ラグビー

天理大のヴァカタや同志社大の奥平らが春から先発 期待のルーキー関西大学A

天理大のLOヴァカタ。日本代表WTBフィフィタと同じ日本航空石川出身(撮影・斉藤健仁)

9月18日に開幕予定の関西大学ラグビーAリーグ。昨季は天理大学が関西勢として36年ぶりに大学王座を奪い返し、今春の関西のトーナメント大会では同志社大学が初優勝した。活気を取り戻しているAリーグ8校に、さらなる新風を吹き込みそうなルーキーを見ていきたい。

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連続日本一を狙う天理は新戦力に期待

2020年度、創部初めて全国大学選手権を制した天理大は、春季大会の決勝で同志社に敗れてしまったように、日本代表WTB(ウィング)シオサイア・フィフィタ(花園近鉄)など低学年からチームを支えてきた主力選手たちが卒業してしまった影響は大きい。そのため関西6連覇、そして大学選手権連覇のためには新人の活躍が欠かせない。

1年生は38選手が加入した。中でも系列の全国的強豪の天理からはキャプテンだったFL(フランカー)関口大輔、LO(ロック)奥井大勢、SH(スクラムハーフ)梅谷洋明ら8名、天理教校学園からはLO赤阪翔吾の計9名が大学でもラグビー部の門を叩いた。

春季大会ですでに主力として活躍しているのは、突破力が武器の日本航空石川でもフィフィタの後輩に当たるLO/No.8パトリク・ヴァカタと、長崎南山でキャプテンを務めていたスキルフルなSO(スタンドオフ)/FB(フルバック)筒口允之だ。ヴァカタは3試合、筒口は2試合で先発。秋以降も主力の一翼を担うはずだ。

長崎南山の主将だった筒口は天理大で早くも先発出場(撮影・横山輝)

他にもFWでは大型PR(プロップ)山田慶長(光泉カトリック)、PR松野楓舞(松山聖陵)、LO西村秀斗(石見智翠館)、バックスにはSH高島大輝(石見智翠館)、日本航空石川からSH藤原健之朗とWTB竜之丞の兄弟、SO田中心大(東福岡)、LOナイバルワガ・セタ(3年)の弟WTBトマシ(秋田工)らが有望だ。

奥平は決勝で天理大からトライ

春季トーナメント決勝で天理大を35-19で下し、勢いに乗っている同志社大。今季こそ、関西を制したいところだ。そんな中、紺グレのジャージーを目指し、今季は28名の新人が加入した。関西を中心とした強豪校から選手が加入し、すでに春季トーナメントで東海大大阪仰星出身のFL奥平都太郎が先発出場、控えにLO/No.8久保太陽(報徳学園)が名を連ねるなどFWの層が厚くなったといえよう。

身長175cmの同志社大FL奥平は春季大会決勝でトライも挙げた(撮影・斉藤健仁)

他にもFWはPR上野聡大、土井康暉、FL/No.8寺北亘佑(いずれも常翔学園)、PR/HO(フッカー)趙英紀(大阪朝鮮)、FL/No.8永住健琉(東福岡)、バックスはSH藤田海元、SO村岡麟太郎(ともに東海大大阪仰星)、U17代表歴のあるユーティリティー選手の江口翔(東福岡)、WTB山本希、森田琉太郎(ともに石見智翠館)らポテンシャルのある選手が揃い、チーム力は向上したといえよう。

廣瀬新監督の京産大にはソロモネら

昨年度3位だった京都産業大学。今季から元日本代表SOでOBの廣瀬佳司監督が就任した。春季トーナメントでもFWのセットプレーの強さは健在で、準決勝で同志社大と20-21の接戦を演じ、3位決定戦では関西学院大に90-5で快勝した。今季は関西勢を中心に新人23名が加入した。

すでに主力として活躍しているのが、目黒学院時代からフィジカルと運動量が際立っていたLOフナキ・ソロモネだ。さらにPR西崎海人(報徳学園)、FL楠本蒼外(浪速)、SH土永旭(光泉カトリック)、スキルにたけており花園(全国高校大会)の優秀選手にも選ばれたCTB辻野隼大(京都成章)の4人もベンチ入りするなどすでに十分にチームの戦力となっている。

京都成章の辻野は元日本代表SO廣瀬新監督の京産大へ(撮影・斉藤健仁)

他には東海大大阪仰星でリーダーを務めていた大型PR川口新太、中部大春日丘のセットプレーを支えたPR乳井大士、4年生のPR平野叶翔の弟HO叶苑(西陵)、LO松永壮太朗(京都工学院)ら、バックスはSO藏内祐賀(光泉カトリック)、CTB(センター)村田佳翼(尾道)、WTBハビリ・ファカタカ(高知中央)、WTB堤田京弘(大阪桐蔭)らが有望だ。

