ボクシングを通して「千葉」を世界へ 堤兄弟の地元への思い

堤駿斗選手(左)、麗斗選手(右)

アマチュアボクシング界で兄弟ともに活躍し、日本人選手初となる2016年世界ユース選手権の金メダルなど数々のタイトルを獲得している東洋大学3年生の堤駿斗(はやと)選手(22)、高校ナンバーワンの逸材といわれる習志野高校3年生の麗斗(れいと)選手(18)に明治安田生命「地元アスリート応援プログラム」との出会いのきっかけや競技にかける思い、ふたりのこれからの目標、クラウドファンディングによってえられた支援者への感謝の気持ちについて話を聞いた。

支援を募ったことで多くの人に支えられていることを実感した

--明治安田生命の「地元アスリート応援プログラム」に申し込んだきっかけを教えてください。

堤駿斗:幼い頃から千葉県千葉市で育ち、地元に何か恩返ししたいと思いました。僕は千葉の名前を世界に広めたいと思っています。

堤麗斗:僕も兄と同じように地元への強い思いを持っています。千葉で育った僕たち兄弟の名前を多くの方々に知ってもらいたいので。

駿斗:競技者としては、アマチュアボクシングをもっと知ってもらえればと思いました。

--20年11月から本プログラムに参加し、クラウドファンディングで支援を募りました。周囲からの反響はどうでしたか。

駿斗:初めての経験だったのですが、SNSなどを通じて、多くの人に支えてもらっていることを実感できました。昔からの知り合い、地元の千葉に住んでいる人たち、今回のプログラムを通じて、新たに支援してくれる人など、さまざま。「応援しているよ」というメッセージを見ると、うれしかったです。一人のアスリートとして、期待に応えないといけないという自覚がさらに出てきました。

麗斗:SNSだけではなく、メディアを通じて、僕たち兄弟のことを知ってもらった人たちもいたようです。それをきっかけに支援してくれた方々もいました。実際にそういう話を耳にすると、あらためて感謝の気持ちを持たないといけないと思いました。応援してもらうことは、当たり前ではありません。

駿斗:僕たちのことを知らなかった人たちに支援してもらえたことは、モチベーションの向上にもつながります。

麗斗:責任も生まれますね。応援してくれている方々のためにも結果を残して、恩返ししたいと思っています。

駿斗:高校時代に地元の千葉代表として出場し、それは余計に感じました。僕の場合、高校初タイトルが1年時の国体だったんです。

麗斗:国体は県民全員が出場できるわけではありません。代表として試合に出るので、そのときから僕も責任を感じていました。リングでしんどくなったときには、地元で支えてくれた人たちのことを思い出しました。ここでは負けられないぞって。そして、また火がつきました。

『次世代トップアスリート応援プロジェクト』で広がった活動の幅

--兄弟2人とも明治安田生命が2015年からはじめた『次世代トップアスリート応援プロジェクト~めざせ世界大会~』の支援も受けています。

駿斗:僕は16年、弟は19年からです。そのおかげで活動の幅が広がりました。フィジカルトレーナーの専門的な指導を受けたり、体のケアにかかる費用を補填(ほてん)することができたりしています。またそのトレーニングの成果として、僕は下半身の安定感が出てきました。打ち返すスピードも上がったと思います。

麗斗:兄の動きを身近でずっと見ていますが、フィジカルトレーニングをしたことでずいぶんと変わりました。

駿斗:弟も同じようにフィジカルトレーニング、体のケアに投資しているので変化は見えます。

麗斗:習志野高校でも上の学年の選手と対等に戦えるくらい強くなりましたから。早い段階でフィジカルトレーニングに投資できたことは良かったです。

--フィジカル面については、トレーニングジムなどで勉強している父親の直樹さんからもアドバイスを受けているとか。

麗斗:僕たちのことをずっと気にして見てくれていますので。父しか気づかない点はあります。

駿斗:昨年、僕はボクシングのスタイルチェンジに取り組んだのですが、その過程で体のバランスを崩してしまったんです。そのときも、父からアドバイスをもらいました。

麗斗:僕も調子を崩したときなどに、父のひと言がきっかけで元の動きを取り戻したことがありました。

--コロナ禍の影響で高校、大学施設の使用制限があり、自宅でトレーニングすることも増えたようですね。千葉の実家には6畳の練習部屋があると聞きました。

麗斗:9年前ですね。僕がまだ小学生だった頃、父に専用ルームを作ってもらったんです。18年に兄が東洋大に進学してからは、その部屋で2人そろって練習する機会はめっきり減ったのですが、昨年は毎日のように一緒に練習をしていました。間近で見ると、兄から盗めるものは多いです。

