野球

青山学院大学の佐々木泰、三塁手でベストナインの1年生が東都の春を振り返る

國學院大学戦で4号本塁打を放つ青山学院大学の佐々木泰(撮影・安藤嘉浩)

東都大学野球リーグのデビューシーズンで、いきなり4本塁打を放った青山学院大学の佐々木泰(たい)内野手(1年、県岐阜商)。本塁打数も打率(3割7分1厘)もリーグ2位という好成績でベストナイン(三塁手)にも選ばれた今春を、「あっという間に終わった」と振り返った。

3番サードを任されて

青学大の春季リーグ最終戦は5月7日の駒澤大学戦だった。佐々木は「3番三塁手」で先発し、4打数1安打でデビューシーズンを終えた。最終打席は0-1で迎えた八回、2死二塁。外角球をとらえた打球は中堅後方に伸びたが、相手の好守に阻まれた。

春の最終打席で中飛に倒れがっかりする佐々木(撮影・朝日新聞社)

「結果だけ見ると満足していると思われるかもしれませんが、『ここぞ』で1本が出せていません。チームの勝利に貢献するという目標をまだ達成できていません」
試合はそのまま敗れ、記者会見で笑顔は見られなかった。

その4日後、オンライン取材で改めて話を聞いた。
「最初の立正大戦の2試合が終わったときは、長いなあと感じました。疲労もきました。やっぱり高校のときと違う。後輩としてグラウンドに立つ立場でもあるので、精神的にも疲労があったんだと思います」

一方で、「いま振り返ってみれば、あっという間に終わったという感じです。早かったなと思います」と総括してくれた。

いきなり連続本塁打

デビュー戦は4月5日、第2週の立正大戦だった。「5番三塁手」で初出場し、第4打席の八回2死二塁で左翼席に第1号本塁打を打ち込んだ。9日の2回戦の第1打席でも、2号本塁打を放つ。デビュー戦から2打席連続、2試合連続の本塁打だった。

13季ぶりに1部に復帰した青学大に出現した大物ルーキーに、周囲は沸き立った。大先輩の井口資仁(46、千葉ロッテ監督)の通算24本塁打のリーグ記録を狙える存在として、一気に注目を集めた。

通算本塁打数をどこまで伸ばせるか(撮影・安藤嘉浩)

その後も佐々木ははつらつとしたプレーを続けた。3カード目からは打順も3番にあがり、背番号「3」は神宮球場で躍動した。

デビューシーズンの足跡をまとめてみた。

佐々木泰の春季リーグ成績

【3月】
30日 ○3-2東洋大
31日 ●1-2東洋大
【4月】
05日 ○4-3立正大 5番 4打数2安打2打点 1号本塁打
09日 ○4-1立正大 5番 3打数2安打1打点 2号本塁打
12日 ●4-9中央大 5番 4打数2安打
16日 ●0-3中央大 5番 3打数0安打
20日 ●6-7國學院 3番 4打数1安打2打点 3号本塁打
21日 ●3-5國學院 3番 3打数1安打2打点 4号本塁打
26日 ○5-0亜細亜 3番 3打数1安打
30日 ●0-2亜細亜 3番 3打数1安打
【5月】
06日 ○5-1駒澤大 3番 4打数2安打
07日 ●0-1駒澤大 3番 4打数1安打
(1年生は4月から出場可能に。通算35打数13安打7打点4本塁打、打率.371。チームは5勝7敗で5位)

無安打は1試合だけ

安打が出なかった試合は1試合だけ。終盤は打球が上がらなかったものの、安打の大半はきちっと捕らえた打球だった。本人も「結果としては自信になりました」という。「だけど、実力的にはまだまだだな、と感じています」とあくまで謙虚だ。

具体的には、相手バッテリーの配球がどんどん厳しくなったのに対応できなくなった。外角の変化球やボール球が多くなった。それを、「どんどん(振りに)いっちゃっていた。そういうボールを見極められたら、もっとよかったと思います」

積極性は佐々木の打撃の魅力だが、本塁打にできるボールを待ちきれなかったという面も確かにあった。「秋に向けて、そういう練習をしっかりやっていきたい」という。

2020年甲子園高校野球交流試合の明豊戦で本塁打を放った佐々木(撮影・朝日新聞社)

実はデビュー戦の直後(4月8日)にも、オンライン取材で話を聞いている。そのときは、初めての寮生活などについても話してくれた。岐阜市にある県岐阜商高には岐阜県大垣市の実家から、電車と自転車で通っていた。青学大の野球部寮は2人部屋で、東京・日大三高出身で同じ1年生の児玉悠紀投手と同室だそうだ。「すっかり打ち解けて仲良くやっています」と笑顔で教えてくれた。

寮生活、野球に集中

寮の食事も「おいしくいただいています」と言うが、「たまに母の手料理が食べたくなります。回鍋肉とか、肉じゃがとか。いつもお肉を使った料理を用意してくれました」と打ち明けていた。

授業を受けるコミュニティ人間科学部のキャンパスは、グラウンドと寮もある神奈川県相模原市にある。コロナ禍で外出は控えているが、「せっかく首都圏に来たので、渋谷や新宿に出かけたいです」と話していた。「洋服を見たり、スイーツを食べたりするのが好きなんです」と18歳らしい素顔ものぞかせた。

今回の取材で改めて私生活について聞いてみると、「大学生活にはすっかり慣れて楽しく過ごしていますが、遠くに出かけるのはまだ控えています。その分も、野球に集中して頑張っています」と教えてくれた。今秋、どこまで成長した姿を見せてくれるだろうか。

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