全勝対決はサントリーがバレットのサヨナラPGでトヨタ下す、キヤノン田村も決勝PG
ラグビーのトップリーグは3月27日、第5節の3試合があり、レッドカンファレンスの全勝対決はサントリーのSOボーデン・バレット(29)がサヨナラPGを決め、39-36でトヨタ自動車を下して5連勝とした。ホワイトカンファレンスでもキヤノンが日本代表SO田村優(32)の決勝PGでリコーを破って2勝目。神戸製鋼はヤマハ発動機に快勝して全勝を守った。
14点差ひっくり返す
サントリーはトヨタに先手を許したが、2本のトライでリードを奪った。しかし、前半25分過ぎからトヨタのペースとなり、逆に2トライを奪われるなど14点リードされて折り返した。
後半は、CTBの中村亮土主将(29)が「自分たちがボールを持ってリズムを作れた。いいテンポでいいアタックができた」と振り返ったように、立ち上がりから攻め10分ほどでWTB中野将伍(23)らが2トライを返し2点差に迫った。
PGを与えて再び5点差にされた後、23分にWTBテビタ・リー(26)のこの日2本目のトライで追いつくと、28分にはマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に選ばれたフランカーのツイヘンドリック(33)のトライ(ゴール)で勝ち越した。このまま逃げ切れるかと思われたが、36分にトヨタの交代出場した岡田優輝(25)にトライ(ゴール)を返され同点とされた。
残り時間が減っていき、最後の攻防でトヨタが反則を犯した。サントリーは相手陣10m付近でPGを選択、試合終了のホーンが鳴った後、バレットが右側のポールに当てながらゴールキックを決めて試合が終わった。ニュージーランド代表などで様々な経験がある世界トップの司令塔バレットは「接戦の中でも、しっかり落ち着いて自分のプロセスを信じていた。重要なキックと意識していたが、比較的落ち着いて蹴れた。試合中に風向きが変わっていたのは感じていた」と話した。
ここまで1勝3敗のキヤノンも前半、調子をつかめず、リコーに7点差をつけられた。後半、見違えるように動きがよくなり、沢木敬介監督は「前半は自分たちのプランができなくてイライラしていた。後半はやる姿勢がみえ、いい結果につながった。勝ちきれるチームに成長している」と手応えを口にした。
司令塔の田村は難しい角度も含めて4本のゴールキック全てを決めたほか、後半19分にはキックパスでWTBマイケル・ボンド(34)のトライを演出、自らの突破で再三、好機も作った。後半34分にこの日4本目のゴールを決めて28-28に追いつくと、終了間際に左中間から決勝PGを蹴り込んだ。文句なしの「MOM」の活躍だった。
田村を今季から主将に指名した沢木監督は「自分の持っているパフォーマンスをしっかり出せる選手は周りから信頼される。リーダーの勉強をしないといけないが、去年とは格段に違う。いいコメントもするようになった」と信頼を寄せる。田村本人はドーピング検査で試合後の会見をできなかったが、開幕3連敗から立ち直りつつあるチームを引っ張っている。