駿斗:互いの課題を克服できるような練習をしています。昨年の暮れには、僕の母校でもあり、弟が通う習志野高校のリングでスパーリングをしたんです。弟は昔に比べると、ボクシングがうまくなったと思います。体のバランスを崩さず、自分の長所を出せるようになってきました。チャンスと判断したときには、一気に畳み掛ける瞬発力があります。フィジカル面でいえば、短距離ダッシュの速さ。僕にはない強みですね。

麗斗:瞬間的な踏み込みの速さは、一つの武器なので。その持ち味を生かすためにも、前の手(ジャブ)が重要になってきます。兄はそのジャブを得意としているので、参考にしています。兄に比べると、僕が劣っているところです。兄は尊敬すべき選手ですが、ライバルだと思っています。兄を超えるほどの成績を残していきたいです。

駿斗:僕も弟からは刺激をもらっています。年齢は3歳差ですが、ボクサーとしてはそこまで差はありません。兄としても負けられないと思っています。

堤家の大きな目標 夢は兄弟で金メダル

--互いに成長を実感しているようですが、昨年、ボクシングのアマチュア大会はほとんど中止になりました。すでに高校5冠を達成していた麗斗選手が、目標にしていた兄の6冠を超える8冠もコロナ禍で試合が中止になり、実現できませんでした。兄の駿斗選手から掛けた言葉はありましたか。

駿斗:弟は高校最後の大会が中止になっても、モチベーションが低下していなかったです。普通の選手であれば、落ち込むところですが、意識を高く持っていました。僕から励ますまでもなかったです。

麗斗:くよくよしている時間がもったいないと思ったので、ひらすら練習に励みました。

駿斗:むしろ、僕のほうが4年に一度の大舞台につながるアジア・オセアニア予選で敗退し、心配してもらったようで……。

麗斗:兄はあの大会に懸けていましたから。LINEで「次、頑張ろう」と送ったと思います。

駿斗:あのときばかりは自分が情けなくて、返信できなかったです。少し落ち込みましたが、家族にも支えられて、気持ちを切り替えました。まだチャンスはあります。

--明治安田生命や地元のみなさんの支援に応えるためにもこれから大舞台での結果が求められますね。

駿斗:目標とする舞台をこれからもめざしたいと思います。

麗斗:兄は世界で戦えるボクサーです。弟として、一人のボクシングファンとして期待しています。

駿斗:弟も4月には世界ユース選手権が待っています。ユース世代では世界でもトップクラスなので、気負い過ぎずに練習してきたことを出せば、優勝できるはずです。

麗斗:21年は、まずはその世界ユースで金メダルを獲得することですね。

駿斗:僕はその後、アマチュア最高峰の舞台でしっかり結果を残します。

麗斗:そして次の大会では兄に続いて、僕がまた同じ金色のメダルを取ります。それが、堤家の大きな目標です。

 

【profile】
つつみ・はやと/1999年7月12日生まれ。千葉県千葉市出身。小学5年生で空手からボクシングに転向。中学時代からU-15全国大会などタイトルを数多く獲得した。千葉の習志野高校ではインターハイ、選抜大会、国体を含む全国6冠を達成し、シニアを含む全日本選手権も制覇。日本勢で初めて世界ユース(18歳以下)選手権でも優勝した。卒業後は東洋大に進学し、現在は3年生。身長171cm。

つつみ・れいと/2002年8月26日生まれ。千葉県千葉市出身。兄と同様、小学5年生時に空手からボクシングに転向。中学3年生までにU-15全国大会で4連覇(認定優勝含む)を果たす。習志野高ではインターハイ、選抜大会、国体を含む全国5冠を達成。2年時にはアジアユースで金メダルを獲得した。3年時はコロナ禍の影響ですべての大会が中止となった。今年4月に開催予定の世界ユース選手権ではライト級で金メダル獲得を目標に掲げている。身長165cm。

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