順大・野村優作と伊豫田達弥が関東インカレ1部10000m入賞「収穫あるレース」
5月20日の関東インカレ1日目に男子1部10000m決勝があり、順天堂大の野村優作(3年、田辺工)が5位に、伊豫田達弥(3年、舟入)が6位にそれぞれ入り、ともに入賞となった。2人合わせて対校戦のポイント7点をチームにもたらした。
後半粘り、徐々にポジションを前に
雨が降り、風はほとんどない中で始まったレース。まず駿河台大のジェームズ・ブヌカ(4年)が先頭に立った。野村と伊豫田はその後ろにつづく。このときのことを野村は「先頭の方でレースを進めようと思ってたんですけど、誰も出なかったので自分で引く形になったというか。前の方で進めたかったというのがありました」と振り返る。そこから早稲田大の中谷雄飛(4年、佐久長聖)、太田直希(4年、浜松日体)、日本体育大の藤本珠輝(3年、西脇工)が2人の前に出る。このとき伊豫田は「ラップタイムでは見えないような上げ下げがあったので、一歩下がろうとポジションを下げた」という。
5000mをすぎて、伊豫田は先頭集団の8番目、野村は10番目ほどの位置にいた。そこから徐々に集団は縦長になり、選手たちがばらけはじめた。先頭は流通経済大のサムソン・ディランゴ(1年)と東海大の石原翔太郎(2年、倉敷)、ブヌカの3人。少し離れて藤本と中谷、そこからさらに少し離れたところに野村と伊豫田の形になった。
徐々にペースを落とした中谷を抜き、2人は前を追った。長門俊介監督からは「後ろ来ているぞ!2人で行け!前についていけ!」と檄(げき)が飛ぶ。残り3周となったところで野村が先行。そのまま野村5位、伊豫田6位でフィニッシュ。野村のタイム28分19秒01は自己ベストだった。
野村はレースを振り返り、「先頭集団から離れてからもしっかり集中して、最後まで気持ちを切らさないという持ち味が活かせたレースだった」と後半の粘りを評価した。いったん引いたあとも前に出られたことが一番大きいといいつつも、「ラスト勝負が勝てないのがこれからの課題ですね」という。
この日は朝にあったハーフマラソンで、チームメートの四釜(しかま)峻佑(3年、山形中央)が日本人トップを取ったばかり。伊豫田は「その流れをいい形でつなげたかったなという思いがあった」。ラスト何周かは弱いところが出てしまったといい、「課題が見つかった試合かなと前向きに捉えています」といいつつも、「自分自身ここまでいい流れできていたので、それを今回の対校戦で出したかったので、少し物足りない感じかと思います」とも口にした。
チームの主力に成長した2人
年始の箱根駅伝で野村は2区を走り区間10位、伊豫田は3区を走り区間5位。ともに初めての出場だったが、順大の2年ぶりのシード権獲得に貢献した。伊豫田は3月の学生ハーフマラソンで6位となったあと、初開催となった男女混合駅伝にも出場し、優勝への原動力となった。4月10日の金栗記念5000mでは野村が13分41秒73、伊豫田が13分43秒71をマークしともに自己ベストを更新。同月25日の日体大記録会10000mでは伊豫田が28分06秒26、野村が28分22秒07とこちらもそれぞれ自己ベストを更新した。
それだけに、2人には「もっと上の順位を」という気持ちがあったのは間違いない。野村はレースの出来を100点満点で問われると「ラスト負けたので60点ぐらいですね。最低限です」といい、伊豫田は「最後はまとめることに意識が言ってしまった」とともに反省点を口にした。
2人は互いをライバルだと考え、日々切磋琢磨しているという。野村は「今年けっこう3年生が上がってきているので、刺激を受けてます。同じチームにライバルがいるのは恵まれていると思います」と話す。
三浦龍司(2年、洛南)が5月に3000mSCで18年ぶりに日本記録を更新し、どうしてもそこに注目が集まりがちではあるが、この1年、順大はチーム全体の底上げができてきていると感じさせる。昨年10月の箱根駅伝予選会では圧倒的な速さで1位通過、11月の全日本大学駅伝では8位となり14年ぶりのシード権を獲得。選手たちは「チームの雰囲気はいい」と口をそろえる。「この結果を持ち帰って、夏もしっかりやっていきたい」と伊豫田。学生長距離界で確実に存在感を増している順大に今後も注目していきたい。