サッカー

鳥栖内定の駒大・荒木駿太、真夏の連戦フル稼働で1ゴール4アシストの活躍見せる

プレースキッカーも務める荒木。正確なキックで多くの得点を演出している

7月10日から25日にかけてアミノバイタルカップ2021(関東選手権)が行われ、駒澤大は6位に入賞。3大会連続18回目の総理大臣杯出場を決めた。サガン鳥栖に内定している荒木駿太(4年、長崎総科大附)は今大会5試合すべてに出場し、1ゴール4アシストを記録してチームの上位入賞に貢献。今季チーム内トップの出場時間を誇る、まさに替えの利かない選手だ。

無尽蔵のスタミナを武器に

今年のアミノバイタルカップは波乱づくめの大会となった。関東1部リーグ所属の強豪校が初戦で4チーム敗退、2回戦でも4チーム敗退し、ベスト8に残ったのはわずか3チームだった。

駒大は初戦で上武大と対戦。去年も初戦で対戦し3-1で勝利した相手だったが、今年から就任した岩政大樹監督により新たにオーガナイズされたサッカーに苦戦。一時は延長戦もよぎったが、終了間際の86分に荒木が決勝点を決め、1-0で初戦突破を決めた。2回戦は中1日で神奈川大と対戦。前半に荒木のアシストで先制点を奪うが、後半に同点弾を献上し延長戦を戦うことに。延長戦では立ち上がりに奪った勝ち越しゴールを守り切り、2-1でベスト8へと駒を進めた。

勝利すれば総理大臣杯への出場が決まる3回戦の相手は、今季これが3度目の対戦となる法政大。この試合も3分に荒木のアシストで先制するが、前半のうちに同点を許し1-1で2戦連続の延長戦へ。延長後半に勝ち越しに成功したものの直後に追いつかれ、2度のリードを守り切れなかった駒大はPK戦の末敗戦。荒木は試合を振り返って「勝ち越して気が緩んでしまった。最後まで集中する、気を抜かないという反省になった」と振り返る。

無尽蔵のスタミナを活かし、攻守にわたって高い貢献度を誇る

関東代表最後の枠をかけた流通経済大との順位決定戦。連戦の疲労もピークに達しており、メンバーを普段から大きく変えて臨んだが、荒木はこの試合もフル出場。コーナーキックから2アシストを記録し、3-0の勝利に貢献した。最終戦の東洋大戦では敗戦を喫し、大会を勝利で終えることは叶わなかったが、目標としていた総理大臣杯の出場権をつかんだ。

今大会1ゴール4アシストと、チーム一の得点関与数を記録した荒木だが、大会を振り返って「出た試合で結果を残すというのは大事だと思うが、アシスト4ではなくゴールを4にしたい」と、あくまで得点にこだわる姿勢を見せた。

普段、1週間おきにリーグ戦を戦うサッカーでは中3日でも連戦と呼ばれ、中2日では疲労が完全には抜け切らないとされている。そうした状況で中2日で110分の延長戦を戦い、そこからさらに中1日で90分フル出場するということは容易ではない。それでも荒木は「連戦は得意な方。きつさは感じなかったし、逆に連戦の方が強いので」と涼しい顔で今大会を振り返った。

好調支える新システム

例年は4-4-2のフォーメーションをとっていた駒大だが、今季は多くの試合で3-5-2のフォーメーションを採用。中盤の枚数が多いため二次攻撃、三次攻撃に繋げやすく、島崎翔輝(4年、国際学院)や桧山悠也(4年、市立船橋)、篤快青(2年、広島県瀬戸内)など、豊富な運動量でウイングバックをこなせる選手が揃っている今年のチームに合ったシステムだ。さらに、チーム内でも特に運動量に秀でた江﨑巧朗(4年、ルーテル学院)と宮嵜龍飛(4年、駒大)がダブルボランチを務める盤石ぶり。

トップ下を務める荒木は、中央からサイドに流れて攻撃に参加し、時には自らで仕掛けてペナルティエリア内に侵入しシュートまで持っていく。豊富な運動量でセカンドボールを回収し、攻撃のリズムを生み出すことも荒木の役割だ。

点を取ることも、取らせることもできる選手。ゴールへ向かう執念が最大の魅力だ

求められている動きは、2トップの一角を担っていた昨季とあまり変わっていないようだが、深井正樹コーチには中盤まで落ちて来てボールを引き出す動きも求められており、多彩な動きで駒大サッカーを支えている。荒木自身も「攻撃の枚数が多いので、自分的には4-4-2よりはやりやすい」と手応えを感じているようだ。この新たなシステムこそが、チームの好調を支える要因の一つなのかもしれない。

チームのために仲間のために、駒澤らしく戦う

8月1日に関東リーグ後期が開幕。荒木は初戦から早速2ゴールを記録し、開幕白星スタートに貢献するさすがの有言実行ぶりを見せた。

12節終了時点で首位に立ち、優勝争いを繰り広げている駒大。荒木は「今年はみんな技術があって、ハードワークできる選手が多い。去年と比べて、攻撃のバリエーションが増えてきていて点も取れているので、あとは失点の多さを改善していけばもっともっと良いチームになる」とその特徴を語る。

「監督がいつも言っているように、チームのために仲間のために、駒澤らしく戦えば絶対に負けることはない。チーム一丸になって一試合一試合全力で戦って日本一を取りたい」

今年の総理大臣杯は8月23日開幕予定。2010年以来、10大会ぶりの夏の全国制覇を目指す駒大に、ぜひ刮目して欲しい。

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