始。実力面では箱根常連校に引けを取らない新入生が、立教大に集まった。

中山もそのひとりである。中3で全国中学校駅伝を経験し、高校時代は強豪・九州学院(高校)で、全国高校駅伝に2度出場。特に2年次の都大路(全国高校駅伝)では5区で区間3位の好記録を残した。トラック種目でも、インターハイに2度出場している。

正直なところ、「なんでそんな選手が立教大に?」と突っ込みたくなるような実績の持ち主である。そもそも彼が立教大を進学先に選んだ理由とはなんだろうか。

他にはない環境で着実にレベルアップ

「箱根駅伝をイチから目指すっていうところが面白いなって思いました。高校時代は大きな大会には普通に出られていたので、そこにマンネリ化があったんです。でも箱根駅伝に出られない状況から、チーム一丸で切磋琢磨(せっさたくま)してそこを目指す、という目標に興味を持ちました」

すでに存在する強豪校で箱根駅伝を走るよりも、無名校を目標とする舞台まで押し上げること。決して楽な道ではないが、それを「面白い」と思えるのだから驚きだ。

さらに、立教大の環境について中山はこうも語ってくれた。「やっぱり……監督が速いんで。監督に負けたくないですよね」

記録会で中山(中央)を先導する上野監督(右)。立教大ではこれが「日常」

男子駅伝チームを率いる上野監督は、昨年の日本選手権5000mにも出場するなど、走力はいまだに日本トップクラスだ。そんな「日本一速い駅伝監督」と日々の練習や記録会で一緒に走ることができる環境は、間違いなくチームの成長につながっている。

中山も、そんな独特な環境の中で着実にレベルアップを重ねてきた。昨年は初めてのハーフマラソンとなった箱根予選会で1時間3分13秒を叩き出し、いきなり立教記録を更新。5000mと10000mでも自己ベストを塗り替えた。そして、1年生ながら箱根駅伝の学生連合入りを果たす。

「走ることが経験とか言ったりするんですけど、結果を残すことで次につながっていくと思います。区間5番以内を目標にしています」

大会前、中山にどういう走りをしたいかを尋ねると、こんな答えが返ってきた。自身を負けず嫌いと話す中山らしい答えだ。

「あとは小さいころからテレビで見ていたんで、今の心境としては走りたくてしょうがないって感じですかね」

事前エントリーからは漏れたが、大会2日前に4区での出場が決まった。1月2日の朝、この上ない晴天となった箱根路に中山の名前がコールされた。

楽しめなかった箱根路へリベンジを

「苦しい箱根デビューになりました。きつくて楽しさを感じることができなかった。でも、ひとついい経験になりました」。初めての箱根駅伝で、中山はその厳しさを痛感した。

ほぼ同時にスタートした山梨学院大学のポール・オニエゴ(3年、モゴンガ)にはみるみる差をつけられ、終始単独での走り。「思い返すと、焦っていたんだと思います」と、想定とは大きく違った状況で、崩れたペースを取り戻せなかった。ただ、悔しいだけの経験ではなかったことも事実である。

「箱根を走って、自分があまり走れなかった悔しい気持ちから、チームを強くしたいという気持ちになりました。自分が中心になって発言していきながら、チームを引っ張っていきたいと思います」

「夢の舞台」である箱根路でも中山(中央)は貪欲に結果を求めていた

この経験を通じて中山が学んだことは、箱根駅伝の厳しさだけではない。強豪校の選手たちに触れ、立教大が彼らに追いつくためにはどうするべきか。そして、それをチームに還元できるのは、箱根を走った自分である、ということだ。

「強いチームを作って、またあの箱根路に戻ってリベンジできたらいいですね」

「12年ぶり」となった学生連合での出場を終え、次の目標は「56年ぶり」。すなわち、2024年の箱根駅伝本選進出である。そのときは4年生として、「12年ぶり」のときに楽しめなかった箱根路で、中山は「56年ぶり」の立教大襷(たすき)リレーを見せてくれるに違いない。

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