東海大・石原翔太郎 関東インカレ男子1部10000m2位にも「悔しい結果」
5月20日の関東インカレ1日目に男子1部10000m決勝があり、東海大学の石原翔太郎(2年、倉敷)はトップと4秒差の2位、日本選手では1位となった。強気の走りで一時はトップに立つ場面もあった。
残り3周で先頭に立つも、ラスト300mでかわされ2位に
各校の実力ある選手が集まるこの種目。開始直後から駿河台大学のジェームズ・ブヌカ(4年)が先頭に立ち、後ろに順天堂大学の伊豫田達也(3年、舟入)と野村優作(3年、田辺工)が続く。1000mの通過は2分54秒。次いで早稲田大学の中谷雄飛(4年、佐久長聖)と太田直希(4年、浜松日体)が順大の2人の前に出た。集団はしだいに大きく2つにわかれ、石原は第1集団の中ほどで様子をうかがっていたが、じわじわと前方に位置取りをすすめる。5000mの通過は14分13秒だった。
残り8周となったところで先頭は流通経済大学のサムソン・ディランゴ(1年)となり、石原、ブヌカ、藤本珠輝(日体大3年、西脇工)、中谷が続く。その後1周で先頭はディランゴ、石原、ブヌカの3人に絞られた。石原は留学生2人とデッドヒートを繰り広げ、残り3周では先頭に立った。ラスト1000mはディランゴとの一騎打ちとなったが、最後の300mでギアを上げたディランゴについていくことができず、2位でのフィニッシュとなった。
28分05秒91は自己ベスト。だが石原は「タイムは全然気にならなかったんですけど、1番を狙って走っていたのですごく悔しい結果です」と率直に気持ちを表現した。ラスト3周で先頭に立ったことについては、「自分の体力が(あったので)ここで飛ばせれば勝てるかなと思ったんですけど」。逆にラストスパートには苦手意識があるといい、「克服しないといけない部分なので。ラスト一周では飛び出す勇気がなかったです」
1回1回のレースを大切に
昨年度のルーキーイヤーでは全日本大学駅伝4区区間新、箱根駅伝3区区間新と鮮烈な印象を残した石原。だが新型コロナウイルスの影響を受けて多くのトラックレースが中止になったこともあり、トラックでの記録を更新する機会がなかなか訪れなかった。今年は箱根後の1月に10000mで28分44秒05をマークし、3月13日の学生ハーフマラソンに出場。3月末には東海大記録会3000mで7分58秒26、5月9日の日体大記録会では13分30秒98を記録。これはU20歴代2位のタイムでもあった。そして今回につながっている。「今年はトラックシーズンでもしっかり記録を狙っていきたいと思ってました。前回5000mのレースで結果を出せていたので、(今回のレースにも)自信を持って挑めました」
ここまでの石原を見ていると、1回1回のレースでしっかり結果を出し、外さないというイメージがある。なぜ毎回結果を出せるのかと質問すると「1回1回のレースを外したくないと思っていて、大切にしていきたいという思いがあるので、集中して(いい状態に)持っていけると思っています」と答えてくれた。去年はトラックレースがなかなか開催されず、タイムを更新できる場面が少なかったので、「せっかくのチャンスをつかめたので、その中でタイムを出そうと思っています」と話す。
「自分が引っ張っていく」エースの自覚
東海大は昨年度のチームを引っ張っていた「3本柱」の塩澤稀夕(現・富士通)、名取燎太(現・コニカミノルタ)、西田壮志(現・トヨタ自動車)が卒業した。石原は自らの力がチームの上の方にある、ということをしっかり自覚している。「自分は力があるので、トラックでも駅伝でもしっかり引っ張っていきたいなと思っています。チーム内でも自己ベストを出す選手が多く、刺激になっています。自分がそこでさらに刺激を与えられるように、底上げしていきたいです」
これから夏、そして駅伝シーズンに向けては10000mで27分台を出したいと話した石原。「まだまだいけると思うので、妥協せずにいろんな種目でも結果を出していきたいと思います」。そう話す姿からは、2年生ながらエースとしての自覚を感じさせられた。ここから石原がどう進化していき、チームにどんな影響をもたらしていくのか楽しみだ。