パラカヌー7位の瀬立モニカ 医学部受験と並行してパリめざす
東京パラリンピックは4日、カヌー女子カヤックシングル(運動機能障害KL1)決勝で瀬立モニカ(23)が7位に入賞した。
前回リオデジャネイロ大会で、パラカヌーの選手は瀬立ただ1人だった。再びたどり着いた大舞台。「金メダルをめざして、この5年進んで来たので悔しい」
リオでは、1位と10秒以上の差をつけられて8位だった。その悔しさを原動力に、磨いてきたのがスタートダッシュ。準決勝では「良い反応でぽんと出られた」。組2着で決勝に進んだ。
だが、決勝は力みからスタートで出遅れた。中盤以降に粘り、食らいつく。最後はトップと4秒差でゴールした。海外勢との試合はコロナ禍を経て2年ぶり。リオの優勝タイムを上回ったが、世界はその先にいた。
ゴール後は余韻に浸り、その場にとどまった。「この時間を少しでも長く水面から感じ取りたくて」。会場の海の森水上競技場は、地元の東京都江東区。前夜は「心臓の鼓動で10分ごとに目が覚めた」。緊張から、レースの1時間前には本気で棄権しようと考えた。それほどのプレッシャーを抱え、金メダルをめざした。
「今日は泣かないって決めたんでした」。取材の冒頭、目頭をおさえてそう言った。だが、次への目標を問われると、やっぱり涙があふれ出た。
「メダルを取らないと終われない。カヌーはやめられないです」
最後に、新たな目標も宣言した。今の筑波大を卒業した後、医学部への受験をめざすという。
「医者になりたいという思いも捨てきれない。受験勉強と並行しながら、大変な道のりに挑戦したい」
3年後のパリへ。「二刀流」で3度目のパラリンピックをめざす。
(加藤秀彬)=朝日新聞デジタル2021年09月04日掲載