関西学院には花園出場の高校から11選手

昨年度の関西Aリーグ、春季トーナメントともに4位だった関西学院大。「高大連携」で強化していることで知られており、花園や全国選抜大会に出場した関西学院高から進学した11名を含む33名が加入した。

関西学院高出身者としては縦への突破が魅力のCTB川村祐太が春季トーナメントで先発し、花園の優秀選手に輝いたHO平生翔大、LO田中大瑚、CTB山本快の3人もすでにベンチ入りを果たした。さらに石見智翠館出身のFL稲垣直希とCTB松本壮馬の2人は先発を経験し、花園準優勝に貢献した京都成章出身のLO堤保澄も控えに入った。

5大会ぶりに花園に出場した関西学院からは川村らが大学へ(撮影・斉藤健仁)

他にも中部大春日丘の花園ベスト8入りに貢献したPR黄世邏、FL吉田柊也、ベスト4に入った大阪朝鮮のFWの中心選手の一人LO趙勇来ら花園で活躍した選手が揃う。バックスはSO徳永司也(京都成章)、WTB須股草太(御所実)ら実力者が入部。今季の関学は新人がチーム力を押し上げることは間違いなさそうだ。

立命館と摂南大にも逸材

昨年度リーグ5位だった立命館大学は、春季トーナメント1回戦を棄権し、結局、9、10位決定戦にしか出場できなかったがBリーグの龍谷大学に20-17で勝利して9位で終えた。すでに中部大春日丘の主力だったLO本郷正人、大分舞鶴出身のFL/No.8江木畠悠加が先発、さらにPR山下竜弥(石見智翠館)、SH堀内銀之助(土佐塾)、スキルが高くU17日本代表歴もあるSO山下真之介(流通経大柏)が控えに入った。この5人は秋もレギュラー争いに絡んでくるはずだ。他にも身長185cmの大型CTB一色弘高(洛北)、高校時代に決定力の高さを見せていたWTB樋川蔵人(東海大相模)ら能力の高い選手も加わった。新たに就任した元宗像サニックスの鬼束竜太ヘッドコーチの下、巻き返しを図る。

東海大相模から立命館大へ進んだ樋川(撮影・斉藤健仁)

昨年度は東芝や7人制ラグビー日本代表指揮官として活躍した瀬川智広監督を迎えて6位に入った摂南大学は、上位進出を目指す。同じく6位だった春季トーナメントでは大阪朝鮮のベスト4入りに貢献したPR梁起繁のみが控えメンバー入りを果たしている。他にもPR下大迫陽斗、昇幹太(ともに天理)ら関西の強豪校から多数が加入。バックスもCTB池田翔太、WTB鈴木尊就(ともに常翔学園)、FBサポイ・ヴィリアミ(開志国際)らが入部している。

上位をうかがう摂南大へ入ったサポイ(撮影・金居達朗)

関大、近大も新戦力加え上位狙う

昨年度のリーグ戦は7位だった関西大学は、春季トーナメントで新人のLO篠田昂征(城東)、CTB石川海翔(大阪産大附)、FB立石和馬(東福岡)が先発を経験。最後に大阪体育大学を下して7位だった。さらに花園の優秀選手だったPR/HO宮内慶大(東福岡)、LO/FL西山光太郎(天理)、FL小林幹治(光泉カトリック)が控えに入っている。

東福岡のスクラムを支えた宮内(右)は関大、村尾(右から3番目)は近大へ(撮影・斉藤健仁)

昨年度は順位決定戦を辞退した近畿大学だが、春季トーナメントでは2回戦で天理大と22-27の接戦を演じるなど力のあるところを見せて5位で大会を終えた。新人には実力者が揃っておりNo.8古寺直希(石見智翠館)、WTB植田和磨(報徳学園)が先発として出場。PR稲場巧(近大附)、HO村尾幹太(東福岡)、LO/No.8駒井凌太(天理)、FL/No.8岩本圭伸(常翔学園)、FL中村志(大阪桐蔭)がベンチ入りした。今季の1年生が順調に育っていけば上位に進出する可能性も十分にあろう。

同志社大が全国大学選手権で1982~84年度まで3連覇したあたりの関西大学ラグビーは大いに盛り上がった。各校に有望な新人が加わって強化が進む中で、天理大1強時代から競り合いとなれば、国内若手のレベルアップにもつながる。

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