アイスダンス平山姫里有、立野在組 納得するスケートの先に見つめる北京オリンピック
2022年北京オリンピックまで1年をきった。フィギュアスケートのアイスダンスで、その夢舞台を目指し結成されたカップルがいる。「きりある」こと、22歳の平山姫里有(きりあ、岡山南高卒)、23歳の立野在(たてのある、法政大学、日出〈現・目黒日大〉高卒、ともに倉敷フィギュアスケートクラブ)のカップルだ。引退に揺れた平山と競技復帰を望んだ立野。ともにアイスダンス歴10年以上の二人が共通の目標を見つけ、20年春に手を取り合った。
指導者と競技者の立場から
平山は岡山県倉敷市出身。6歳のときスケートに出会い、10歳からアイスダンスを始めた。全日本選手権で2度の表彰台入り。前パートナーの競技引退に伴い、20年2月にカップルを解消した。立野は横浜市出身、8歳でスケートに本格的に取り組むようになり、小学6年でアイスダンスに転向した。前パートナーと全日本ジュニア選手権3連覇、世界ジュニア選手権に2度出場した。平昌オリンピックシーズンの17-18年は全日本選手権3位、四大陸選手権にも出場したが、18年10月に肩のけがの影響で引退した。
二人がカップルを組むきっかけになったのは、立野が有川梨絵コーチのもとでアシスタントを務めていたときだった。引退してまもなく、岡山国際スケートリンクを訪れると、そこに有川コーチに師事する平山がいた。その後は指導者と競技者という関係が続いた。
平山は20年2月にカップルを解散後、現役を続けるか悩んでいた。一方で立野はけがが回復し競技復帰の情熱を抱いていた。「復帰するなら姫里有と組みたい」。立野の心が決まり、カップル結成を打診、トライアウトを実施した。だが、引退に心が傾いていた平山に「一度振られてしまった」という。それでも再びくどいた。
強みは10年以上のアイスダンス歴
二人に共通していたのは「自分が納得するスケートをして引退したい」という思いだった。「周りと話す中でもったいないなと思い、もう1年、試合まで頑張ろうという気持ちになりました」と平山。立野の熱意にほだされ、20年春、結成が決まった。
二人の強みは10年以上のアイスダンス歴。これまでのパートナーと培ってきたスケーティング技術、試合の経験は日本アイスダンス界にとっても貴重なものだった。
立野は「アイスダンス歴が長い分、来て欲しいところに来てくれるので無駄なリードをする必要がない」と話すと、平山も「練習中一つのことに対して、もめることなく話し合いで終えることができる」とお互いを認める。
指導する有川コーチは「経験値が高い分、すんなりできているように見えてしまう。ダンスはスケートをすることが一番大事。さらっとやってしまうと試合では伝わらない。技術の高さをもっと評価してもらえるようにしないといけない」とレベルアップを掲げる。
ソロで練習、レベルアップを
二人は北京オリンピックを目指している。そのために今、取り組んでいるのがベースのレベルアップだ。個々でスケーティングやエッジワークなど基礎練習を積み重ねている。立野は「それぞれのレベルアップが、カップルとしてのレベルアップにつながるのではないか」と将来を見据える。
今シーズンはコロナ禍で大会が中止や無観客試合になり、プログラムを披露する場は減ってしまった。だが、全日本選手権3連覇中の小松原美里、尊(ともに倉敷フィギュアスケートクラブ)組や、村元哉中(かな)、高橋大輔(ともに関大カイザーズフィギュアスケートクラブ)組といった海外拠点のカップルが国内で練習する機会が増え、試合でも同じ時間帯に練習することができ、平山、立野組にとっては貴重な経験だった。有川コーチも「お互いに向上し合えるところがあり、日本アイスダンスの将来にとっても、すごく刺激がありました」と話す。
応援の声「頑張ろうという気持ちに」
夢の舞台に向けて練習環境を整えるため、スポーツギフティングサービス「Unlim」の利用を決めた。リンク使用料やトレーニング代、交通費など活動費をまかなうために二人とも1日5時間・週2~3回、カフェでアルバイトをしているが、それでも足りないという。
昨年12月に支援金の募集を始めると、すぐに支援金とともに応援の声が届いた。平山は「めちゃくちゃうれしかったです。リアルタイムでファンからのメッセージが届くので頑張ろうという気持ちになりました」とほほえむ。立野も「支援していただけることで気持ちに少し余裕ができました。お互いに活動費を集めることは初めてなので責任は感じています」
お互いに納得いくスケートを
今シーズン最も大きな大会だった12月の全日本選手権ではリズムダンスで4位と出遅れたがフリーダンスでは2位と追い上げた。合計143.40点で総合4位、収穫はあった。
北京オリンピックの代表選考がかかる全日本選手権まで残り約9カ月。立野は「一番大きな目標として北京オリンピックがある。そのためには全日本選手権優勝は欠かせない要素。そこを目指す過程で、お互いスケートに納得することが大前提にあります」と力強く語る。平山も「二人で北京オリンピックを目指して精一杯頑張ります!応援よろしくお願いします!」。勝負のシーズンに向けて前へ進んでいく。
◆下の画像バナーから応援・寄付ができます
◆下の画像バナーから応援・寄付ができます